第65回全日本体操競技選手権・1日目女子第3班

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第1ローテーション
順調な滑り出しを見せたのが鶴見虹子選手(朝日生命)。オノディでわずかなふらつきと、終末技の後方2回半ひねりの着地で前に大きく動いた以外はほぼ完璧な演技。この日初の14点台となる14.400を出した。同じ組の田中理恵選手(日本体育大学大学院)はオノディで大きくバランスを崩してEスコアを伸ばせず、この班のみでは現在2位。跳馬でユルチェンコ2回ひねりを決た寺本明日香選手(レジックスポーツ)が3位。笹田夏実選手(大泉スワロー体操クラブ)は平均台の入り技で落下し得点を伸ばせず。
第2ローテーション
鶴見選手がこのローテの最終演技者でゆかを演技。月面宙返りを外し、後方1回半ひねり~前方1回ひねりを加えた新しい構成の演技を披露。終末技の屈身ダブルで低くなってしまったが、大きなミスを出さず13点台をキープし、トップ。田中選手は世界選手権以来気になっている3本目のシリーズ技も無難にまとめ、今のところゆかでは最高のEスコア(8.150)を出して、この班の2位をキープ。寺本選手も段違い平行棒で着地をほぼ止めるいい演技で3位を維持し、女子では珍しいツカハラとび2回ひねりを決めた古西里咲選手(大泉スワロー体操クラブ)が4位。
第3ローテーション
跳馬でユルチェンコ1回半ひねりの着地を僅かに前に一歩出しただけに留め、Eスコアで9.1を出した田中選手が、ユルチェンコ1回ひねりの鶴見選手を逆転してこの班のトップに立った。平均台で終末技の3回ひねりまできれいにまとめた寺本選手が3位を維持し、更に同じく平均台でふらつきを最小限に抑え、大きな減点を見せなかった大島選手が4位、ダンコ絵里香リン選手(ドリーム体操クラブ)が跳馬でユルチェンコ2回ひねりをうまくまとめて5位に入ってきた。同じく跳馬でユルチェンコ1回ひねりに技を落としてうまくまとめた笹田選手が僅差の6位。
第4ローテーション
第2班の飯塚選手が出した52.950が明日の最終班になるボーダーラインとなったが、それに向けてまずは鶴見・田中の段違い平行棒の対決となった。しかし、先に演技をした田中選手が新しく入れたマロニーで落下。逆に鶴見選手は昨年世界選手権以降苦しんでいた片手軸大逆手車輪1回半ひねり~トカチェフ、更に、新たに入れた片手軸前方車輪1回ひねり大逆手~片手軸大逆手車輪1回ひねりも見事に決め、段違い平行棒でも14.400と平均台と並んでこの日最高点をマーク。結果的に鶴見選手が田中選手を1点上回り、第1日を終えてトップに立った。そして、最終種目で上位に食い込んだのが北京五輪代表の新竹優子選手(羽衣国際大学)と大島杏子選手(朝日生命)。新竹選手は平均台でノーミスのすばらしい演技を見せ、大島選手は曲も構成も一新した演技で、新たに入れた後方2回半~前方1回もきれいに決めた。この二人が3位タイになり、実力者の意地を見せ付けた。そして、第2班の飯塚選手が5位となり、最後のゆかでノーミスながら点数が伸びなかった寺本選手が6位となり、ここまでが明日の最終班での演技となる。
7位以下の選手に関しては、ミスに泣かされた形となり、昨年の世界選手権代表の山岸舞選手(羽衣国際大学)は8位、ユース五輪代表の笹田選手が9位、北京五輪代表の美濃部ゆう選手(朝日生命)は第2班で、昨年のアジアジュニア優勝メンバーの谷口佳乃選手(戸田市スポーツセンター)、古西選手は第4班での演技となった。
明日は鶴見・田中の一騎打ちが注目されると同時に、ミスで順位を落としている実力者たちが如何に順位を上げてくるか注目される。また、女子は明日の終了時点でユニバーシアード代表が決定される。現在、ユニバ資格のある選手の中で上位の大島、田中、新竹、山岸、今西、美濃部の上位選手の他、椋本啓子選手(大阪体育大学)、大瀧千波選手(国士舘大学)、内村春日選手(日本体育大学)、竹内世梨奈選手(日本体育大学)といった選手たちが約1点差以内にひしめく接戦となっている。その争いも大いに注目されるところであり、明日の楽しみの一つである。