体操JAPAN CUP2010男子個人総合レポート

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 日本からは内村航平選手(日本体育大学)、山室光史選手(同)が出場。
■内村選手のスタート種目はゆか。
 後方伸身宙返り1回半ひねり~前方かかえこみ宙返り1回ひねり転(バンローン)、前方かかえこみ宙返り1回ひねり~前方伸身宙返り2回ひねりをうまくまとめたが、後ろとびひねり前方屈身2回宙返りひねりで少し着地が乱れる。最後の後方伸身宙返り3回ひねりも両足で前に1歩動いたが、15.750。1種目目を終わって早速トップに立つ。
 あん馬は、逆交差1把手上倒立をうまく捌くと、Eスロップ、Dコンバイン、ウーグォニアン、マジャール、シバド、下りまでほぼ完璧な実施でこの種目唯一の15点台を獲得。2位山室選手に0.200差でトップをキープ
 つり輪は、後ろ振り上がり中水平~アザリアン、ほんてん十字倒立、後ろ振り上がり十字倒立を正確に力強く捌き、後半のホンマ十字懸垂の静止時間が少し短かったように見えたが、後方かかえこみ2回宙返り2回ひねり下りの着地を見事に止め、15.475。順調に15点台を積み重ねるが、跳馬でロペスを成功させた山室選手に抜かれ2位に後退。
 跳馬は、伸身ユルチェンコ2回半ひねりで両足で前に1歩、惜しくも着地をとめることができなかったが16.050。ここで山室選手を再逆転、0.800差をつけてトップに立つ。
 平行棒は、後方屈身2回宙返りで両足で後ろに1歩動いたが、棒下宙返り系連続、ドミトリエンコ、ベーレ、モリスエ、車輪ライヘルト、前方宙返り開脚抜き腕支持をうまくまとめ15.250。2位山室選手との差を1.250まで広げ、トップの座をキープ。
 最終種目鉄棒は最終演技者として登場。屈身コバチをほぼ完璧に捌き、シュタルダー1回半ひねり片大逆手、アドラー1回ひねり~ヤマワキ(伸身コスミック)の後の車輪で肘をまげてしまうが、コバチ、コールマンはほぼ完璧。後方伸身2回宙返り2回ひねり下りの着地を完璧に止め、得点は15.950。93.450という驚異的な総合得点をマークしての圧勝で大会2連覇を果たした。
■山室光史選手はあん馬スタート。
 逆交差一把手上倒立、とび正交差ひねり逆交差入れ、Dコンバイン、Eフロップ、ウーグォニアン、マジャール、シバド、順調に終末技までミス無く実施。14.750でまずまずのスタート。
 つり輪は、F難度の伸腕伸身逆上がり中水平~ナカヤマ~十字倒立、後ろ振り上がり十字倒立を力強く実施、さらに後半に屈身ヤマワキ~後ろ振り上がり中水平~アザリアンを入れ後方伸身2回宙返り1回ひねり下りの着地を見事に止め、15.850。2種目を終わって内村選手に0.200差の2位に浮上。
 続く跳馬ではロペスで後ろに大きく1歩動き、ライン減点もあり16.000。しかし、ここで内村選手を抜き0.400差をつけ暫定トップに立つ。
 平行棒は、棒下宙返りひねり倒立~棒下宙返り1回ひねり倒立~棒下宙返り~ベーレ、さらにチッペルトと順調に演技を進め、後方屈身2回宙返り下りは後ろに1歩、得点は14.850。内村選手に抜かれ0.800差の2位に後退。
 鉄棒は、アドラー1回ひねり~ヤマワキで独特の表現を見せ観客を沸かせる。演技全体をうまくまとめ、後方伸身2回宙返り2回ひねり下りの着地を見事に止めた。得点は14.800、内村選手との差は1.250に開くが、3位NGUYEN選手(ドイツ)に0.800差をつけて2位をキープ。
 最終種目ゆかでは細かな着地ミスが重なり15点台には届かなかったが、宙返り3連続で入り、後ろとびひねり前方屈身2回宙返り、宙返り連続、トーマスと大きなミスなく豪快にこなし、最後の後ろとびひねり前方かかえこみ2回宙返りも両足で前に1歩にまとめた。得点は14.850で、総合得点で内村選手に2.350差をつけられたものの91.100という高得点をマークして2位の座をキープして競技を終了。ロッテルダム世界選手権で内村選手とともに個人総合表彰台を期待させるに十分なパフォーマンスを披露してくれた。
 3位以下は、種目ごとに順位が入れ替わるめまぐるしい展開となったが、つり輪からスタートしたKIM Soo Myun選手(韓国)が全種目大きなミスなく競技を終了し4位BELYAVSKIY選手(ロシア)に0.200の僅差で3位に食い込んだ。
 KIM選手は、跳馬でドリグッスを成功させ15.800。平行棒では前振り上がり開脚抜き倒立、棒下ひねり、棒下、車輪、ドミトリエンコ、ベーレ、モリ末、ヒーリー、後方屈身2回宙返り下りで14.550.鉄棒ではコールマン、アドラー1回ひねり~ヤマワキを取り入れた構成をそつなくこなし、後方伸身2回宙返り2回ひねり下りの着地を止め15.050。ゆかでは前方伸身宙返り2回半ひねりで入り、後方宙2回半ひねり~前方宙2回ひねり、新月面、フェドルチェンコ、伸身トーマス転、後方宙1回半ひねり~前宙1回ひねり~前宙1回半ひねり、最後の後方伸身宙返り3回ひねりの着地で少しバランスを崩しかけるが15.050。3種目で15点台を獲得した。最終種目のあん馬では、マジャール、シバド、Eフロップ、Dコンバイン、ウーグォニアンを取り入れた演技構成でウーグォニアンでバランスをくずし脚がバラついたが、旋回の質が素晴らしく非常に雄大で美しい線を醸し出していた。韓国のあん馬については、HA Chang Ju選手も質の高い実施が印象的だった。
 以下、4位にBELYAVSKIY選手、5位にPURVIS選手(イギリス)、6位にHAMBUECHEN選手(ドイツ)が入った。
 HAMBUECHEN選手は、スタート種目のあん馬で団体戦に続きまたも落下、12.550という低い得点で16位(最下位)スタートとなってしまった。しかし、2種目目つり輪で力強い演技実施で前方屈身2回宙返りひねり下りの着地をきめ14.750。跳馬では伸身ユルチェンコ2回ひねりの着地を止め15.550。徐々にペースを取り戻し、平行棒でも後方屈身2回宙返り下りの着地を止め15.150。鉄棒では、屈身コバチ、コールマン、伸身トカチェフ、アドラー1回ひねり~ヤマワキ、4つの手放し技をすべて成功、後方伸身2回宙返り2回ひねり下りの着地を止め15.550。最終種目ゆかでも、入りの後方伸身2回宙返り2回ひねりをぴたりと止めるとテンポ~ツルバノフ(後方伸身宙返り1回半ひねり転)、トーマス転などをつぎつぎときめていき、最後の後方かかえこみ2回宙返り1回ひねりもうまくまとめ15.150。着地のうまさを見せつけ、4種目で15点台を獲得し最終的に6位まで順位を上げてきた。
 その他注目された技としては、5種目終了時3位につけ、最終的に7位となったNGUYEN選手(ドイツ)がつり輪の入り技で懸垂から伸腕伸身で引き上げ中水平を実施、さらにゆかでは後方かかえこみ2回宙返り3回ひねり(リジョンソン)で見事に着地を止めていた。