第31回オリンピック競技大会・男子団体予選第1班

報告者:

■第1ローテーション あん馬
加藤凌平
逆交差倒立でやや角度が甘くなったが、シュテクリA倒立3/3移動下りまで無難にまとめた丁寧な演技。好スタート。14.800
田中佑典
交差倒立系でしっかりと決めてきたが、その後が丁寧な演技になり過ぎ、シバド移動でややスピードが落ちて落下。その後はしっかりと決めた。13.366
山室光史
正交差倒立で倒立が上がり切らない印象。その後はスムーズな流れで落ち着いて演技をしたが、最後の逆リア倒立3/3移動はやや流れてしまった。14.533
内村航平
つり輪で地元のZANETTI(ロンドン五輪金メダリスト)が演技を終え、大きな声援が起こった直後に演技開始。逆交差倒立は抑えてきたが、その後の流れはかなりよく、シュテクリA倒立3/3移動までスムーズであった。14.966
Eスコアが9点に乗っていないが、全体的には田中の落下を引きずらず、要所を抑えて無難なスタートを切った。
種目合計44.299
■第2ローテーションつり輪
加藤凌平
ほん転倒立でバランスを崩して戻りかける。力技や振動系はまずまずであったが、ホンマ十字で揺れてしまった。最後のかかえ込み新月面は後ろ一歩。13.966
田中佑典
中水平~け上がり脚上挙十字~ホンマ脚上挙十字はしっかりと決めた。グチョギの後にそのまま車輪に流しかかえ込み新月面は見事に着地を止めた。
14.733
内村航平
前半の力技、振動系は問題なく捌けたが、ほん転倒立で肘が緩んでしまって得点が伸びず。
14.700
山室光史
後ろ振り上がり十字倒立の後に実施した押し上げ倒立で体が反ってしまった。また、後ろ振り上がり上水平やほん転倒立も収めがいつものようにいかず、点数が伸びず。
14.700
ブラジルのつり輪の点数は上回っているものの、2種目連続で15点台に乗らず。後半の巻き返しが必須となる。
種目合計 44.133 
第2ローテ終了後 88.432
※ブラジル1位で日本2位。その差0.616。場内はかなり盛り上がる。
■第3ローテーション跳馬
加藤凌平
ロペス。後半で膝の曲がりがあったものの、何とかひねり切った。着地は後ろ一歩。14.933
山室光史
果敢にロペスに挑んだが、高さとひねり不足で完全に横から着地。ロンドン五輪の悪夢が浮かびかけたが何とか大事には至らなかった。13.200
内村航平
リシャオペンは着地両足一歩。さすがの跳躍を見せた。15.533
白井健三
シライ/キムヒフン(ユルチェンコ3回ひねり)。余裕を感じさせる実施を見せた。着地は後ろ一歩。15.466
2本目はドリッグス。着地を止めかけたが最後に小さく一歩後ろに両足で一歩動いた。15.283
初の五輪ながらしっかりと2本揃えてきて、非常に頼もしいところ。
種目合計 45.932
第3ローテ終了後 134.364(ブラジルを抜いてトップに立つ)
■第4ローテーション平行棒
加藤凌平
棒下系から倒立にしっかりとはめて波に乗った。ヒーリーの後の移行でスピードが鈍った以外は着地まで止めてかなりの出来を見せた。15.500
田中佑典
ヤマムロ(棒下マクーツ)で単棒倒立になったところでバランスを崩してそのまま懸垂にしてしまう。その後の棒下系も本来の捌きではなく、ピーターズでは倒立でかなり体が反ってしまう。最後の後方屈身2回宙は両足で前に一歩。13.866
内村航平
マクーツでもよどみない捌きでいい流れを作り、ヒーリー以降の技はかなりいい出来であった。着地は両足で前に大きく一歩。15.466
山室光史
ヤマムロ(棒下マクーツ)で田中と同じようにバランスを崩して横に出る。しかし、浮き越し上がりで一回で上がらず繰り返しとなったため、力を使ってしまったのか、その後、再度ヤマムロに挑戦しようとしていたが、棒下になったところで上がらずにそのまま落下。その後のシャルロなどはよかったが、最後の後方屈身2回宙は大きく前に一歩動いた。12.733
大過失が2つ出てしまい、得意の平行棒で45点を超えず。
種目合計 44.832
第4ローテ終了後 1位 179.194
■第5ローテーション鉄棒
加藤凌平
カッシーナを見事に決め、その後はアドラーひねりから直接伸身トカチェフに繋げず安全策を取った。その後、アドラー1回ひねりは停滞したがヤマワキにしっかりと繋げた。最後は伸身新月面で後ろに大きく動いたが、トップバッターの役割をしっかりと果たし続けている。15.000
田中佑典
カッシーナ、シュタルダーとび1回半ひねり大逆手懸垂と最初からいい捌きの演技を見せたが、最後伸身新月面で着地の膝が突っ張ってしまい、後ろに大きく動く。14.666
内村航平
屈身コバチでまさかの落下。その後、アドラーひねり~コールマン、アドラー1回ひねり~ヤマワキと決め、最後の伸身新月面はきれいに着地を止めた。非常に残念な演技。14.300
山室光史
アドラーひねり~コールマンは、アドラーひねりのところで腰を反ってしまった。また、アドラー1回ひねり~ヤマワキも捌きとしてはかなり詰まってしまった。最後の伸身月面はほぼ着地を止めた。14.333
種目合計 43.999
得点を稼げる鉄棒で45点に届かず。
第5ローテ終了時点
223.195
この時点でブラジルが日本を上回り、1位となった。
個人総合予選は内村、加藤がワンツーとなっている。
■第6ローテーションゆか
田中佑典
各着地で僅かに動くに留め、倒立系の技も2カ所しっかりと静止を見せて決めた。最後の後方3回ひねりも僅かに動く。15.233
加藤凌平
最初の2本は前に両足で一歩動いてしまったが、その後のタンブリング系は着地を止めた。つり輪、鉄棒と僅かなミスはあったものの、チームの雰囲気の中ではかなりいい出来を見せた。15.033
白井健三
2本目のリジョンゾンで後ろに着地が弾かれてラインオーバー。その後、前方1回ひねり~前方3回ひねり(シライ2)もややひねり不足の印象。後方2回半~前方2回半も前に一歩となったが、最後の後方4回ひねり(シライ/グエン)はほぼ着地を止めた。15.333
内村航平
前方1回ひねり~前方2回半ひねりで前に一歩動いたが、それ以外は、後方3回ひねり~前方1回半ひねりなど、ポディウム練習とは違ってしっかりと決めてきた。15.533
種目合計 46.099
合計 269.294(1位)
日本は各種目で大過失や中過失が出てしまい、チーム得点は270点を超えることができず、15点平均を下回った。最初の班ということもあって比較的E得点が厳しい状況の中で、想定していた点数に届かなかった。選手たちの中で緊張感はさほど高くなかったというコメントも出ていたが、それでもミスが出てしまうというのは、五輪ならではの雰囲気、更に、地元ブラジルが演技をし、好調な演技を続ける中で会場全体の雰囲気も盛り上がったこともあったかもしれない。しかし、今回の選手たちに言えるのは、調整力の高さであり、ポディウム練習から今日の予選の演技まで、克服すべき課題もしっかりと見えたはずなので、決勝では各自が自分の力を取り戻した演技をすることに期待したい。
個人総合では内村が90点を辛うじて上回ってトップに立ち、今日好調な演技を見せた加藤が2位につえている。昨年の世界選手権で銀メダルを獲得したキューバのLarduetは跳馬で11点台となってしまい現在7位に留まっている。地元ブラジルは3位にSASAKI、4位にMARIANOが入っている。
種目別予選はゆかで内村が、跳馬で白井が1位となっている。白井のゆかは3位。