全日本2日目男子レポート

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 1日目の上位42選手が出場権が与えられ、競技が行われた。
首位中瀬選手と内村選手の差は1.200。中瀬選手が首位の座を守るか、内村選手の逆転優勝がなるか。はたまた、山室選手あるいは植松選手に運命の女神がほほえむのか。
 7組編成で競技が行われるため、1日目の上位6選手は休みからのスタートとなった。
 第1ローテーションでは初日7~6位の選手がゆかから演技を開始した。
 この組では、宗像陸選手が次のような独創的で高度な演技構成を披露した。
テンポひねり~前方伸身宙返り2回半ひねり、タマヨひねり(後ろとびひねり前方伸身2回宙返りひねり)、後方伸身宙返り2回半ひねり~前方伸身宙返り1回半ひねり、後方伸身宙返り2回半ひねり~前方かかえこみ宙返り1回ひねり、フェドルチェンコ、後ろとびひねり前方屈身2回宙返りひねり
 非常に迫力のある演技実施で大きな実施ミスは見られなかったが、終末技の屈身姿勢が曖昧で伸身姿勢(第2節の技の繰り返し)と判定されたようで、Dスコアが5.50と表示され、ライン減点もあったため得点を伸ばすことが出来なかった。
 跳馬では、前日着地の乱れとラインオーバーにより得点を伸ばすことができなかった田頭剛選手がロペスを豪快にと跳び、見事に着地を止めた。
 第2ローテーションではゆかに1~6位の選手が登場、各選手の演技に大きなミスはなかったが、ゆかを得意とする内村選手が15.625の高得点を獲得、14.800にとどまった中瀬選手との差を早くも0.825縮める結果となった。
 そして第3ローテーションで大きな動きがあった。あん馬最初の演技者内村選手が、1日目で失敗した部分を無事乗り切り、Eフロップ、Dコンバイン、マジャールシュピンデル、ウーグォニアンまで順調に演技を進めていたが、マジャール移動の途中で落下、しかし、マジャール移動からやり直し傷口を最小限にとどめ14点台を獲得。
 続く植松選手は終末技まで順調にこぎつけたが、逆リヤ倒立3/3移動下りでバランスを崩し本来下りる側の反対に下りてしまったため、終末技無しと判定されたようで得点を伸ばすことが出来なかった。
 山室選手は落下することなく演じきったが、思いの他Dスコアが高くなかったためか、かろうじて14点台に乗せるにとどまった。
 中瀬選手は、入りの逆交差倒立から下ろしたところでまさかの落下、その後はトンフェイ、
ウーグォニアン、シバド、背面とび横移動倒立3/3移動下りまで成功させたが、落下が響き大きく得点を落とし、一気に4位まで後退してしまった。
 この時点で1位:内村、2位:山室、3位:植松
第4ローテーション、初日1~6位の選手はつり輪。
 この種目では大きな波乱はなく、植松選手が前方屈身2回宙返り下り、山室選手、中瀬選手が後方伸身2回宙返り1回ひねり下り、内村選手が後方かかえこみ2回宙返り2回ひねり下りで着地を止める良い実施が続いたが、高いDスコアの演技構成で力強い演技を見せた山室選手、丁寧な演技を見せた内村選手が15点台を獲得し、じわりと点差を広げた。
第5ローテーション、初日1~6位の選手は跳馬。
 内村選手が伸身ユルチェンコ2回半ひねりでほぼ完璧な実施、山室選手はロペスで後ろ斜めに大きく1歩動き-0.400のライン減点。中瀬選手は昨日は成功したローチェでしりもち、植松選手はドリッグスをまずまずの実施でまとめた。
第6ローテーション、初日1~6位の選手は平行棒。
 1日目15.650の高得点を上げた中瀬選手が、ドミトリエンコ、屈身モリスエ、前方宙返り開脚抜き腕支持などを取り入れた1日目と同じ演技構成で落下などの大きなミスはなかったもののEスコアが伸びず14.850。
 内村選手は、前半の棒下宙返りひねり倒立、棒下宙返り倒立が若干はずれていたが、続くドミトリエンコ、ベーレなどから素晴らしい実施を見せ、後方屈身2回宙返り下りも見事に止め、15.750を獲得。独走態勢に入った感があった。
 植松選手もホンマ、棒下宙返りひねり倒立、棒下宙返り倒立、屈身ベーレ、チッペルト、ヒーリーなどを織り込んだ演技構成で後方屈身2回宙返り下りの着地を止め、15点台。
 山室選手は、棒下宙返り1回ひねりを含む棒下系3連続、車輪ディアミドフ、チッペルトなど無難にまとめ、着地も1歩に押さえたが15点台にはわずかに届かず。
最終ローテーション、初日1~6位の選手は鉄棒。
 森選手が伸身トカチェフ(D)からトカチェフひねり片大逆手持ち(D)を成功。
 内村選手は、昨日2回落下のウップンをはらすような素晴らしい演技実施で、後方伸身2回宙返り2回ひねり下りの着地も見事に止め、全日本個人総合3連覇をほぼ手中に。
欲を言えば、コールマンの姿勢改善を望みたい。
 植松選手は昨日は後方伸身2回宙返り1回ひねり下りでDスコア7.30(内規適用7.60)だった演技構成。今日は同じ演技内容で終末技を2回ひねりにグレードアップ。7.40(内規適用7.70)のDスコアを達成し、今日も4つの手放し技をすべて成功させるなど順調に演技をこなし着地も止め、16.275の驚異的な高得点を獲得。内村選手にはとどかなかったが個人総合2位に入ってきた。
 山室選手は、アドラー1回ひねりからのヤマワキで少しバランスを崩し、続くエンドーひねりで手を握り損ねて痛恨のダブルスイング。得点を伸ばせず、中瀬選手に追い上げられたが3位の座をキープ。
 最終演技者中瀬選手は、伸身コールマン、コールマン、アドラー1回ひねり~ヤマワキと無難に捌き、後方伸身2回宙返り2回ひねり下りの着地もまとめ、15.475を獲得し追い上げたが、3位山室選手にわずか0.125及ばず4位。
 終わって見れば、内村選手が2位に2.275差をつけての圧勝という結果となった。
しかし、優勝した内村選手を始め、多くの選手に失敗が目立った大会となってしまった。6月に開催されるNHK杯(兼世界選手権・アジア大会最終選考会)ではミスのない完璧な演技を期待したい。