2011世界体操選手権女子予選第6班レポート

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優勝候補の筆頭になる中国が登場。最初のゆかから昨日までの選手との格の違いを見せつけた。二人目のHUANGこそ一本目のシリーズの屈身月面で手を着いてしまう大過失を犯すが、他の選手は着地でほんの僅か動く程度の減点に留めて安定感あふれる演技を見せた。際立ったのは三人目のYAOと四人目のSUI。YAOは伸身ダブルから始まり、3回ひねりでは着地がピタリと止まり、足上げ2回ターンもかなり軸がしっかりと回れていた。SUIはテンポ~3回ひねり、後方2回半~伸身前宙1回ひねりなどを盛り込んだ構成で、脚力の強さを感じさせた。この二人が14.533と14.600と高得点を出して、まずまずのスタートを切った。
跳馬はSUI以外ユルチェンコ2回ひねりで、YAOが見事に着地を止めて14.866を出した。JIANGは高さが出ずに低い着地で大きく前に動いてしまい、最後のTANもマット外に出てしまうミスを出してしまったが、二人とも14点台をキープし、チーム得点は57点を超えた。
得意の段違いで中国はミスを重ねてしまった。まず、一人目のTANがパク宙返りの際にマットに足を擦り、その後もダブルスイングとなる大過失。続くYAOは引き続き好調な演技を続けて、低棒でシュタルダー~シュタルダーシャポシュニコワ~パク宙返りという入りでミスなく決めたが、JIANGはリチナの後のけ上がりで上がらずやり直し。そして、片手軸大逆手車輪半ひねりのところで戻ってしまい、大過失が2つとなった。そして、北京五輪金メダリストのHEまでも伸身イエーガーで落下。その後、パク宙返りの後、低棒でのけ上がりでもミス。非常に悪い雰囲気の中、最後の演技者のHUANGだけは確実に決めて、大逆手エンドー系を含めたシリーズを屈身イエーガーに繋げるという連続を見事に決めて、ノーミスの演技でこの種目最高点となる14.900(D6.7)を出して何とか中国の意地を見せた。
平均台は3人目のTANが後転とび連続~後方伸身宙で落下。しかし、他は段違い平行棒でのミスを感じさせない演技で、特にSUIはF難度の前宙半ひねり(グリゴラス)をピタリと決め、ぐらつきを見せたのが羊とびの際の僅かな動きくらいでEスコア9.0をマーク。決定点15.400としてこの種目のトップに立つ演技であった。更にYAOも2か所ほど小さくぐらついたが、後転とび連続~後方伸身宙をピタリと決めるなど落ち着いた演技で15.066をマーク。二人が15点台ということでこの種目のチーム得点も59点を超えた。この結果、中国はルーマニアを3点以上上回る230.370を出して、現時点で団体トップに立った。
五輪出場権内に近付いている韓国。スタート種目の跳馬では、1番手EUNは伸身ユルチェンコ1回ひねり、2番手、3番手は1回半ひねり、4番手KIMは1本目伸身ユルチェンコ2回ひねりを質の高い実施で成功させ、2本目に前転とび前方かかえこみ宙返り1回半ひねりに挑戦したがひねりきれず胴体着地に近い着地になってしまった。5番跳馬のスペシャリストのJOは1本目伸身ユルチェンコ2回ひねりを質の高い実施で着地まで止め、2本目は伸身ポドコパエヴァ、これは少し前にかかった着地となり大きく前に1歩。2本跳んだ選手の2本目にミスがあったが、チーム得点に関わる跳越にはミスが無く、良い流れを作った。
2種目目段違い平行棒では、1番手PARK Ji Yeonが1回の落下を含む2つの大過失を出してしまうと、続く2選手にも落下などの大過失があり、跳馬で作った良い流れが一転、悪いムードとなってしまった。しかし、4番手EUMはトカチェフ~ギンガーを成功、さらにイエガーを行いかかえこみ月面の着地をまとめ、最終演技者HEOもシャポシュニコフ~ほんてん1回ひねり~トカチェフ~パク、マロニー、ホルキナを成功、伸身2回宙返りの着地もまとめた。
平均台も1番手PARK Ji Yeonが後ろとびひねり前転とびで落下、屈身2回宙返り下りも危ない実施で段違い平行棒の悪い流れをひきずってしまうかに見えたが、2番手
PARK Kyung Jinが側方宙返り両足立ち~後転とび~後方伸身宙返りの連続を成功させ、大きなミスなく演技すると続く3選手は若干のふらつきはあったものの大過失の無い演技でこの種目を乗り切った。
ゆかは1番手EUMが非常に高さのあるかかえこみ2回宙返りから入ると順調に演技し、終末の屈身2回宙返りまでうまくまとめ良いスタートを切った。最終演技者のKIM Doyoungが終末の屈身2回宙返りの着地で大きくはじかれ前に手を着く大過失を出したが、2~4番手の選手が大きなミスを出すことなく演技し、チーム得点は確保した。
結果的に韓国はミスが響き、昨年9位のオランダに僅かに及ばず現段階で6位となり、五輪最終予選となる来年の五輪テストイベント(ロンドン)出場枠である、16位以内は確保できるであろう状況となったが、決勝進出は厳しくなってしまった。