NHK杯男子2日目レポート

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 1日目の成績上位6選手がゆかから、7~12位の選手があん馬から、以下つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒から競技を開始した。
 内村航平(日本体育大学)は、得意のゆかを無難にまとめ16点台のさい先の良いスタートを切った。続くあん馬では、逆交差倒立(D)で若干詰まった印象があったが、その後はフロップ、コンバインなど安定した演技を見せ、まずまずの実施で乗り切った。
 つり輪でも、15点台に乗せることはできなかったものの最後の新月面宙返り下りの着地をほぼまとめ14点台後半を獲得。
 跳馬は伸身ユルチェンコ2回半ひねりで着地こそ両足で小さく1歩とんだが、雄大で美しい実施が評価され全体的に厳しめの採点の中でも16.000を獲得。
 4月の全日本で不調だった平行棒も、1日目同様まずまずの出来で15点台中盤を獲得。
 今大会のトリとなった鉄棒では、屈身コバチ、コールマン、コバチをすばらしい実施で捌き、終末技の後方伸身2回宙返り2回ひねり下りの着地を見事に決めた。
 結局、この日も危なげない演技で、2位以下に3点以上の大差をつけ個人総合でのトップを守りきり、初の世界選手権日本代表の座を獲得した。
 田中和仁(徳洲会体操クラブ)は、最初のゆかでほぼすべての着地を決めるほぼ完璧な実施で15点台を獲得すると、続くあん馬でもすばらしい実施で14点台後半。さらにつり輪では、演技価値点が取り立てて高い訳ではないが、やはりすばらしい実施でこの種目この日のトップとなる15.150を獲得。
 跳馬では、ドリッグスで少し着地が後ろに引けたものの大きなミスには至らず15.700。
 屈身ベーレ(E)、棒下宙返り1回ひねり(チホンキフ=E)を織り込んだ得意の平行棒では、この日もすばらしい実施で、この種目の最高得点となる15.750を獲得。
 最後の鉄棒も正確で美しい実施でまとめ、1位内村選手には及ばなかったが個人総合2位の座をキープ。個人総合での世界選手権日本代表の座を獲得した。
 以下、3位中瀬卓也(徳洲会体操クラブ)、4位水鳥寿思(徳洲会体操クラブ)、5位関口栄一(KONAMI)、6位山室光史(日本体育大学)と続いたが、個人総合での2名の代表が決定し、残り4人の代表枠は種目ポイントの争いとなった。結果、以下の選手が代表の座を獲得した。
○ゆか:沖口誠(KONAMI)    11ポイント
 全種目を実施しなかったため個人総合成績では下位に甘んじたが、得意のゆかでオリジナルの連続技ロウユン(E)~前宙転(C)などを見事にきめ、1位ポイントを3回、2位ポイントを1回獲得。代表選考にあたり、ゆかが平行棒、鉄棒とともに優先種目であるため、この種目のポイントトップになったことにより代表の座を獲得。
○平行棒:中瀬卓也(徳洲会体操クラブ) 10ポイント
 ドミトリエンコ(E)、屈身モリスエ(E)などを織り込んだ演技構成で、最終日こそ前方宙返り開脚抜き腕支持で脚をバーにぶつけるミスを犯し3位ポイントとなったが、1位ポイントを3回獲得、この種目のポイントトップで代表の座を獲得。
○鉄棒:中瀬卓也(徳洲会体操クラブ)  7ポイント
 G難度の伸身コールマンを取り入れ演技価値点を高めた演技構成で、4日間すべて大きなミスを出す事無く、最終日こそポイント獲得に1歩及ばなかったが、1位ポイントを1回、2位ポイントを2回獲得し、平行棒とあわせ2種目目のポイントトップ。
○跳馬:関口栄一(KONAMI) 15ポイント
 跳馬に関しては異なるグループから2本跳ばないとポイント争いに加われない条件の中、ヨーホンチュルⅡ(7.00→内規適用7.20)とドリッグス(6.60)を跳び、1位ポイント3回、2位ポイント1回を獲得。
ちなみに、他の種目では1位:3ポイント、2位:2ポイント、3位:1ポイントのところ跳馬のみ1位:4ポイント、2位:3ポイント、3位:2ポイントが与えられる取り決めとなっていたため、あん馬、つり輪のポイントトップの選手をおさえ代表の座を獲得。
○あん馬:坂本功貴(セントラルスポーツ) 9ポイント
 ゆか、平行棒、鉄棒のような優先種目でなかったため、優先種目の代表選手がすべて異なった場合には代表の座をつかむことができなかったが、中瀬が1人で2つの種目でポイントトップとなったため代表の座を獲得。
 全日本の初日に予定の演技が遂行できず0ポイントだったが、その後は、Eフロップ、Eコンバイン、ウーグォニアンなどを取り入れた価値点の高い演技構成を安定した実施でこなしきり1位ポイントを3回獲得。
○つり輪
 この種目に関しては個人総合7位の渡邊恭一選手(順天堂大学)が中水平、十字倒立など非常に正確な姿勢で静止時間も十分な力静止技を披露し、終末技の後方かかえこみ2回宙返り2回ひねり下りの着地を止めるなどすばらしい実施で、1位ポイント2回、2位ポイント1回、合計8ポイントを獲得したが、あん馬の坂本にわずか1ポイント及ばず、この種目での代表選出はならかった。