全日本体操1日目男子レポート

報告者:

男子個人総合予選
大会1日目、個人総合予選と種目別決勝を兼ねて競技が行われた。
個人総合予選については北京オリンピック代表の内、冨田洋之、鹿島丈博、坂本功貴の3選手が欠場したが、先に行われた全日本インカレの覇者植松鉱治選手(仙台大学)と全日本社会人大会の覇者水鳥寿思選手(徳洲会体操クラブ)そして北京オリンピック個人総合銀メダリストの内村航平選手(日本体育大学)、さらには中瀬卓也選手(徳洲会体操クラブ)、沖口誠選手(KONAMI)を交えた白熱した競技が期待された。
水鳥選手はあん馬の終末技逆リヤ倒立3/3移動おりでバランスを崩し、また得意の鉄棒でも停止しかける部分があり得点を伸ばすことができず5位で決勝に進んだ。
植松選手は6種目を通して大きなミスが無く、得意の鉄棒では優勝こそコナミの関口栄一選手に譲ったものの15.600の高得点を獲得、個人総合予選3位で決勝進出。
内村選手と同級生の山室光史選手(日本体育大学)がやはりほぼノーミスの演技を続け後半のつり輪・跳馬で高得点を獲得して同点3位に、山室選手はつり輪で優勝。
スタート種目あん馬で美しく安定した演技で、この種目ただ一人15点台を獲得した星陽輔選手(セントラルスポーツ)がやはり6種目ほぼノーミスの演技で2位で決勝進出。
星選手はAスコアの合計は若干低いものの、6種目すべてでBスコア9点台を達成した。
予選トップ通過は内村航平選手、内村選はスタート種目のあん馬をほぼ完璧な実施で乗り切ると、まさに貫禄の演技を続け、得意のゆかでは予定どおりの演技構成にならず若干Aスコアを下げたが、やはりほぼノーミスの演技を続け、2位星選手に0.650差をつけてのトップ通過となった。
また、アテネオリンピック団体金メダリストの一人であるベテランの塚原直也選手も6種目を通して大きなミスが無く6位で決勝に進んだ。
種目別決勝
○ゆか
優勝はロウユン~前方かかえこみ宙返り転の高度な組み合わせを素晴らしい実施で披露した沖口選手。
2位には前述したとおり予定の演技構成を遂行できなかったが、大きなミス無く演技した内村選手、そして同僚の山室選手、KONAMIの関口栄一選手が同点で入った。
○あん馬
優勝は、この種目ただ一人15点台を獲得した星選手。星選手はEコンバイン、Eフロップ、ウーグォニアン、フェドルチェンコなど転向系主体の演技構成で持ち前のしなやかで正確な実施で栄冠を手にした。
2位には内村選手が入った。これまで失敗の多かったこの種目だが、ミス無く実施。
本人も「あん馬でメダルがとれるとは思っていなかったのでうれしい」とのことだった。
3位には山室選手。山室選手もこの種目での失敗がよく見られたが、この日は非常に安定した演技を披露した。
○つり輪
優勝は非常に力強い演技を披露した山室選手。山室選手は3種目目のメダル獲得となった。
2位にはこの種目を得意とする峯弘幸選手(爽秋会体操クラブ)、小林研也選手(KONAMI)、さらには北京オリンピック団体銀メダリストの一人中瀬卓也選手(徳洲会体操クラブ)が3人同点で入った。
○跳馬
この種目のメダル争いに加わるためには、2本の異なるグループのとび方をしなければならず、6選手の戦いとなった。
沖口選手は1本目ロペス、着地を後ろに大きく1歩で抑えたが痛恨のラインオーバー。
2本目ロウユンも同様の着地となり2位。
3位には、一本目ヨーホンチュル2の着地を後ろ1歩にまとめ、2本目にロウユンで前に1歩動いた小林選手が入った。
優勝は、沖口選手のすぐ後の試技順で沖口選手と同様1本目ロペス、2本目ロウユンを実施した田頭剛選手(順天堂大学)。田頭選手の実施は着地こを2本とも後ろに1歩動いたものの、まさに豪快という言葉がぴったりの実施だった。
○平行棒
優勝は田中和仁選手(徳洲会体操クラブ)。正確な技捌きの棒下宙返り系連続~屈身ベーレを取り入れた演技構成で後方屈身2回宙返りおりの着地もまとめ15.850の高得点を獲得しての優勝だった。
2位にはベテランの塚原選手。塚原選手も棒下宙返り系連続~屈身ベーレを取り入れた演技構成だったが、いわゆるDツイストで少しぶれてしまい田中選手の後塵を拝することとなった。
3位にはあん馬優勝の星選手。棒下宙返り1回ひねりを含む棒下宙返り系連続~ベーレ、車輪ディアミドフなどを取り入れた演技構成で、しなやかで美しい実施だった。
○鉄棒
この種目の優勝者はⅠ班で演技をした関口栄一選手(KONAMI)。得意のアドラー1回ひねり倒立~伸身コスミックを正確に捌き、角度減点されやすい技をほとんど含まないで高いAスコアを実現した演技構成をほぼ完璧に実施し15.950の高得点を獲得し逃げ切った。
2位にはインカレチャンピオンの植松選手。3位には田中和仁選手が続いた。