第70回全日本体操競技選手権大会 女子予選第1班

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第一ローテーション
渡邊咲貴選手(市立尼崎高等学校)の笑顔溢れる魅力的なゆかの演技で競技が始まる。1本目の2回半ひねりでの着地が乱れてしまうが、屈身ダブル等を決め、終始素敵な笑顔と独特な身体の線で表現する選手。
跳馬では塙颯香選手(フジスポーツクラブ)が小柄ながら高さのある転回~屈身前宙1/2ひねりを決め、会場を沸かせる。
シーズン最初の試合、なんとも言えない独特な緊張感が会場を包み、オリンピックイヤーの熱い戦いが始まる。
第二ローテーション
おそらく全日本選手権初出場の安優音選手(常磐大学高等学校)。平均台でアクロバットだけでなく、羊とびや交差輪とび、2回ターン等、ダンス系の高難度の要素に果敢に取り組み、Dスコアを上げる。緊張からか、実施ではふらつきが多くなってしまったが、一つ一つの技の質は良い。今後期待したい選手の一人である。
ゆかでは中村春香選手(国士舘大学)が雄大に屈伸ダブルやかかえ込みダブルを決め、大学生ならではの芸術性で演技をまとめる。以前より身体がよくしぼれている印象。
今年フジスポーツクラブから順天堂大学に進学した原島瑛理選手は同じくゆかで独特なオルゴール調の曲で目線、表情にまでこだわった演技を見せる。
所属の変わった選手、コーチの新しいユニフォーム姿を見るのも年度初めの試合観戦の楽しみの一つである。
第三ローテーション
平均台は再び塙選手。片足伸身前宙+羊とび(D+D)や、バク転+両足バク転+両足伸身宙返り(B+B+E)、バク転~片足スワン+片足スワン(C+C)など、果敢に連続技に取り組み、交差輪とび(E)、かかえ込みダブルおり(D)と、盛りだくさんの構成。多少ふらつきはあったが、その元気良さと高い難度点と組み合わせ転を取りにいく前向きな構成は大いに評価したい。
段違い平行棒は藤井惟選手(国士舘大学)翻転、足裏支持回転、シュタルダーなどの回転系の要素を多様に使い、イエガー、そして、フットトカチェフ!その後の振り上げ倒立を担いでしまったが、日本ではなかなか見ない雄大な手離し技を披露してくれた。
年度が変わり、心機一転、各所属の新しいデザインのレオタードも見どころ。(年々ストーンなどをあしらった「キラキラ」なデザインが増えている印象)
第四ローテーション
やはり目を惹かれるのは塙選手。ダンスの部分ではまだ少しあどけなさも見せるが、アクロバットでは、ロンダート~後方1回半ひねり~ロンダートバク転~3回ひねり(間接C+E)を組み合わせでやってのけ、2回半ひねり+前宙(D+A)、抱え込みダブルとこちらも盛りだくさん。そして交差輪とびや前後開脚とび1回ひねりなどのジャンプやターンも正確にこなす。以前よく使われた表現だが、まさに「ゴムまりのような」体操をする選手。東京オリンピック世代のまだ13歳。