男子ジュニア強化海外合宿報告

1.場所  ブラジル リオデジャネイロ
2.期間  2013年1月22日~2月2日
3.スタッフ
団長:藤原佳市(関西)
コーチ:水口晴雄(鶴見ジュニア)、小林隆(NTC)、森川勝俊(埼玉栄)、山崎隆之(徳洲会)、小倉雅昭(四天王寺)、梅本英貴(清風) 、木下紘一郎(健伸)、立松佳通(池谷)
4.選手(平成24年度 男子ジュニアナショナル強化選手)
神本雄也(関西)、野々村晃司、鈴木大介(市船)、宮地秀享(鯖江)、早坂尚人(市船)、神津源一郎(埼玉栄)、佐藤匠(太成)、千葉健太(清風)、白井健三(鶴見ジュニア)、芦田和磨(習志野)、松見一希(四天王寺)、堀内柊澄(岡山ジュニア)、湯浅賢哉(鶴見ジュニア)、北村郁弥(池谷)、谷川翔(健伸)
5.スケジュール
 1/22 19:10 成田発→USA ダラス→ブラジル リオデジャネイロ 1/23 10:20着 (約27時間)
 1/23 午後練習
 1/24~26 二部練習
 1/27 軽練習・研修
 1/28~1/30 二部練習
 1/31 23:40 ブラジル リオデジャネイロ発→USA ダラス→成田 2/2 14:05 着(約28時間)
6.生活環境
 出発前より外務省のホームページで治安状況が悪いとの通達が出ており、ホテル、移動全てにおいて緊張感を持って行動するよう心掛けた。到着しバスで移動中、街並みを見ていると道を一本挟むだけでやはり貧富の差が感じられるほど風景が違っていた。しかし、現地ではブラジルオリンピック委員会、ブラジル体操協会、リオデジャネイロ体操協会の方が常に引率してくださり、移動はすべてバスをチャーターし、日本選手団の安全面にしっかり配慮していただいた。また、二日目の夜にヒポリト選手の家に招待され、日本選手団の歓迎会をブラジル選手、協会関係者によって開いてもらい友好を深めることができた。
7.練習環境
 練習はブラジルのナショナルセンター(sentro de treinamento time brasil)で行った。ここの体育館は周りに自転車競技用のバンクがあり、その中央に体操場があるという見慣れない施設であった。器具はすべてSPIETH製のものが使用されていた。初日に体操協会の方より練習施設をはじめミーティングルーム、シャワー室、コーチルーム、仮眠室、アイシング、飲料水、怪我への対応まで行うと説明があった。しかし、驚いたことにこの施設はできて一年経っていないが、1/31より取り壊しがはじまり、オリンピックに向けて宿泊施設併設の新しいナショナルセンターを建設するとのことであった。近隣もオリンピックに向け施設建設がどんどん始まっていた。
8.練習
[ブラジル選手]
 ナショナル選手24名(内5名ジュニア)が合同合宿。スタッフはヘッドコーチを中心にコーチ、メディカルセラピスト、ドクターが参加していた。ロシア人のヘッドコーチが練習プログラムを作成し、それに基づきコーチ陣、選手が共通意識を持ってしっかり取り組んでいた。午前の練習では全体アップの後ベーシックトレーニング、ウェイトトレーニングを中心に行なっていた。午後からは同じように全体アップから始まり、パワータンブリングそして器具練習へ入り、最後にはまたウェイトトレーニングを行なっていた。印象的だったのは必ずバーベルやダンベルを使ったウェイトトレーニングを行なっていたことである。器具においてはヒポリト、ササキ両選手を中心にゆか、跳馬のレベルの高さに驚いた。ゆかでは伸身ルドルフやリジョンソン、後方1 1/2?前方屈身ダブル等のビッグタンブリング、跳馬での屈身ローチェなど宙返りの高さとスピードに圧倒された。まだまだ粗削りの面もあるが、この迫力のある演技は日本人の足りないところであり今後、学び強化する点であると考える。
[日本選手]
 午前中は3時間、柔軟からベーシックトレーニングを行った。ここ数年、ジュニア合宿で継続的に取り組んできており選手たちも積極的に行なっていた。特にゆか、跳馬はブラジル人の迫力ある跳躍に刺激をもらいながら何度も反復練習を行なった。
 午後は4時間、全体アップの後、器具練習と各自トレーニングを行なった。高校生は来年度の試合に向けDスコアアップを中心に、その技を入れての続行練習まで取り組んだ。中でも白井選手のゆかにおいては、ひねりを中心に7.4までDスコアをあげ続行練習に取り組み、ブラジル選手たちも感心していた。
 中学生は質の高い基本技を中心に、種目によっては高校生にも劣らない内容の技を行ない、中高生ともに刺激を受けながら良い練習ができた。
9.総評
 今回、高校3年生からユース強化として中学2年生まで幅広い年齢層での合同合宿であった。しかし、ここまでジュニア強化で一貫して取り組んできたアップ、ベーシックトレーニング等がかなり浸透してきているため、中学生も高校生と同じ内容で練習を行なえた。これは小学生から高校生まで共通理解を持って強化に取り組んできた成果が出てきていると感じた。また、次のオリンピック地であるリオデジャネイロで合宿を行なえたこと、実際に本会場に案内してもらい見学できたことは、コーチ、選手を含め非常に強い刺激となり、目標となった。
 またブラジルにおいても、ヘッドコーチを中心に皆がオリンピックに向け、ジュニアから一貫してプログラムをこなし努力していた。まだまだ、粗削りの面も沢山あるが、あのパワーと身体の強さは魅力的であった。今後、新しいナショナルセンターができ、来年度からナショナル合宿も増やし取り組んでいくとの話も聞き、どのように強化されていくのか非常に楽しみである。
 日本もこれに負けないよう、現在のジュニア強化をさらに良いものに向上させ、そして最終的にナショナル選手、日本代表選手につながるよう強化していきたい。また、オリンピック金メダル獲得のためにスタッフのみならず、日本全体が一丸となって取り組まなければならないと強く感じた。
 最後になりましたが、この合宿に派遣していただいた日本体操協会をはじめ、現地での全ての手続きを行なっていただいたブラジルオリンピック委員会、ブラジル体操協会、リオデジャネイロ体操協会の関係各位に心より感謝申し上げ報告とする。