世界体操男子種目別後半レポート

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 ロンドン世界選手権最終日は、現地時間13時から男子跳馬がスタート。ロンドンの気温は約12度。今日も曇りがちな空模様。O2アリーナ内も肌寒いが、競技が始まれば昨日同様に観客の熱気に包まれそうなくらい会場は盛り上がりを見せている。
 日本選手団は午前に平行棒の田中選手がウォームアップ会場入り、鉄棒の内村選手は午後2時に会場入り。昨日は誠に惜しい結果だっただけに期待も膨らむ。
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■男子跳馬'
【BOTELLA PEREZ Isaac(ESP)】 得点 15.700
1st ドリッグス 着地前に大きく1歩
2nd 前転とび前方屈身宙返り2回ひねり 着地前に大きく1歩
【GOLOTSUTSKOV,Anton(RUS)】 得点16.287
1st ドラグレスク 宙返りの足開きが目立つが高さは十分、着地後ろに1歩
2nd 屈身ツカハラ宙返り 雄大な跳躍 着地前に1歩ジャンプ
【BOUHAIL,Thomas(FRA)】 得点 15.775
1st 屈身ツカハラ宙返り 高さがあったが、着地が後ろに転倒しそうになり、半身で後ろに片手つく
2nd ドラグレスク 足開きが目立つのが残念な跳躍 着地1歩とぶ
【FAHRIG,Matthias(GER)】 得点 15.850
1st ドラグレスク 予選時より高さが無く、ひねりが不足気味で着地へ、結果横に大きく1歩。
2nd ドゥリッグス 良い実施で着地も1歩におさえる
【DRAGULESCU,Marian(ROU)】 得点 16.575
1st ドラグレスク 実施の正確さ、高さ、飛距離ともに他選手を圧倒。着地も余裕の後ろに1歩。
2nd リシャオペン 2本目に7.2の跳躍を持つ。着地が後ろに1歩も、素晴らしい跳躍に場内は大きな歓声と拍手
【WAMMES,Jeffrey(NED)】 得点 15.425
1st ユルチェンコ2 回半ひねり 実施減点のない美しいな実施が評価。着地は前に1歩。
2nd 前転とび前方伸身宙返り2 回ひねり 踏み切り時のスピード無く、つき手も弱く、尻もちとなる。
【KOCZI, Flavius(ROU)】 得点 16.337
1st ロペス 着地後ろに1歩も良い実施であった。
2nd ヨー2 高さ、姿勢とも素晴らしい実施であった。跳躍着地小さく1歩
【RI,Se-Gwang(PRK)】 得点15.650
1st 屈身ドラグレスク 今回跳馬種目別で最も注目される選手が最終演技者で出場。高さが無く、着地は前につぶれるように転倒。2日前の会場練習時でも調子は下降気味であったが、今日もその調子の悪さが出てしまった。
2nd 屈身ツカハラ宙返り ユニバー時は、カサマツ宙返り(7.2)を発表したが、今大会では屈身ツカハラ宙返り。実際に競技で見てみたがったが残念であった。実施は、着地が左横に左足1歩+右足も1歩出てしまい。ラインオーバー0.4点減点となった。
 優勝はDRAGULESCU、2位にKOCZIが入りルーマニア勢が健闘。3位にはロシアのGOLOTSUTSKOVが入った。注目された北朝鮮のRI,Se-Gwangは振るわなかった。
■平行棒
 田中選手が3位と見事にやってくれた。田中選手、そのご家族の皆様、そしてコーチ関係者、おめでとうございます。内村選手、中瀬選手の分まで頑張ってくれました。総務I君の大きくてパンチのある声援が日本にも届きましたか。
【WANG,Guanyin(CHN)】 得点15.975
逆上がりひねり倒立(E)、棒下宙返り倒立(D)、前振り上がりディアミドフ(E)、ドミトリエンコ(E)、屈身モリスエ(E)、屈身ベーレ(E)、チッペルト(D)、ヒーリー(D)、前方開脚5/4 宙返り腕支持(D)、その後の倒立時に肘が多少緩む 後方屈身2回宙返り下り(D) 着地止める。試技順1番手ながら非常に素晴らしい実施で高得点。
【YOO,WonChul(KOR)】 得点 15.300
逆上がり倒立(D)、後方車輪(C)、屈身ベーレ(E)、屈身モリスエ(E)、ドミトリエンコ(E)、ヒーリー(D)、前方開脚5/4 宙返り腕支持(D)、チッペルト(D)、ピータース(D)、閉脚浮腰上がり倒立(B)、後方屈身2回宙返り下り(D) 着地で上体が多少揺れたが減点までされないであろう着地で、安定感ある演技を収めた。
【KIERZKOWSKI,Adam(POL) 】 得点 14.325
前振り上がり開脚抜き倒立(B)、車輪(C)、棒下宙返り倒立(D)、ピータース(D)、閉脚浮腰上がり倒立(C)、前方開脚5/4 宙返り支持(E)、前振り開脚抜き倒立(B)、チッペルト(D)、ヒーリー(D)、後方屈身2回宙返り下り(D) 終末技まで良い実施であったが、終末技で勢い余って飛ぶように尻もち。
【FENG,Zhe 馮 (CHN)】 得点15.775
前振り上がり開脚抜き倒立(B)、ドミトリエンコ(E)、棒下宙返りひねり倒立(E)にて倒立時にバランスを崩し1,2手動かす、棒下宙返り倒立(D)、棒下宙返り1 回ひねり倒立(E)、前方開脚5/4 宙返り支持(E)、モリスエ(D)、ヒーリー(D)、後方車輪(C)、屈身ベーレ(E)、後方屈身2回宙返り下り(D) 着地で大きくとぶ。中国平行棒の2枚看板、特に、棒下宙返り1 回ひねり倒立(E)の実施は素晴らしい。
【ZONDERLAND,Epke(NED )】 得点 15.125
棒下宙返り倒立(D)、チッペルト(D)、ペガン(E)、閉脚浮腰上がり倒立(C)、マクーツ(D)、ヒーリー(D)?開脚前方5/4 宙支持(E)、脚前挙、伸腕屈身力倒立(B)、後方屈身2回宙返り下り(D) 着地も止め、実施も良いように見えたが得点が伸びず、場内ブーイング。しかしながら、一つ一つの技の正確さを欠いていたように観察できた。とくにマクーツでの単棒倒立の停止時間が長く、難度が取れていない可能性もある。
【PHUOC HUNG Pham(VIE) 】 フランスCUCHERAT,Yannの欠場によってリザーブとして出場。得点 14.475
前振り上がり開脚抜き倒立(B)、棒下宙返り倒立(D)にて1手前に大きく動かす、ケンモツ(C)、開脚前方5/4 宙支持(E)、カット(B)、力倒立(B)、ヒーリー(D )、ピータース(D )、開脚浮腰上がり倒立(B)、後方屈身2回宙返り下り(D) 着地後ろに1歩。
【TSOLAKIDIS,Vasileios(GRE) 】 得点 15.350
け上がり開脚抜き倒立(B)、棒下宙返り倒立(D)、リチャード(E)、ツォラキディス(E)、ヒーリー(D )、前方屈身2 回宙腕支持(E)、後ろ振り上がり開脚入れ、(B)、ディアミドフ(C)、ディアミドフひねり(D)、後方屈身2回宙返り下り(D) 安定感のある演技で、着地も多少動いたように見える程度であった。ツォラキディス2は実施していなかった。
【田中和仁(JPN)】 得点 15.500
前振り上がり開脚抜き倒立(B)、棒下宙返りひねり倒立(E)、棒下宙返り1 回ひねり倒立(E)、棒下宙返り倒立(D)、屈身ベーレ(E)、モリスエ(D)、その後のカットから倒立に挙げる時に多少停滞、前振りひねり倒立(C)、ピータース(D)、閉脚浮腰上がり倒立(C)、後方屈身2回宙返り下り(D) 美しい線と丁寧で正確な演技で場内を魅了し、着地も見事に止めてくれました。
■鉄棒
 第一演技者のカッシーナに始まり、鄒凱、ホートン、内村、最終演技者のペガンまで、手放し技の組み合わせの多様化が進む激戦となった。内村選手は惜しくも6位にとどまったが、彼の特徴であるダイナミックで華麗な演技はしっかりと観衆の目に焼き付けた。
【CASSINA,Igor(ITA)】 得点 15.625
カッシーナ(G)、コールマン(F)、コバチ(D)、アドラー1 回ひねり(D)?ヤマワキ(D)+0.2、エンドーひねり(B)、後方とび車輪1 回ひねり(C)、リバルコ片大逆手から片手で1回ひねり(C)、ツォルミン(C)、後方伸身2 回宙返り1回ひねり下り(D) カッシーナ、コールマンと高難易度な手放し技を雄大に実施、リバルコ片大逆手から片手で1回ひねりはC難度と思われる。終末技を1回ひねりにし着地を優先したが小さく1歩とぶ。
【TSAREVICH,Aliaksandr(BLR )】 得点 14.375
シュタルダーとび1 回半ひねり片大逆手(D)、コバチ(D)、リバルコ片大逆手(C)、アドラー1回ひねりで倒立に収められず、エンドーひねり(B)、アドラー倒立(C)、エンドー1回ひねり大逆手(D)、後方かかえ込み3 回宙返り下り(E) 鉄棒が遠くて握りの確認が不十分。終末技は、足開きが見られず素晴らしいかかえ込み姿勢であったが、着地で2歩大きく前に動いた。
【LEYVA,Danell(USA )】 得点 15.600
アドラー1 回ひねり(D)?ヤマワキ(D)+0.2、屈身コバチ(E)、コバチ(D)、アドラーひねり(D)?伸身トカチェフ(D)+0.2、レイヴァ選手の特徴的な技であるアドラーとび倒立(D)、1 回ひねり大逆手(C)、閉脚エンドー1回ひねり大逆手(D)、後方伸身2 回宙返り2回ひねり下り(E ) 終末技の着地も決まり、4位入賞。
【ZOU,Kai 鄒凱(CHN)】 得点 16.150
シュタルダーとび1 回半ひねり片大逆手(D)、アドラーひねり(D)?伸身トカチェフ(D)+0.2、リバルコ(D)?ヴィンクラー(E)+0.2、アドラー1 回ひねり(D)?ヤマワキ(D)+0.2、多少の腰とり、エンドー1 回ひねり大逆手(D)?伸身イエガー(D)+0.2、後方伸身2 回宙返り2 回ひねり下り(E) 北京オリンピックのチャンピオンが、Dスコアを7.5まで引き上げて優勝。伝統的でもあるシート系や大逆手からの手放し技でDスコアをUP、4つの手放し技の安定性も高く、着地も小さく1歩にまとめた。
【内村航平(JPN)】 得点15.175
屈身コバチ(E)、シュタルダーとび1 回半ひねり片大逆手(D)、コバチ(D)、コールマン(F)、後方とび車輪1 回ひねり(C)、リバルコ片大逆手(C)、エンドー1 回ひねり大逆手(D)、大逆手エンドー(C)、大逆手車輪(B)、後方伸身2 回宙返り2 回ひねり下り(E)  鄒凱とは異に、コバチ系のダイナミックな構成で挑んだ内村選手は、いつものように正確な技を実施していく。着地も腕を多少回してバランスをとったが見事に止める。得点が伸びずに観客から今大会一番のブーイング。
【ZONDERLAND,Epke(NED)】 得点 15.825
エンドー1 回ひねり大逆手(D)、カッシーナ(G)にて多少足開き、コールマン(F)、シュタルダー1 回半ひねり大逆手(E)、アドラーひねり(D)?ゲイロード2(E)+0.2、アドラー倒立(C)、アドラー1 回ひねり両逆手(E)、後方とび車輪1 回ひねり(C)、後方伸身2 回宙返り2 回ひねり下り(E)は失速し膝が曲がったが、着地は止まった。ゲイロード2では膝曲がりが目立ったが、7.3のDスコアとし、見事に表彰台に上がった。
【HORTON,Jonathan(USA)】 得点13.250
エンドー1 回ひねり大逆手(D)、アドラー1 回ひねり(D)?ヤマワキ(D)+0.2、カッシーナ(G)、屈身コバチ(E)、コールマン(F)落下、後方とび車輪1 回ひねり(C)、リバルコ片大逆手(C)、1 回ひねり大逆手(C)、後方伸身2 回宙返り3回ひねり下り(F)で前につぶれるように転倒。2日前のトレーニング会場で見せていた、カッシーナ、フェデルチェンコ下りに挑んだが、コールマンの落下と終末技の着地で失敗した。
【PEGAN,Aljaz(SLO)】 得点15.500
エンドー1回ひねり大逆手(D)、ペガン(E)?リバルコ(D)+0.2、シュタルダー1 回半ひねり大逆手(E)、アドラーひねり倒立(D)?トカチェフひねり(D)+0.2、シュタルダー1回ひねり大逆手(D)、ツォリミン(C)、後方とび車輪1 回ひねり(C)、後方かかえ込み3 回宙返り下り(E) ロンドン世界選手権最後の演技者ペガン選手は大声援の中、着地は大きく2歩前に乱れたが、雄大な演技で観客を魅了した。
 今大会、日本チームは、個人総合で内村選手が期待通りに金メダル、そして種目別では田中選手が銅メダルであった。ライバルの中国勢は、狙い通りに種目別で4つの金メダルを獲得した。なお、新ルールになって初年度であるが、ゆかでの対角線の連続での3本目使い方でE審判の減点がなされたどうか疑問も残った。