体操JAPAN CUP 2010 男子団体総合レポート

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 日本はアメリカとともにゆかからのスタート、2番手で出場予定の植松鉱治選手が前日の練習で膝を負傷したため急遽田中和仁選手が出場することになったが、3選手ともミスの無い実施で順調なスタートとなった。
 1種目目を終わって、跳馬スタートのイギリス、フランスに次ぐ3位(1位イギリスとの差は1.900)となったが、2種目目あん馬では、2番手内村航平選手がフロップで少しバランスを崩したが持ちこたえる。
 1番手田中選手、3番手小林選手はほぼ完璧な演技実施。2種目目を終わって2位に浮上。1位イギリスとの差を1.000に詰める。
 今回のあん馬ノーミス、これは世界選手権に向けて大きな自信となるのはないだろうか。
 3種目目つり輪では、1番手田中選手がグチョギー連続からのほんてん倒立で前に倒れてしまうミスを犯してしまったが、続く小林選手、山室光史選手が素晴らしい演技でカバー。3種目を終わって2位イギリスに1.850差をつけてトップに立つ。
 4種目目跳馬では、1番手小林選手がドリッグス。着地で前に大きく2歩動いてしまうが、2番手内村選手がシューフェルトで見事に着地をきめ16.200。3番手山室選手がロペスを後ろ1歩に押さえて16.400。
 2位イギリスとの差を4.150に広げてトップの座をキープ。
 5種目目平行棒では、3番手田中選手にドミトリエンコで大きく詰るミスがあったものの、その前後は素晴らしい実施で15.400。山室、植松の両選手は無難にまとめ。2位イギリスとの差を6.450に広げる。
 最終種目鉄棒、1番手田中選手がほぼ完璧な実施で着地まで止めて15.450。
 2番手内村選手もほぼ完璧な実施で、これまた着地まで止めてEスコア9.400の高評価、得点は16.100。
 最終演技者植松選手は、TV放送の関係でかなり待たされての演技となったが、伸身コールマン、アドラーひねり~コバチ、コールマン、アドラー1回ひねり~ヤマワキと4つの手放し技をすべて成功、後方伸身2回宙返り1回ひねり下りの着地も見事に止め16.200。世界のファイナリストとして十分通用するパフォーマンスを見せつけた。
 結果、日本は2位ドイツに9.200の大差をつけての圧勝で団体総合2連覇を飾った。2位には、前半得点が伸び悩んだが、最終種目ゆかで大技を連発したドイツが、3位にはやはり前半得点が伸び悩んだアメリカが入ってきた。
 以下、4位:イギリス、5位:韓国、6位:ロシア、7位:フランス、8位:ルーマニアという結果となった。
 2位ドイツは、あん馬でエースHAMBUECHEN選手が落下、鉄棒でNGUYEN選手がコールマンで2回落下するなど大きなミスがあったが、ゆかではFAHRIG選手が後ろとびひねり前方屈身2回宙返り1回半ひねり、NGUYEN選手が後方かかえこみ2回宙返り3回ひねりの大技をそれぞれ成功させるなど意欲的な演技が注目された。
 3位アメリカは、落下、転倒などの見た目の大きなミスは無かったものの予定した演技が遂行できなかったり、若干不本意な実施になってしまったようであるが、RUGGERI選手がタマヨを素晴らしい実施で成功させるなど、スケールの大きな演技実施が印象的だった。
再来年のオリンピックホスト国であるイギリスは、全体的に演技価値点は高くなかったものの大きなミスもなく、美しく正確で雄大な演技実施が印象的だった。オリンピックに向けて良い形で強化が進んでいるのではないだろうか。
 韓国は、あん馬、鉄棒で大きなミスがあった。難度面、実施面ともに種目のバラツキが目についた。
 ロシアは、今回若手中心のメンバーとみられミスが目立ったが、演技価値点を高めながら美くしく、雄大に捌こうとしているように感じられた。
 フランスはミスも多く、難度面、実施面の両方で未熟さを感じた。
 ルーマニアは、ドラギュレスク選手が跳馬でドラギュレスクを成功させるなどさすがと思わせる部分もあったが、今回のチームはフランスと同様、難度面、実施面の両方で未熟さを感じた。