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2014FIGワールドカップ個人総合・ドイツ大会報告

Category : レポート  |  Date : 2014/12/15 11:23

■期日:2014年11月25日(火)~12月2日(火) 大会結果・情報
■場所:ドイツ/シュツットガルト
■選手団:男子コーチ:森泉貴博、新宅裕也/男子審判:三富洋昭/トレーナー:中島啓/選手:齊藤優佑、田中佑典
■競技日程
11月29日(金)DTBチームカップ予選(応援)
11月30日(土)DTBチームカップ決勝(応援)
12月 1日(日)個人総合決勝
■大会概要
今大会については、招待された男子6カ国8名(日本とロシアは2名)の選手により競技が行われた。オリエンテーションミーティングでは、主催者挨拶、今後のワールドカップについて、試合進行などについての説明が行われた。演技順は、事前に抽選されており、競技進行については、ゆかからのスタートで8名の班編成で行われた。全員ワンタッチウォームアップを行い演技、2種目目のあん馬以降からは、前の種目までの個人総合合計得点の順位で点数の低い選手から演技を行う演技順となった。これは、1種目毎に順位が分かることで、観客や選手にも分かりやすく面白い競技方法だと感じたが、逆にやりにくい部分もあるように思えた。
■出場選手:齊藤優佑(日本)、田中佑典(日本)、David Belyavsky(ロシア)、Fabian Hambuechen(ドイツ)、Nikolai Kuksen-kov(ロシア)Sergio Sasaki(ブラジル)、Oleg Verniaiev(ウクライナ)、Donnell Whittenburg(アメリカ)
■内容等、詳細
<11月25日>
成田からヒースローまで約12時間、その後、シュツットガルトまで約1時間を要して現地に到着した。まず何故、ドイツにて競技会が行われるのにイギリス経由なのか、アムステルダムやフランクフルト、ミュンヘンといった空港もある。選手が競技会を行う為の移動となるので、移動手段については、色々な諸問題もあるが、今後最も重要な検討事項に感じた。到着後は、大会組織委員会の出迎えがあり、車でホテルまで送って頂いた。空港からは約30分でホテルに到着した。ホテル到着が夜20時近くであったので、練習は行わず夕食を取り、明日の練習に備えた。
<11月26日>
トレーニングは試合会場ではなく、ホテルから歩いて10分ほどのKunst-Turn-Forumというナショナルトレーニングセンターでの練習となった。試合会場にも近く、器械器具も試合会場とほぼ同じで、設備の良い施設であった。時差や移動の疲れもあった為、10時半から14時半までの1回練習で器具や体の状態に合わせて練習を行った。
<11月27日>
10時から11時30分と14時30分から18時までの2回練習を行った。日本で練習を行っている時間帯で練習を出来たので、両選手とも積極的に練習が出来ていた。午前練習終了後、ホテルにほぼ隣接している試合会場に向かい、大会事務局にてADカードを受け取った。
<11月28日>
DTBチームカップの予選が10時半よりあったので応援に行き、その後、練習会場で1時間半の軽練習を行い、次の日の本会場練習に備える事とした。練習後の夜には、オリエンテーションミーティングが行われた。
<11月29日>
DTBチームカップ決勝。午前中に練習会場にて1部練習目を行い、競技終了後、本会場練習を行った。予定では18時から20時までの練習だったが、競技が少し長引いた為、18時20分から20時までとなった。限られた時間だったが、両選手は確認しておくべきポイントを押さえ、練習を終える事が出来た。
<11月30日>
約2時間の本会場ウォームアップがあり、その後開会式があり、試合開始となった。開会式は選手が1名ずつフロアへパフォーマンスをしながら入場し、選手紹介をされながら整列。その後、競技が開始された。
・第1ローテーション ゆか
(齋藤優佑) Dスコア5.6 Eスコア6.800 決定点12.400
4番目で演技。1、2コースともしっかりと纏め、良いスタートだった。しかし、4コース目の後方1回半~前方1回半を行った際、詰まってしまい、着地後で大過失。力倒立も静止出来ず難度不認定。最後の後方3回ひねりで若干のひねり不足は見られた。
(田中佑典)Dスコア6.2 Eスコア8.966 決定点15.166
最終演技者。全てのタンブリングを正確に決め、着地も纏める素晴らしい内容だった。Eスコアも8.966と高得点を獲得。演技中に表示されている時計が止るというアクシデントがあり、決定点が出た時点では、タイム減点がとなっていた。早急に審判長(FIG・ラトビア)へ確認を行い、選手のミスではなく運営側のミスという事で減点は取り消された。
・第2ローテーション あん馬
(齋藤優佑) Dスコア6.2 Eスコア7.400 決定点12.600
1種目を終え8位だったので1番目で演技。セア倒立から良い演技を続けていたが、マジャール移動で落下。その後マジャール移動からやり直し演技を終える。
(田中佑典) Dスコア5.7 Eスコア8.766 決定点14.466
4番目に演技。危なげなく良い演技を行っていた。しかし、終末技で少し力を使う捌きになってしまいひねりを行えずC難度になったが、演技全体としては悪くなかった。
・第3ローテーション つり輪
(齋藤優佑) Dスコア5.9 Eスコア8.400 決定点14.300
力技から入りヤマワキに繋げる演技構成で、ホンマ十字懸垂で高い捌きになり、D難度の予定がB難度に下げられてしまった。着地は小さく纏めた。
(田中佑典) Dスコア6.1 Eスコア8.733 決定点14.833
前半の2つの脚上拳十字懸垂で会場が湧く素晴らしい実施だった。倒立の決めも良く、最後の着地も小さく1歩におさえた。
・第4ローテーション 跳馬
(齋藤優佑) Dスコア5.2 Eスコア9.366 決定点14.566
ウォーミングアップであまり調子が良くないことから、ヨーⅡからクエルボ1回ひねりに変更し纏める事とした。跳躍自体は、まずまずの実施であった。
(田中佑典) Dスコア5.2 Eスコア9.2  決定点14.400
ドゥリッグスを行う予定でいたが、突き手が入りきらず、急遽アカピアンに変更した。跳躍自体は余裕が感じられるものではなかったが、着地は上手く収めた。
・第5ローテーション 平行棒
(齋藤優佑) Dスコア6.1 Eスコア6.366 決定点12.466
入りのシャルロ、棒下と良い実施だったが、倒立の不安定さが中盤から出始め、力を使った演技になった。その為か、Dツイストで横に出た際に支えきれず落下。難度不認定となってしまった。
(田中佑典) Dスコア6.6 Eスコア9.033  決定点15.633
非常に丁寧で素晴らしい演技を実施する事が出来た。着地までしっかりと纏め、跳馬に続いてEスコアを9点台に乗せ、高得点を獲得して上位争いに加わった。
・第6ローテーション 鉄棒
(齋藤優佑)Dスコア6.6 Eスコア7.433 決定点14.033
得意の種目であったが、手放し技がバーに近づき、肘が曲がる箇所も見られ、窮屈な演技となった。着地も踏ん張りきれず、ふらついてしまった。
(田中佑典) Dスコア6.4 Eスコア7.733  決定点14.133
5種目終了時点で4位につけての演技となった。最初のカッシーナで鉄棒を持ち損ね、惜しくも落下。その後の演技は、着地まで丁寧に行う事が出来ていただけに落下が惜しまれるも、全体通してEスコアが高く、日本の美しい演技を見せつけてくれた。
11.総評
現在行われている「ワールドカップ個人総合大会」は、世界選手権(オリンピック)の個人総合上位選手を招待、また、棄権者が出た場合には、団体総合上位国から選手を招待する、いわば、個人総合力のある選手達が集結する大会となっている。今回、このシュツットガルト大会には、南寧世界選手権で銅メダルを獲得した田中選手、アジア大会代表の齋藤選手が辞退した内村選手の代わりに出場した。実力のある選手達8名の競技会となる為、1つの大過失が順位に大きく影響する事が予測出来、良い緊張感が会場を包んでいた。採点等で気になる事は少なかったが、上位選手は6種目のDスコアが非常に高く、更に安定感もあり、来年の世界選手権や2016年オリンピックの個人総合決勝で、表彰台を争う力が現時点でも十分にあると痛感した。また、出場選手それぞれの得意種目に関しては、15点台後半を狙える種目が2~3種目ほどあり、日本も「個人総合力+得意種目」の強化を更に進めていかなければならない事も特筆すべき点であろう。今大会での田中選手の演技実施、美しさや技の正確な捌き等は、他国の選手にはない日本としての武器になる為、このまま継続しながら、更なるDスコアのレベルアップを目指して欲しい。齋藤選手にとっては、苦しい大会であった事は言うまでもないが、世界の強さを感じた大会でもあった。この経験を今後の繋げ、来年、再来年の活躍を期待したい。
最後に、競技会運営及び選手達へのサポートを頂いた、ドイツ体操協会及びスワビアン体操協会、また大会の運営と日本選手団の支援をして頂いた山田杏子氏に心から感謝の意を表し報告とする。

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