第31回オリンピック競技大会・男子個人総合決勝

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第1ローテーション
ゆか
WILSON 前方2回ひねり~前方1回ひねりで後ろに両足で大きく一歩。最後の後方3回ひねりはややひねり不足。14.900 
DENG 後方2回半ひねり~前方2回ひねりで着地がかなり低くなり後ろに一歩。かかえ込み新月面も上半身がかなり下がった着地。14.966
BELYAVSKIY 各着地で僅かに動く程度に留めた。最初の後方伸身2回ひねり屈身宙返りも見事に決めた。15.000
内村 最初の後方3回半ひねり~前方1回半で後ろに弾んだが、それ以外は安定した着地。最後の後方3回ひねりは見事に着地を止めた。15.766
VERNIAIEV 後方3回半~前宙1回ひねり、伸身前宙~前方2回半ひねりで着地が大きく弾んでしまう。後方3回ひねりも後ろに一歩弾む。15.033
加藤 前方2回ひねりの着地で後ろに大きく一歩動く。それ以外は安定した着地で、後方3回ひねりは着地を止めた。15.266
あん馬
MARIANO 下向き転向下りで足が大きく割れて膝も曲がった。
KUKSENKOV ブスナリで落下。
MIKULAK フェドルチェンコで大きく足が開いた。
WHITLOCK 得意のあん馬らしく、最後までスピード感のある演技。ブスナリ、逆リア倒立3/3移動下りも見事に決めた。15.875
つり輪
LARDUET 振り上げ上水平は何とか耐えた。かかえ込み新月面で後ろに一歩。
跳馬
YUSOF ルユーフーで後ろに一歩。
BRETSCHNEIDER 伸身クエルボ1回ひねり。着地止める。
NGUYEN ローチェで両足前一歩。
GEORGIOU 伸身クエルボ1回ひねりで左に崩れた。
あん馬得意のWHITLOCKが順当に得点を挙げ、内村を上回りトップに立っている。加藤も内村に続き3位につけた。
第1ローテーション終了後順位
1位 WHITLOCK 15.875
2位 内村 15.766
3位 加藤 15.266
4位 LARDUET 15.133
5位 YUSOF 15.066
6位 VERNIAIEV 15.033
7位 BELYAVSKIY 15.000
8位 DENG 14.966
第2ローテーション
あん馬
DENG 逆交差倒立で戻りかけて力で倒立に戻した。14.533  
BELYAVSKIY ウゴーニャンで足割れ、マジャールシュピンデルで膝が曲がった。14.766 
内村 逆交差倒立で抑え気味にいっていたが、そのほかは非常にいい実施を見せた。ロス、ウゴーニャンも危なげなく、最後のシュテクリA倒立3/3移動もしっかりと決めた。14.900
VERNIAIEV Aシュテ倒立3部分移動1回ひねり開脚支持でややスムーズにいかなかったが、あとはしっかりとまとめた。15.533
加藤 ロス、シュピンデル横移動もきれいに決めて安定した演技。14.900
WILSON マジャールシュピンデル、ロスとかなりバランスを崩していたが何とか落下せずに耐えた。
つり輪
LIN 振り上げ開脚上水平で足先が下がってしまった。14.733
WHITLOCK かかえ込み新月面で後ろに一歩。14.733
跳馬
LARDUET ヨー2で勢い余って後ろに尻もち。
内村は好調な演技で、つり輪で得点が伸びなかったWHITLOCKを逆転。VERNIAIEVがあん馬の高得点で一気に追い上げた。
第2ローテーション終了時点
1位 内村 30.666
2位 WHITLOCK 30.608
3位 VERNIAIEV 30.566
4位 加藤 30.166
5位 YUSOF 29.999
6位 BELYAVSKIY 29.766
7位 LIN 29.566
7位 NGUYEN 29.566
7位 BROOKS 29.566
第3ローテーション
つり輪
BELYAVSKIY 振り上げ開脚上水平で足先が僅かに下がる。最後の伸身新月面で前に大きく一歩動きマットから出る。14.533
内村 中水平の美しさは際立っていた。振り上がり倒立でややしっかりとはまり切れていない印象。最後のかかえ込み新月面は見事に着地を止めた。14.733
VERNIAIEV 振り上がり上水平はやや静止が短いか。ほん転倒立、振り上がり倒立で少し揺れる。最後のかかえ込み新月面は着地を止めた。15.300
加藤 内村と同様、振り上がり倒立でややはまっていない感じに見える。ほん転倒立も肘が少し曲がる。かかえ込み新月面は着地で前に僅かに両足一歩。14.566
WILSON 力技の実施はまずまず。最後の伸身月面は腰取りあり。143.933
DENG 振り上がり中水平とホンマ十字で体が下がってしまう。最後の伸身新月面でも着地が大きく前に動く。かなり疲れている印象。
跳馬
KUKSENKOV ドリッグス。前一歩。
SASAKI ドラグレスク。後ろに両足一歩。高さ距離十分。15.200
MIKULAK ロペスでかなり低い着地。膝を着きかける。
WHITLOCK シライ/キムヒフンで後ろに大きく一歩。足割れもあり。15.133
LIN ロペス。後ろに一歩。14.966
平行棒
CALVO、BROOKSと15点台の高得点をマーク。
LARDUETは演技せず棄権が決定。
つり輪で点数を落とした内村をVERNIAIEVとWHITLOCKが上回った。内村とVERNIAIEVの差は0.467。
第3ローテーション終了時点
1位 VERNIAIEV 45.866
2位 WHITLOCK 45.741
3位 内村 45.399
4位 加藤 44.732
5位 CALVO 44.632
5位 BROOKS 44.632
7位 LIN 44.532
7位 YUSOF 44.532
第4ローテーション
跳馬
内村 リシャオペンを見事に成功させた。後ろに両足で僅かに弾んだ着地。15.566
VERNIAIEV ドラグレスク。足割れこそあるが着地を見事に止めた。ラインオーバーあり。15.500
加藤 ロペス。膝の曲がりは最後のひねりで出てしまったが、かなり着きが効いて高さがあった。15.058
WILSON ドリッグス。着地前一歩。15.000
DENG ロペス。左方向にそれて、着地で一歩動く。15.266
BELYAVSKIY ルユーフーで後ろに一歩。15.133
平行棒
MIKULAK 15.766の高得点。
WHITLOCK 開脚前宙腕支持、ピーターズなどしっかりとまとめてきた。15.000
LIN 全体的にいつもより切れがなく、重たい印象であるが、後方屈身2回宙の着地は見事に止めた。15.566
鉄棒
BROOKS 伸身ヤマワキ~トカチェフひねりという面白い構成を見せた。15.200
内村が跳馬でWHITLOCKを逆転し、VERNIAIEVとの差を0.401差とした。
加藤はロペスで点数を伸ばせず。
第4ローテーション終了時点
1位 VERNIAIEV 61.366
2位 内村 60.965
3位 WHITLOCK 60.741
4位 LIN 60.198
5位 BROOKS 59.832
6位 加藤 59.790
7位 CALVO 59.565
8位 BELYAVSKIY 59.432
8位 BRAGEGGER 59.432
第5ローテーション
平行棒
VERNIAIEV  ピーターズでバランスを崩して外に出られず。また、最後のかかえ込み前方2回宙ひねりは着地で細かく2歩動いた。16.100 
加藤 棒下系の捌きは団体決勝よりもよかった。その後はうまく捌いたが、最後の後方屈身2回宙の着地で後ろに2歩動いてしまった。14.900
WILSON かかえ込み前方2回宙の着地をほぼ止める。15.700
DENG タナカ、バブザーなど、綺麗に捌いて最後の後方屈身2回宙の着地まで止める完ぺきな演技。15.966
BELYAVSKIY ピーターズが回線不足で倒立が歪んだ。最後のかかえ込み前方2回宙ひねりは見事に着地を止めた。
内村 非常に流れよくまとめてきた。最後の後方屈身2回宙の着地は前に両足一歩。15.600
鉄棒
WHITLOCK 伸身新月面の着地をほぼ止めた。14.700
LIN 団体決勝よりも動きがよく、減点箇所が少なかった。15.166
ゆか
CALVO 後方3回半ひねり、前方2回半ひねりで入り、最後は後方3回ひねり。高難度の組み合わせがない演技。14.650
BROOKS 各着地でかなり安定していた。最後の後方2回半ひねりも着地をほぼ止めた。14.600
VERNIAIEVが平行棒で圧倒的な高得点をマークし、内村との差を0.901差とした。加藤も3位WHITLOCKとの差を詰めることができず、7位になっている。
第5ローテーション終了時点
1位 VERNIAIEV 77.466
2位 内村 76.565
3位 WHITLOCK 75.441
4位 BELYAVSKIY 75.365
5位 LIN 75.364
6位 DENG 75.164
7位 加藤 74.690
8位 WILSON 74.599
第6ローテーション
ゆか
WHITLOCK 後方3回半ひねり~前宙ひねりで着地が合わず前宙で大きく前に動いた。最後の後方3回ひねりはほぼ止めた。15.200。この得点でメダル争いをリード。
LIN 1本目の後方2回半~前方2回ひねりの着地で大きく2歩動きラインオーバーギリギリとなる。14.866
鉄棒
加藤 アドラー1回ひねり~ヤマワキで落下。それ以外は何とかうまく持てていただけに残念。最後は伸身新月面の着地を止めた。13.900
WILSON アドラー1回ひねりで戻ってしまうミス。伸身新月面は着地を止めた。14.966
DENG 手放し技もしっかりと決めて、最後の伸身新月面も着地を止めた。14.966
BELYAVSKIY ヤマワキで遠くなったのでヒヤリとしたがしっかりと持てた。伸身月面も着地を止めた。15.133
内村 屈身コバチ、カッシーナ、アドラーひねり~コールマン、アドラー1回ひねり~ヤマワキとしっかりと決めた。屈身コバチ以外は持つ位置が近く見えたが、その後の車輪で肘を曲げず減点を見せなかった。そして、最後の伸身月面も着地を見事に止めて15.800!!VERNIAIEVに大いにプレッシャーを与えることとなった。
VERNIAIEV 14.899で内村と同点となる。演技が開始されると、トカチェフひねりなどはしっかりと決めていい演技と思えたが、ヤマワキで持つ位置がバーに近くなり、その後の車輪で肘が曲がる。最後の伸身月面も着地で大きく前に弾んだ。Eが微妙になる見込み。そして・・・14.800。なんと0.099差で内村が五輪2連覇を決める!!
内村が初めてここまで苦しめられた争いであったが、最後は劇的な幕切れとなり、0.099差という僅差での勝利で個人総合2連覇、団体と合わせて2冠を達成した。最後の鉄棒は、予選の際には落下してしまった種目であり、見ている側も、もしかしたら本人も意識せざるを得ないものであったに違いない。しかし、実際には内村は最後の勝負処でノーミスの演技をした。一方、VERNIAIEVは着地の他にも途中で僅かにミスを出した。VERNIAIEVは世界選手権でこのような優勝争いをしたことがないということで、結局は経験値の差がこの結果を生んだようにも思える。五輪の舞台で勝つことも負けることも知った内村に対して、VERNIAIEVはようやく実力を発揮して初めて経験するであろうプレッシャー。やはりこの差は大きかった。
こうして内村は五輪連覇となったが、連覇の偉業は、メキシコ五輪とミュンヘン五輪で2連覇した加藤沢男氏以来となる。是非、東京五輪で3連覇を!と思わずにはいられない。しかし、記者会見では「もう一度、OLEG選手と争ったら勝てる自信はない」とも言った内村。しかし、負ける日が来かもしれないという可能性を改めて強く感じたからこそ、また新たな挑戦の気持ちが生まれるかもしれない。これまでの内村であればそういうことを繰り返して進化を続けてきた。ただし、4年間の長さも肌で感じたこともあり、東京五輪に関して、どのようにすれば金メダルを狙えるかについては、「ゆっくり休んで考えたい」とも述べた。27歳という、体操選手では決して若くない年齢になった王者の次の挑戦を静かに見守りたい。
~最終順位~
1位 内村 JPN 92.365
2位 VERNIAIEV O UKR 92.266
3位 WHITLOCK M GBR 90.641
4位 BELYAVSKIY D RUS 90.498
5位 LIN C CHN 90.23
6位 DENG S CHN 90.130
7位 MIKULAK S USA 89.631
8位 WILSON N GBR 89.565
9位 SASAKI S BRA 89.198
10位 CALVO MORENO JO COL 88.915
11位 加藤 JPN 88.590
12位 YUSOF E SUI 87.914
13位 KUKSENKOV N RUS 87.732
14位 BROOKS C USA 87.632
15位 DEURLOO B NED 87.598
16位 BRAEGGER P SUI 87.373
17位 MARIANO A BRA 87.331
18位 LIKHOVITSKIY A BLR 86.631
19位 NGUYEN M GER 86.031
20位 BRETSCHNEIDER A GER 84.965
21位 AUGIS A FRA 82.898
22位 STEPKO O AZE 79.081
棄権 GEORGIOU M CYP DNF
棄権 LARDUET M CUB DNF