第64回全日本体操競技選手権大会女子種目別予選レポート

報告者:

跳馬
 出場選手が11名となったため、決勝進出に向けての争いは寂しいものとなった。その中で、今年団体優勝したアジアジュニアのメンバーであった古西里咲(大泉スワロー体育クラブ)が1本目に前転とび前方屈身宙返りひねり、2本目にツカハラとび2回ひねりを見せ、両方の着地をまとめて予選トップに立った。ツカハラとび2回ひねりはDスコア6.0ということで、全選手の中でトップであった。昨年の優勝者の永井美津穂(東海テレビ東名体操クラブ)が、1本目にユルチェンコ2回ひねり、2本目に前転とび前方屈身宙返りひねりを跳んで2位に入った。アジア大会でこの種目銀メダルの田中理恵(日体大大学院)が、1本目にユルチェンコとび1回半ひねり、2本目に前転とび前方かかえ込み宙返りひねりを決めて3位につけた。世界選手権、アジア大会と跳馬で活躍した小沢茂々子(戸田市体操協会)は、得意のユルチェンコとび2回ひねりの着地で両手をつく大過失を出して、8位通過となった。
段違い平行棒
 この種目において国内で圧倒的な力を持つ鶴見虹子(朝日生命体操クラブ)の棄権により、優勝争いが混沌としていたが、今年初めて行われたユース五輪代表の笹田夏実(大泉スワロー体育クラブ)がこの日大きなミスのない演技を見せてトップに立った。非常に独創的な構成となるアドラー~背面車輪1回ひねりを決めたのが際立った。続いて世界選手権代表の新竹優子(羽衣国際大学)がシュタルダー1回ひねり~ギンガー、エンドー1回ひねり~イエーガーといった連続技で得点を稼いで2位に入り、フット1回ひねり~ギンガーや閉脚シュタルダー半ひねり~イエーガーを決め、Dスコアがトップタイであった寺本明日香(レジックスポーツ)が3位になった。北京五輪団体5位のメンバーであった美濃部ゆう(朝日生命)は、Dスコアは寺本選手と並んでいたものの、最後の前方2回宙返りの際にバーに近い実施となり、着地が非常に低い姿勢となり、Eスコアを伸ばせなかった。
平均台
 残念ながら多くの落下が見られたが、Dスコアで唯一6点台を出した笹田夏実と、Eスコアでトップの田中理恵が並んで1位となった。笹田は入りのロンダード~後方伸身宙返り1回ひねり上がをきれいに決めたが、Y字ターンでバランスを崩したのが悔やまれる。一方田中は自信に充ちた演技で、オノディ、交差輪とびといった高難度もきれいにまとめた。3位は新竹優子と中島由香(朝日生命)が並んだ。新竹は交差輪とびで、中島は側方宙返りでそれぞれバランスを崩したものの、その他の演技は非常に落ち着いて決めた。
ゆか
 昨年の大会でこの種目で3位に入った村上茉愛(池谷幸雄体操クラブ)が相変わらずの高難度の連続を見せてトップに立った。1本目に伸身ダブル、2本目にかかえ込み新月面を見せ、最後は3回ひねりで前に一歩動いたが、今日の女子の最後の演技者として大いに盛り上げた。笹田夏実が続いて2位に入ったが、1本目のかかえ込み新月面で前に大きく一歩動き、かかえ込み2回宙返りでは着地で弾み、最後の屈身2回宙返りも後ろに2歩動いて、やや精細を欠いた演技になってしまった。村上、笹田の両名ともジュニアの選手であるが、Dスコアでも他を引き離していた。続いて、上位2名とは対照的にベテランの大島杏子、美濃部ゆう(共に朝日生命)がEスコアでトップの得点を出して3位タイに入った。美濃部は着地をほぼすべて止めたのがかなり好印象であった。アジアジュニアでこの種目の優勝を飾った古西は2本目に前方2回ひねり~伸身前宙、3本目も後方2回半~伸身前宙と、伸身前宙が繰り返しとなってしまうことになりDスコアを落として僅差の5位となった。