北京オリンピック種目別決勝2日目レポ

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◎ つり輪
1番手:ヨフチェフ選手(ブルガリア)
35歳とは思えない力強い演技を続けていったが、屈身ヤマワキで明らかに流れがとぎれ、終盤のほんてん倒立で胸が落ちてしまい、静止することができなかった。終末技の後方伸身2回宙返り1回ひねり下りも大きく前に1歩出してしまい、得点は15.525(Aスコア6.80)。後続の選手の顔ぶれを見るとメダル獲得は厳しい状況になった。
2番手:ヴォロヴィオフ選手(ウクライナ)
後方けあがり中水平~押し上げ十字倒立で入り、力技、振動からの力技をつぎつぎときめていった。終末技の前方屈身2回宙返り下りは着地がきまらず大きく前に1歩動いてしまったが、得点は16.325(7.20)
3番手:楊威(ヤン・ウェイ)選手(中国)
中水平、十字倒立、上水平を2回ずつ効率的に使い、屈身ヤマワキ、伸身グツォギーの指導系も取り入れたバランスのとれた演技構成で終末技はF難度の後方伸身2回宙返り2回ひねり下り。力静止技の姿勢などに若干の難があったものの、高い演技価値点がものを言い得点は16.425(7.50)。暫定トップに立つ。
4番手:スタネスク選手(ルーマニア)
Aスコア7.00の演技構成だったが、力静止技の姿勢がやや不正確で、さらに終末技の後方伸身2回宙返り1回ひねり下りも着地こそ止まったが、空中で明らかな脚割れが見られるなど未熟な印象のある演技だった。得点は15.825。
5番手:ロドリゲス(フランス)
前振り上がり背面中水平、アザリアン~引き上げ背面中水平を取り入れた独創的な演技構成だった。演技後半に取り入れたけあがり十字倒立の姿勢や後ろ振り上がり中水平の静止時間が若干不正確で、終末技の前方屈身2回宙返りの着地も前に大きく1歩動いてしまい、得点は16.225(7.50)。
6番手:コッポリーノ選手(イタリア)
ロドリゲス選手と比べるとオーソドックスな演技構成だったが、屈身ヤマワキで詰まった印象があった以外は非常に堅い演技で、前方屈身2回宙返り下りの着地も見事に止め、得点は16.225(7.10)
7番手:陳一氷(チェン・イビン)選手(中国)
いよいよ真打ち登場、アザリアン~中水平~十字倒立、屈身ヤマワキ、後ろ振り上がり上水平、ホンマ十字懸垂~十字倒立、ホンマ中水平、ほんてん倒立、後方車輪、後方伸身2回宙返り1回ひねり下りの演技構成をほぼ完璧にきめ、得点は16.600(7.30)Aスコアはヤン・ウェイ選手より低かったが、まさに真打ちの実施で上回りトップに立った。
最終演技者:モランディ選手(イタリア)
同僚のコッポリーノ選手同様、オーソドックスな演技構成で全体的な実施は良かったが、屈身ヤマワキで少し詰まった動きになり、後方伸身2回宙返り1回ひねりの着地もわずかに動いてしまった。得点は16.200(7.10)
1位:陳一氷、2位:楊威、3位:ヴォロヴィオフ、中国がワン・ツーフィニッシュ、6個目の金メダル獲得となった。
◎ 段違い平行棒
1番手:何可欣(ヘ・ケシン)選手(中国)
イエガーひねり片大逆手持ち~イエガーを見事にきめ、さらに伸身イエガー、トカチェフを取り入れた非常に高度な演技構成で実施も素晴らしく、後方かかえこみ2回宙返り1回ひねり下りの着地こそ1歩動いてしまったが、得点は16.725(7.70)。後続の選手にプレッシャーをかけるに十分な高得点を獲得。
2番手:リューキン選手(アメリカ)
閉脚のシュタルダー、大逆手エンドー、雄大なギンガーを取り入れた演技構成。美しい体線を生かした素晴らしい実施で、前方かかえこみ2回宙返り下りの着地もピタリと止めたが、得点は何選手と同点の16.725(7.70)。
タイブレーク制度の適用により、順位としては何選手に及ばず暫定2位。
3番手:ズゴヴァ選手(ウクライナ)
シュタルダー、エンドー、足裏支持回転倒立など支持回転系の技を多く取り入れた演技構成で出だし順調だったが、大逆手エンドー1回ひねり大逆手持ちで手前に戻ってしまい落下。得点は14.875(7.10)。
4番手:ニストル選手(ルーマニア))
フットトカチエフなど後方足裏支持回転系の技を多用した演技構成、さらに終盤にトカチェフを入れ、終末技は後方かかえこみ2回宙返り1回ひねり下り。
終盤の閉脚後方足裏支持回転倒立ひねりで戻ってしまったが、うまくトカチェフに続けてミスを最小限に抑えたが、得点は15.575(7.00)、メダル獲得はならず。
5番手:コヴァル(イウクライナ)
手放し技はフットトカチェフとトカチェフ、途中閉脚シュタルダー1回ひねりで大きくぶれてしまい、終末技は前方かかえこみ2回宙返り。得点は16.375(7.30)で暫定3位。
6番手:楊伊琳選手(ヤン・イリン)
ひねり技を数多く取り入れ、さらに閉脚イエガー、終末技に後方伸身2回宙返り下りで高いAスコアを実現した演技構成。着地までしっかりまとめ、大きな過失は見受けられなかったが、Bスコアがのびず得点は16.650(7.7)、コヴァル選手をかわしたが、何選手・リューキン選手に届かず暫定3位。
7番手:トゥエドゥル選手(イギリス)
ホルキナ(男子で言うマルケロフ)~ギンガーの連続、フットトカチェフ、さらに新技のフットトカチェフ交差持ちの4つの手放し技を取り入れた豪快な演技だったが、終末の後方足裏支持回転倒立1回ひねりで大きくぶれてしまい、そのまま後方かかえこみ2回宙返り会ひねり下り。着地も右に大きく1歩。
出場選手中最高のAスコアだったが、終盤のミスが響き得点は16.625(7.8)、ヤン・イリン選手にわずかに及ばずメダル獲得ならず。
最終演技者:シメノワ選手(ロシア)
前半にトカチェフ~車輪ひねり、終末技に前振りひねり前方屈身2回宙返りという独創的な技、組み合わせを取り入れた演技だったが、途中の閉脚シュタルダーひねりで若干の停滞があり、着地もわずかに動き得点は16.325(7.40)。
2000年世界選手権のこの種目のチャンピオン、ロシア女子チーム本大会初メダルの期待がかかったが、得点は16.325(7.40)。上位3選手に届かずメダル獲得ならず。
1位:何可欣選手、2位:リューキン選手、3位:楊伊琳選手。
◎ 男子跳馬
1番手:ゴロツコフ選手(ロシア)
 1本目 ドラギュレスク(前転とび前方かかえこみ2回宙返りひねり=7.00)
非常に雄大で余裕のある実施だったが、着地は止まらず両足で後ろに1歩。得点は16.500。
 2本目 ルーユーフー(側転とび後方屈身2回宙返り=7.00)
これも余裕ある実施だったが、着地は右足を後ろに大きく1歩。得点は16.450 決定点は16.475。
2番手:ブエル選手(フランス)
 1本目 ルーユーフー、ゴロツコフ同様雄大な実施だったが、入りの脚割れも少なく着地も両足で後ろにわずかに動く程度にまとめ、得点は16.575。
 2本目 ドラギュレスク、非常にスピード感のある実施、着地は両足で後ろに1歩動いたが着地前の身体の開きもみられ、得点は16.500。決定点は16.537、ゴロツコフ選手を上回りトップに出る。
3番手:ボテラ選手(スペイン)
 1本目 ドリッグス(6.60)、第1空中局面の脚割れもなく美しい実施だったが、着地は右足を大きく前に1歩。得点は16.075。
 2本目 前転とび前方伸身宙返り2回ひねり(6.60)、腰砕けの着地になってしまい、左に大きくくずれ着地後に全身がラインの外にでてしまい、得点は15.400。決定点は15.737。
4番手:カラノベ(フランス)
 1本目 ルーユーフー、第1空中局面の脚割れも少なくきれいな実施だったが、着地は
きまらず、左足を後ろに1歩。さらにラインオーバーもあり、得点は16.275。
 2本目 ブラニク(前転とび前方屈身2回宙返り=7.00)
 突き手がうまくはいらなかったのか、失速した実施になっていしまい、あわやしりもちという着地。右足を横に出してなんとか踏ん張ったが、ラインオーバーもあり、得点は15.850。決定点は16.062で暫定3位。
5番手:ブラニク選手(ポーランド)
 1本目 ブラニク、自身のオリジナル技だけあって余裕のある雄大な実施、着地は止まらず両足で前に1歩動いたが、得点は16.600。
 2本目 ルーユーフー、着地で大きくはじかれた感じになったが、雄大な実施で得点は
16.475。決定点は16.537、ブエルと同点となったがタイブレーク制度の適用によりトップに立つ。
6番手:コチ選手(ルーマニア)
 1本目 ロペス(伸身カサマツとび2回ひねり=7.00)、するどいひねりだったが、高さ不足か、ひねりきれずに体重が右にかかった着地となり大きくラインオーバー、全身が出てしまう着地ミス。得点は15.500。
 2本目 ヨー2(前転とび前方伸身宙返り2回半ひねり=7.00)、やはり雄大性に欠ける実施で前のめりの着地になっていしまい、得点は16.350。決定点は15.925。
7番手:ドラギュレスク選手(ルーマニア)
 1本目 ドラギュレスク、やはり自身のオリジナル技。貫禄の実施で着地も止め、得点
はここまで最高の16.800。9.800のBスコアが出たことになる。
 2本目 リー・シャオペン(後ろとびひねり前転とび前方伸身宙返り2回半ひねり=7.20)、最高難度の跳躍だったが突き手が入らず、明らかな失速、あわや胴体着陸という実施になってしまったが、かろうじて足からの着地が認められ、得点は15.650。決定点16.225となり暫定4位、メダル獲得かなわず。
最終演技者:カスペロヴィッチ(ベラルーシ)
 1本目 ドラギュレスク、かかえこんだままひねった印象が強く、着地までにひねりきれず、あわやお手つきという着地なった。得点は16.300。
 2本目 ルーユーフー、雄大性に欠け第2空中局面における屈身体勢での脚割れも目立つ実施で低い前のめりの着地となり、着地後前に3~4歩前にあわや跳馬に激突という着地になってしまい、得点は15.850。決定点16.050でメダル獲得ならず。
1位:ブラニク選手、2位:ブエル選手、3位:ゴロツコフ選手、決勝に残った8選手の
うち7選手はAスコア7.00以上の技を2本揃えていた。特に日本国内で未だ実施されていないドラギュレスク、ルーユーフー、ブラニクという高度なとび方が主流となっている。日本選手の奮起を期待したい。
なお、種目別1日目の女子跳馬でパブロワ選手の2本目が0点になったのは、グリーンランプ(演技開始の合図)が点灯する前に演技を始めてしまったためとのことでした。