第63回全日本インカレ1部校男子個人総合レポート

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 前日の団体戦における個人順位上位からゆかから鉄棒に各種目6人ずつ振り分けられ、計36人で競技が行われた。
第1ローテーション
 ゆかの1番手は古賀裕将選手(日大4年)、後方かかえこみ2回宙返り2回ひねりで入り、終末技は後方伸身宙返り3回ひねり。終末技の着地は後ろに1歩動いたがまずまずの実施。
 宗像陸選手(仙台大2年)は、テンポひねり~前方伸身宙返り2回半ひねりで入り、途中後ろとびひねり前方屈身2回宙返りひねり、終末技に後ろとびひねり前方かかえこみ2回宙返りひねりを実施、前日の16点台には及ばなかったが15.900の高得点を獲得。
 寺尾尚之選手(日体大4年)もミスの無い堅実な実施で続き、山室光史選手(日体大3年)は3連続宙返りで入り、後ろとびひねり前方屈身2回宙返り、ツルバノフ、トーマス転、そして終末技に後ろとびひねり前方かかえこみ2回宙返りを取り入れた演技構成で最初と終末の着地で動いてしまったが全体的には無難にまとめ15.500。
 予選トップの内村航平選手(日体大3年)は非常に躍動感のある高い宙返りを披露し、2節目、3節目、終末技で着地が動いたが16.250の高得点を獲得。
○内村選手の演技構成
 後方伸身宙返り1回半ひねり~前方伸身宙返り2回ひねり~前方伸身宙返り1回半ひね り、前方伸身宙返り2回半ひねり、後方かかえこみ2回宙返り2回ひねり、後方伸身宙 返り2回半ひねり~前方かかえこみ宙返り1回ひねり、フェドルチェンコ、トーマス転、 後方伸身宙返り3回ひねり
 中島立貴選手(日体大4年)もまずまずの実施で、6選手ともさい先の良いスタートとなった。
 あん馬では、前日この種目で落下のあった渡邊恭一選手(順大4年)と終末技が不認定となってしまった田中佑典選手(順大3年)がこの日はまずまずの実施で乗り切った。
 田頭剛選手(順大4年)もミスの無い安定した実施だった。
第2ローテーション
 予選上位6選手はあん馬。
 宗像選手はEフロップ、Dコンバインを成功させた後の転向移動(ウー・グォニアン?)で落下。痛恨のミスで13.250。
 寺尾選手は安定した実施で14.800を獲得。
 山室選手は、逆交差倒立、Dコンバイン、ウー・グォニアンまでは順調だったが、Eフロップで落下。
 内村選手は、逆交差倒立、Eフロップ、Dコンバイン、ウー・グォニアン、マジャール、シバド、ポメル旋回、シュテクリB、シュテクリA直接倒立3/3移動下りの演技構成を素晴らしい実施でまとめ15.100を獲得。
 中島選手も素晴らしい実施で15.150を獲得。古賀選手もまずまずの実施だった。
 つり輪では、田中選手が伸身ヤマワキ、けあがり脚上挙、後方かかえこみ2回宙返り2回ひねり下りを取り入れた演技構成で、まずまずの実施。
 渡邊選手が、ホンマ十字懸垂~引き上げ中水平、アザリアン、ほんてん十字倒立、屈身ヤマワキ~ヤマワキ~後ろ振り上がり倒立、後方車輪、後方かかえこみ2回宙返り2回ひねり下りの演技構成で、力技の実施も良く、さらに着地も止め15.100。
 田頭選手は、中水平が高く、後方かかえこみ2回宙返り2回ひねりの着地も後ろに大きく2歩動き、13.950と得点を伸ばせなかった。
 ここまでの得点
 内村31.350、中島29.600、渡邊29.550、寺尾29.300、
 宗像29.150、山室29.000、田中28.950、古賀28.850、
 田頭28.250
第3ローテーション
 予選上位6選手はつり輪
 寺尾選手はまずまずの実施。続く山室選手は前日15.100を獲得しているが、この日はいくつかの力静止技の静止時間が短かったようで、14.500と得点を伸ばせず。
 内村選手は後方かかえこみ2回宙返り2回ひねりの着地を止めるなど、素晴らしい実施で15.200を獲得。早くも独走態勢に入った感があった。
 この種目については、中島、古賀、宗像の各選手も無難にまとめた。
 跳馬では、田中選手がアカピアンで後ろに1歩。15.300
 渡邊選手もアカピアン、こじんまりした実施になってしまい、15.050。
 田頭選手はロペスでライン減点があったが、跳躍自体は素晴らしく16.550。
 ここまでの得点
 内村46.550、田頭44.800、渡邊44.600、田中44.250、
 寺尾43.650、中島43.350、山室43.500、古賀43.400、
 宗像43.150
第4ローテーション
 上位6選手は跳馬
 山室選手はロペス、団体戦では後ろに1歩で押さえ16.650を獲得していたが、この日は少し詰まった跳躍となり、前に大きく1歩。ライン減点もあり15.950。
 内村選手は伸身ユルチェンコ2回半ひねり、両脚で前に1歩。得点は16.050。
 宗像選手はヨーⅡ(伸身クエルボ2回ひねり)、かなり詰まった着地となり、かろうじて手をつかずに立つ。得点は15.650。
 中島選手はアカピアンをまとめ15.300。
 古賀選手はかかえこみユルチェンコになってしまう完全な失敗で、なんと12.150。この失敗が響き、上位争いから脱落。
 寺尾選手は伸身ユルチェンコ2回ひねりで後ろに1歩、まずまずの実施で15.200。
 平行棒
 渡邊選手は、屈身ベーレをかかえこみに変更した安全策で、後方屈身2回宙返り下りの着地は動いたが15.200を獲得。
 田中選手も後ろ振り上がり前方宙返り支持、棒下宙返り系連続、ヒーリー支持などを織り込んだ演技構成でまずまずの実施、渡邊選手と同点の15.200を獲得。
 田頭選手は、棒下宙返り系連続~後方車輪~ドミトリエンコ、屈身ベーレを取り入れた演技構成で後方屈身2回宙返り下りの着地も1歩にまとめたが、14.800。
 ここまでの得点
 内村62.600、渡邊59.800、田頭59.600、田中59.450、
 山室59.450、寺尾58.850、宗像58.800 、中島58.650、
古賀54.550
第5ローテーション
 予選上位6選手は平行棒
 内村選手、団体戦では着地をピタリと止め15.950の高得点を獲得したが、この日は棒下宙返り倒立が若干流れ、ドミトリエンコが詰まり、後方屈身2回宙返りの着地も動き15.050にとどまった。
 中島、宗像、寺尾、山室の4選手もまずまずの実施だった。
 鉄棒では、田中選手がコールマン、コバチ~リバルコを成功させDスコア6.90(シュタルダー1回半ひねり片大逆手が両大逆手握りになれば7.00→内規適用で7.30)の演技構成で後方伸身2回宙返り2回ひねり下りの着地こそ止まらなかったが15.700の高得点を獲得。
 渡邊選手は団体戦で落下したG難度の伸身コールマンを成功、田中選手を上回る高得点が期待されたが、かかえこみのコールマンで痛恨の落下。コールマンをやり直し成功させ、後方伸身2回宙返り2回ひねりの着地も止め、Dスコア7.30(内規加点0.30)で14.750。
田頭選手は、団体戦で失敗したアドラー1回ひねり~伸身コスミックを成功。目立ったミスの無い実施で14.450。
 ここまでの得点
 内村77.650、田中75.150、渡邊74.550、田頭74.400、
 山室74.200、寺尾73.800、宗像73.700、中島73.600、
第6ローテーション
 予選上位6選手は鉄棒
 ここまでノーミスの中島選手が伸身トカチェフで落下。その後の実施はまずまずだったが、後方伸身2回宙返り2回ひねり下りの着地で前に大きく1歩。13.350で順位を下げる。
 宗像選手は目立ったミスは無かったが、Dスコアが低く13.600。やはり順位を下げる。
 寺尾選手は、コバチ、コールマンを成功、その後も順調に演技を進め、後方伸身2回宙返り2回ひねり下りの着地も止め15.200。上位をキープ。
 山室選手も目立ったミスの無い演技で締めくくり、3位以内入賞に望みをつなぐ。
 内村選手は、屈身コバチを非常に高く完璧な伸身体勢を見せる捌きで成功させると、シュタルダー1回半ひねり片大逆手を挟んで、やはり非常に高く完璧な伸身体勢を見せるコバチ、さらにはコールマンを成功。後方伸身2回宙返り2回ひねりの着地こそわずかに動いたが、素晴らしい実施で15.500。
 ゆかでは、田中選手が前方伸身宙返り2回ひねりで大きく前に1歩動いたが、その後はうまくまとめ、終末の後方伸身宙返り3回ひねりの着地も1歩に押さえ、14.700。 渡邊選手は、前方伸身宙返り2回ひねり~前方かかえこみ宙返り1回ひねり、トーマス転、前方かかえこみ宙返り転、後方伸身宙返り2回半ひねり~前方宙返りひねり、十字倒立、脚上挙~伸腕屈身力倒立、後方伸身宙返り3回ひねりの演技構成で、すべての着地を止める素晴らしい実施で15.150を獲得。
 田頭選手も目立ったミスを出すことなく最後の種目を締めくくった。
 結果、内村選手が貫禄の演技で93.150の高得点で優勝。
 以下、2位:田中89.850、3位:渡邊89.700、4位:山室89.100、5位:寺尾89.000、6位:田頭88.450という結果となった。
 種目別の各優勝者は次のとおり
 ゆ か:内村航平選手(日体大3年) 16.250
 あん馬:亀山耕平選手(仙台大3年) 15.900
 つり輪:内村航平選手(日体大3年) 15.200
 跳 馬:田頭 剛選手(順大 4年)  15.950
 1本目ロペス、2本目ローウン
 平行棒:渡邊恭一選手(順大 4年) 15.200
      田中佑典選手(順大 2年) 15.200 平行棒は同点優勝
 鉄 棒:田中佑典選手(順大 2年) 15.700
個人総合優勝:内村航平選手のコメント
 優勝について:うれしいです。
 平行棒が残念だったが:いつものことなんで。(最近平行棒が良くないことが多い)
 平行棒が普通にいけば94点台も可能ですね:94点台は簡単ではないと思いますが、がんばります。
 世界選手権個人総合金メダル期待しています:がんばります。