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2000ヨーロッパ選手権リポート
文責:体操競技委員会 研究部 竹田幸夫
2000年 男子ヨーロッパ体操競技選手権大会観戦レポート - 跳馬でローチェひねり、平行棒でムーンサルトが発表される! -

 2000年男子ヨーロッパ体操競技選手権大会は、ブレーメン(ドイツ)において5月25日〜28日(4日間)の会期で開催された。第24回目となるこの大会には約260名の選手が参加し、ジュニア、シニアそれぞれ団体・個人総合・種目別の競技が行なわれた。  このヨーロッパ選手権大会における団体選手権は、独特の競技形式が採用されている。つまり、1ヵ国につき5名の選手がエントリーし、各種目3名が演技を行なって、その合計得点によって争われるのである。演技を行なう3名の選手の得点がすべてチーム得点に算入されるので、演技の成否がチームの順位を大きく左右する。観戦している側からすれば、エキサイティングな団体戦の競技形式であるといえよう。
 なお、シニア・ジュニアそれぞれ団体戦の結果により、個人総合は上位24名、種目別は上位8名の選手で競われた。以下に、競技の概要をレポートしたい。

<シニア>
 団体選手権では、ロシア・ルーマニア・ウクライナ3ヵ国による激しい優勝争いが行なわれた。最終的にはロシアが底力を見せて、2位ルーマニアに0.227、3位ウクライナに0.46という僅差で競り勝った。なお、優勝したロシアチームは、5人の選手をエントリーしていたものの、演技を行なったのはネモフ、ボンダレンコ、ポドゴルニーの3名のみであった。
 演技の全般的な傾向は、昨年の世界選手権天津大会に比べてさほど大きな差は観察されなかった。しかし、ロシアをはじめとする上位国の選手をみると、演技の安定性が増し、実施の質が向上しているように見受けられ、オリンピックに向けての調整が順調に進んでいることが伺えた。
 個人総合では、優勝を争うと予想されたイワンコフ(ベラルーシ)、ネモフ(ロシア)ボンダレンコ(ロシア)、ベレシュ(ウクライナ)が最後まで優勝争いを展開し、それぞれ57点代の総合得点をマークした。最終的には、ウクライナのベレシュが安定した演技で高得点を重ねて、個人総合チャンピオンのタイトルを手にした。今回の個人総合に出場した選手の中で、全種目とも10.0 の演技を揃えた選手は、ベレシュ1人だけであった。2位には0.189の僅差でイワンコフが入った。実力あるこの4選手の中に割って入り見事同メダルを獲得したのは、ルーマニアのドラグレスクであった。とくに、跳馬で発表した「前転とび前方かかえ込み2回宙返りひねり(ローチェひねり)」は、着地も見事にまとめてきた。
 種目別選手権に出場してきた選手は、そのほとんどが10.0の演技価値点の演技を組んでおり、いずれの演技も甲乙をつけ難い内容であった。したがって、実施でのわずかな差によって順位が決定する結果となった。
 それぞれの種目で優勝した選手は、ゆかがドラグレスク(ルーマニア)、あん馬がウルジカ(ルーマニア)、つり輪がタンバコス(ギリシア)、跳馬がスシウ(ルーマニア)、平行棒がペトコフセク(スロベニア)、鉄棒がベレシュ(ウクライナ)であった。団体選手権で活躍したルーマニアが、種目別でも3つの金メダルを獲得するという結果になった。
 演技内容について特筆すべきは、種目別平行棒に出場したルーマニアのウルジカ選手の独創的な演技内容と下り技「後方かかえ込み2回宙返り1回ひねり」である。この下り技は、1989年世界選手権シュツットガルト大会において日本の加藤裕之選手が発表して以来である。残念ながらウルジカ選手は、回転不足のため着地で手をついてしまい、9.20という得点で8位に終わった。しかし、今大会において最も注目を集めた演技であったといえる。


<ジュニア>
 団体選手権は、ロシアの圧勝であった。2位以下の国々に5点以上の差をつけて優勝を果たした。ロシア以外の国は混戦模様であり、実力は伯仲していた。その中から前回優勝のフランスが2位に、そして地元ドイツが3位に滑り込んだ。演技レベルを比較すると、得点差以上にロシアとその他の国との実力差が大きいように感じられた。
 なお、シニアでは上位には入っていないギリシアが第5位入賞を果たした。選手の動きから判断すると、システマティックにジュニアの育成がなされてきているとの印象をもった。オリンピックアテネ大会に向けて、ジュニア選手の育成が本格的に行なわれはじめた証しであろう。
 個人総合においては、予想通りロシアのグレベンコフが、同じロシアのドレビン選手を制して優勝を果たした。2年前のサンクトペテルブルグ大会では、フランスのマレー選手に優勝をさらわれ、惜しくも2位に甘んじた。その時から比較すると、グレベンコフ選手は体つきも一回り大きくなり、演技の安定度も増してきた。いずれ近い将来において、ロシア(シニア)の代表選手に入ってくると予想される。
 団体選手権と同様に、個人総合でもギリシアの選手(マラス)が健闘し、ロシアの2選手についで第3位に入った。
 種目別選手権では、ロシア選手のミスが出て、ゆかでウクライナ、あん馬でルーマニア、跳馬でブルガリア、平行棒でドイツの選手がそれぞれ金メダルを獲得した。とくに平行棒で優勝したアイヒホルン(GER)は、13歳という年齢でありながら、10.0の価値点の演技を発表し、見事優勝を果たした。今回の大会においては地元ドイツ選手、とくにシニア選手の精彩がなかっただけに、アイヒホルン選手の活躍が注目を浴びていた。


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