2008リューキンカップ報告

報告者:

<期間> 平成20年12月10日(水)~12月16日(火):競技12月13日(土)
<場所> アメリカテキサス州・ダラス
<監督> 田野辺満(鯖江高、男子体操競技委員会普及部員)
<コーチ> 尾西雄一(常盤大学高)、梅本英貴(清風高)、西岡康正(関西高)
<選手> 城間東昇(清風高)、福尾誠 (関西高)、佐藤宏太(常盤大学高)、石川大貴(鯖江高)
<競技会場> 本会場 WOGA-Frisco Gym
<大会概要>
 ジュニアナショナルチームから3年連続の派遣となる今大会には、日本、ウクライナ、ロシア、カザフスタン、ブラジル、アメリカ(12クラブ)から6カ国56名がエリートクラス(年齢制限なし)に出場した。団体総合(ベスト2)、個人総合、種目別を1日の試合で競う大会であった。新ルールでの採点が適用された。
 有力選手としては、アテネ五輪代表のErimbetv(KAZ)、2006世界選手権代表のSuprun(UKR)、元世界チャンピオンのIvankov(Gattac,USA)、ロシア(ディナモ)の選手やアメリカの大学生、社会人選手などが参加していた。
 国際大会初出場の福尾誠、石川大貴を含む日本チームにとって、海外の上位選手と同じ舞台で演技ができることは、今後の強化にあたり貴重な経験となることが期待された。
<大会レポート>
■12月11日(木)《1日目本会場練習》
 この日は2つの体育館が1日中フリーで使えたため、日本チームは午後から本会場で行った。内容は続行練習を基本として行い、続行練習の後に不安箇所の確認や後半から着地の練習を重点的に行った。不慣れな器具にも無難に対応することができた。
■12月12日(金) 《2日目サブ会場練習》
 サブ会場のPlanoで8時~12時、17時~20時の2回の練習時間が用意され、日本は夕方の時間で練習を行った。4人とも大変調子が良く、翌日の試合に向け順調な仕上がりを見せた。
■12月13日(土) 《大会当日》
 夕方からの競技となるため、午前中はサブ会場で調整練習行った。
【第1ローテーションあん馬】
(福尾)第1演技者であったが、完璧な演技でチームに良い流れをつくる。
(城間)Dコンバインで少し足を開いたが、種目別3位入賞となる良い演技を実施。
(石川)前半は完璧だったが下りで3部分移動できずAスコアーを下げた。
(佐藤)同じ組のロシアが高得点を出していたため、プレッシャーのかかる場面だった。下りで詰まったもの上々の演技で14.40の高得点を出した。
 スタート種目のあん馬を無難に乗り切ることができた。旋回の大きさは外国の選手に比べ見劣りすることはなかったが、倒立下りの安定感が足りないと感じた。
【第2ローテーション つり輪】
(城間)終末技の前方屈身2回宙返りで前に回りすぎて両手をつく。
(石川)苦手な種目であったが良い演技を実施し14点台に乗せた。
(佐藤) 中水平を新しく取り入れ14点台をキープした。
 つり輪では体格の違う外国人選手との力の差を見せつけられる結果となった。倒立の姿勢や力技を強化していく必要性を再確認した。
【第3ローテーション 跳馬】
(城間)3分アップは良かったが、本番のアカピアンで両手を付いてしまった。
(石川)伸身ユルチェンコ1回ひねり(後ろ1歩)で15.0と予想外の高得点を稼ぐ。
(佐藤)ユルチェンコ2回ひねり(後ろ1歩)で15.75の高得点を出した。
 外国人選手はロペス、ドゥリックス、ローチェなど大技を行う選手が目立ったが着地ミスが多かった。日本選手はBスコアーで得点を稼ぐことができたが、助走のスピードや高さが圧倒的に見劣りする結果であった。
【第4ローテーション 平行棒】
(城間)前半は大変良かったがDツイストで歪み大過失。大変惜しい失敗であった。
(石川)棒下と閉脚中抜き倒立で2度の落下。バーのセッティングが上手にいかなかった。
(佐藤)チームの悪い流れのなか、棒下倒立、ディアミドフひねり、車輪ライヘルト、ティッペルトを完璧に実施し15.50で種目別優勝することができた。
(福尾)チーム状況を考えA得点を下げてミスのない演技を実施しチーム得点に貢献した。
 外国選手は高難度の演技構成を行うが、実施減点が多くきれいな演技が少なかった。チームとしては、後半種目でロシアとの点差を縮めたいところであったが、逆に失敗してしまい悔いが残る種目となった。外国選手はバーのセッティングが早く炭酸マグネシウムをあまり塗らない選手が多かった。日本のジュニア選手も見習う必要があると感じた。
【第5ローテーション 鉄棒】
(石川)前半のひねり技を正確に実施、ホップひねりで危ない場面も立て直し14.55と種目別2位タイとなりチームに良い流れをつくった。
(佐藤)ここまで好調で個人総合でも上位であったが、入りの後ろ振り上がりひねりで持ち損ね停滞してしまった。その後は良い演技だったが悔いが残る演技だった。
(城間)ロシアとの点差を考えると失敗出来ない場面だった。コバチを練習以上に寄せ成功させたが、後処理で詰まってしまった。終末技の伸身ルドルフを見事に決め団体優勝への望みを残した。
【最終ローテーション ゆか】
(佐藤)A得点を押さえて良い演技を実施した。
(城間)CCCの連続で高さが出すぎラインオーバーをした。それ以外は良い出来であった。
(石川)ロシアには届かない状況であり気楽に演技を行った。着地が次々に決まり14.80で種目別2位となり、日本選手のすべての演技が終了した。
<総評>
 今大会は国際大会の経験と団体優勝を目標としていた。団体優勝は0.4の小差で果たすことが出来なかったが、選手コーチが一丸となり団体戦を最後まで戦うことができたことは、私たち若い選手コーチには大変貴重な経験となった。また、きれいな体操・正確な体操は日本にとっての武器であることが再確認できた。今回の遠征で経験した事を日本のジュニア強化の現場に持ち帰り、今後の強化に反映させて行きたいと思います。最後に、本遠征に派遣して頂いた日本体操協会に感謝申し上げ報告とします。
<日本結果>
団体総合2位 173.700
個人総合3位 佐藤宏太 86.250
ゆか2位 石川大貴 14.800
あん馬3位 城間東昇 14.550
平行棒1位 佐藤宏太 15.500
鉄棒2位 石川大貴 14.550