第31回オリンピック競技大会・女子団体予選第1班

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第1ローテション
中国は平均台スタート。WANGがロンダード~後方伸身宙でバランスを崩したほか、交差ジャンプ半ひねりでもふらつきがあり、緊張感を隠せない演技であった。SHANGは後転とび連続~後方伸身宙をピタリと決め、ほかの要素も後方3回ひねりの終末技の着地以外はほとんど減点を見せなかった。FANは交差輪とび、前方開脚伸身宙でバランスを崩しかけ少し停滞を見せたが14.866とチーム最高得点。中国は3名で演技を終了。
CHUSOVITINAは一本目にチュソビチナで後ろに両足で大きく一歩動いたが高さのある実施を見せ、2本目はツカハラ2回ひねりを実施して、これも着地で後ろに動いたが余裕のある実施であった。平均得点14.999として種目別決勝進出に向けて各選手がこの得点を目指すことになった。
段違い平行棒のベルギーは3人目のDERWAELが15.133をマークするなど、チーム得点を43.041として中国との差を0.291差とした。DERWAELはバハドワージュ(パク宙1回ひねり)を成功させた模様。
第2ローテーション
ゆかで中国はFANが後方屈身2回宙の着地で後ろに2歩動いてしまったが、そのほかはタイ雄系まで丁寧な捌きを見せた。WANGは脚力の強さを見せて、一本目にかかえ込み新月面(シリバス)を見せ、2本目は後方1回半から後方3回ひねり~前方かかえ込み宙という高難度の組み合わせを見事に決めた。3人目のMAOは1本目の後方3回半ひねり~屈身前宙でラインオーバー、2本目の後方1回半~後方2回半ひねりで後ろに手を着くミス。SHANGは1本目の後方3回半ひねりでひねり不足となり、その後前宙に繋げたものの非常にヒヤリとするものであった。その後の後方1回半ひねりから後方3回半ひねり~屈身前宙の連続は見事に決めた。この種目、チーム得点は42.266に留まり、思うように点数が伸びていない。
ベルギーは平均台も好調な演技を続け、大過失を見せなかった。ジャンプの開脚度に問題がある場面もあったが、DERWAELとWAEMが13.966を出し、14点台こそいなかったものの、うまく乗り切ったといえよう。
第3ローテーション終了時点で中国が85.598としてベルギーとの差を0.792とした。
第3ローテーション
中国は跳馬の演技。MAOはユルチェンコ2回ひねりをほぼ着地を止めて決めた。WANGはツカハラ2回ひねりで後ろに大きく一歩。TANはチュソビチナで腰取りが早い印象ではあるが着地後ろ一歩でまとめ、2本目はユルチェンコ2回ひねりで両足で後ろに一歩弾んだ。SHANGはユルチェンコ2回ひねりで前に崩れてしまった。SHANGのミスこそあったものの中国は跳馬で力を取り戻した。
ベルギーはゆか。WAEMはタンブリングは2本であるものの、振り付けと音楽にかなりのオリジナル性を出して観客を盛り上げた。DERWAELも体操系でかなりの熟練度を見せて、さらに振り付け部分の時間がかなり長い演技で魅了した。そして、HERMANS、MYSもタンブリング系で前半の二人よりも難度を上げつつ、振り付けに関しては同じく工夫が見られた(ブラジルの観客もかなりいい反応で盛り上がった)。平均台と同様、14点台までは届かないが、13点台をしっかりキープした。
CHUSOVITINAは平均台でも脚力の強さを見せて、安定感のある演技で会場を大いに盛り上げた。また、同じく平均台のYILMAZ(トルコ)が後転とび~後方伸身1回ひねりを決めるなど、アクロバット系、体操系共に素晴らしい実施を見せて14.500の高得点をマークした。
この時点で中国は130.113、ベルギーは125.805となり、ここで一気に差が広がった。
第4ローテーション
中国は段違い平行棒へ。WANGは大逆手車輪1回ひねりでやや戻りかけたところを修正して、何とか耐えた演技。SHANGはヒンドルフ~パク宙と見事に決めて、大逆手系の連続も素晴らしい実施でまとめた。FANは閉脚シュタルダー1回ひねり~コモワ~パク宙と流れよく決めたほか、チャウ~ギンガーの流れも素晴らしかった。TANは屈身ヒンドルフを綺麗に決めたが、その後のパク宙でややタイミングがずれ、、更に片手軸大逆手1回半ひねりで倒立からかなり外れてひねっており、実施としてはもう少しのところであった。しかし、SHANGとFANで15点台をマークして得意種目で点数を稼いだ。
ベルギーは3人がユルチェンコ1回ひねりであったが、雄大な実施であるものの腰取りがあり、更に最後のHERMANSはユルチェンコ1回半ひねりとしたが尻もちを着いた。
平均台で高得点を出したYILMAZがゆかでもリズミカルな音楽で観客を大いに盛り上げたのが印象的であった。
この結果、合計得点で中国は175.279、ベルギーは167.838となり、中国の得点は優勝争いの一つの目安となり、ベルギーの得点は決勝進出ラインの目安となった。中国は本来の調子ではなかったため、決勝では更に点数が上がるはずである。ベルギーの得点は14点平均の得点に僅かに及ばないものとなり、ノーミスの演技をすれば確実に上回る点数となる。今回ベルギーは最後の跳馬の一人以外ノーミスであり、大いに気になるところ。