ユニバーシアード女子個人総合レポート

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1ローテー目
 田中選手は跳馬の4番スタートで、ロンダート後転とび~後方伸身1回ひねりを跳躍し、13.800とまずまずのスタートを切ることができた。中国、北朝鮮、ロシアと強豪国が揃う中でも大きさのある跳躍は見事であった。岡部選手は段違い平行棒の4番スタートで、前半は落ち着いた演技ができたが後方1/2ひねり前方2回宙返り下りで尻もちをつき12.250のスタートとなってしまった。アップの際にも最後まできちんと確認できていただけに残念であった。
2ローテー目
 田中選手は段違い平行棒の3番目の演技で、団体総合の時よりも2つの宙返り技を大きく実施することができ、着地までしっかり決め自身の持っている力を全て発揮し13.700であった。岡部選手は平均台の3番目の演技で、前半部分は完璧に近い流れを作ったが、中盤の前方宙返りで落下してしまった。残る演技はふらつくことなくまとめたが、結果12.400であった。
3ローテー目
 田中選手は平均台の2番目の演技で、片足踏み切り前方屈身宙返り両足着台でふらつきがあったものの粘り強くこらえ、大きなミスすることなく13.600という結果であった。岡部選手はゆかの2番目の演技で、団体総合の時に悔やまれた各アクロバットの着地やラインオーバーをしっかりと修正し一つ一つの技を丁寧に実施したが、Dスコアを上げることができず13.000という結果であった。
4ローテー目
 田中選手はゆかの1番目の演技で、1本目を前方伸身宙返り2回ひねりに変更し着地をまとめ、残るアクロバットも高さある着地を意識するような実施ができたが13.450という結果であった。しかし、場内からは田中選手の完璧近い演技に拍手が沸き起こり、田中選手自身も笑顔でフィニッシュすることができた。岡部選手は跳馬の1番目の演技で、ロンダート後転とび~後方伸身宙返り1回ひねりを素晴らしい高さで着地までまとめ、13.850とこの日4番目の得点でフィニッシュした。結果、田中選手は5位、岡部選手は9位とメダルには届かなかったものの、日本の美しい体操は十分にアピールすることができた試合展開であった。
 個人総合を制したのは中国のJIANG Yuyuanであったが、現地入りしてからの練習を見ている限り本調子ではなかったように思う。段違い平行棒では、背面車輪ひねりの組み合わせにて落下という珍しいミスもあったが、他の種目はきっちりと演技をまとめてくるあたりはさすがに競技能力が高い。また、段違い平行棒の倒立姿勢や平均台の演技にて体の軸がぶれることのない捌き方、ゆか演技の頭の先からつま先まで体全身で芸術性をアピールする演技力の高さは実に見事であった。そして、北京オリンピックや世界選手権の代表選手と同じ班で大きなミスをすることなく演技することができた田中選手、また、失敗が出ても気持ちを切り替えて前向きに試合運びができた岡部選手の両選手にとって、非常に価値ある試合を経験することができたであろう。