2017年第7回アジアシニア選手権大会女子報告

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参加国数: 17カ国、参加人数:60名
「団体戦/個人総合決勝」5月18日
 午前中はサブ会場での10分ローテーションでの練習。前日とは正反対の快晴のなかでの練習。前日の雨で湿度が非常に高く、選手からは暑すぎて息を吸うのが苦しいという声もあった。10分という短い時間であったため、跳馬とゆかは確認程度の練習。段違い平行棒と平均台は全習する選手もいた。
 午後は本会場での7分間ローテーション練習の後に試合開始。日本の選手はゆかからスタート。日本の4選手とも大過失はなかったが、得点があまり伸びなかった。中国選手のゆかのタンブリングは大技はあまりなかったが、ダンス系の技が強化されているように感じた。
 2種目目の跳馬では4選手とも着地までしっかりとまとめることが出来た。種目別にエントリーしていた豊田選手は1本目の伸身カサマツは良かったが、2本目のユルチェンコ伸身が屈身となり、D得点が下がってしまった。
 3種目目の段違い平行棒では1人目の豊田選手がトカチェフ飛び越しで落下。その後の演技は着地まで丁寧に行った。2人目の土橋選手が立て直し、ミスなく演技を終え、次の選手につないだ。3人目の古賀選手、4人目の河崎選手もその流れに乗り、ミスなく最後まで演技することが出来た。
 最終種目が平均台という緊張感のあるなか、トップバッターの豊田選手が上がりで少しバランスを崩しかけたが、最後までミスなく演技をし、良いスタートとなった。2人目の古賀選手も少しふらつくところはあったが、ミスなく通した。3人目は土橋選手。ロンダート?後方伸身宙返りで落下したが、その後はミスなく演技した。最終演技者の室橋選手は初の代表入りで緊張していたが、ノーミスでとても良い演技だった。
 チームの雰囲気はとても良く、全員で応援し、励ましあいながら4種目ともベスト3を揃えることが出来た。
 ただ優勝した中国と比べると、平行棒、平均台のD得点で日本の遅れが感じられた。跳馬も高さやひねりの回数で日本より優れており、基本練習や補強の重要さが改めて感じられた。
「種目別決勝1日目」5月20日
 跳馬では豊田選手がリザーブの1だったため、棄権者が出た場合に備えて練習していたが、出場するには至らなかった。2種目目の段違い平行棒には河崎選手、古賀選手が出場。河崎選手は屈身イエーガー宙返りのあとの倒立2分の1で上がりきれず、やり直したが落下。しかし、パク宙返りからマロニーハーフにつなげた点は大きな収穫だった。古賀選手は大きなミスなく、最後まで通したが、下バー2分の1ひねりが倒立にはまらず、C難度となり、D得点が下がって、決定点が伸びなかった。団体戦、種目別とノーミスで演技したところは、さすが大学生という印象を与えた。
 試合のない選手はサブ会場で調整練習を行った。河崎選手、古賀選手とも初めてのノーアップでの試合だったが、ふたりとも落ち着いた様子で演技に入っていた。
「種目別決勝2日目」5月21日
 平均台に古賀選手、室橋選手が出場。団体戦では室橋選手と豊田選手の得点が同じであった。FIGルールではE得点の高い方が種目別出場の権利を得るが、主催者側から渡された資料にはE得点が室橋選手より低い豊田選手が平均台の種目別決勝に出場すると書かれていた。この点をAGUの技術委員長に数回確認し、室橋選手が出場することとなった。
 ジュニアの種目別決勝を応援した後、ウォームアップのためサブ会場に向かうと、会場係りの手違いで器具が撤去されていた。本会場に戻っても、練習を許可されず、ポディウムの下の床でウォーミングアップを始めた。1時間の会場練習が終わると、サブ会場に再び器具が設置され、試合前にサブ会場で器具練習をすることが出来た。
 古賀選手はバク転スワンで落下してリズムを崩し、その後も立て直すことが出来ず、2回ターン、横側宙と立て続けに落下。
 室橋選手は出だしの技は非常に落ち着いていたが、バク転スワンで落下。その後はミスなく演技した。
    最終種目のゆかには古賀選手、豊田選手が出場。古賀選手は平均台でのミスを引きずることなく、気持ちを切り替え、素晴らしい演技をした。4回ターンを成功させ、D得点を上げた。3つのアクロラインも着地まで丁寧にまとめた。
    豊田選手は第一タンブリングの後方宙返り2回半ひねり?前宙でラインオーバーし、0.3の減点。その後はダンス系を丁寧に行い、ミスなく演技を終えた。北朝鮮の選手がラインオーバーをし、中国の選手も予定していたターンが出来ず、着地姿勢も低く、得点が伸びなかった。その結果、古賀選手が優勝した。アジア選手権の素晴らしい締めくくりとなった。
「総評」
 今回のアジアシニア選手権は、2020特別強化選手1名、ナショナル選手2名、ジュニアナショナル選手1名、全日本選手権での上位者から1名という布陣で団体戦/個人総合決勝、種目別決勝と挑んだ。その結果、団体3位、個人総合4位、ゆか1位という結果であった。団体戦では中国、北朝鮮に敗れてしまった。原因としては、跳馬、段違い平行棒の難度不足であったと思う。跳馬では、中国、北朝鮮ともユルチェンコ2回ひねりを行う選手が2名とチュソヴィチナを跳ぶ選手で構成されていた。段違い平行棒では、中国の選手は片手軸車輪からの手放し技につなぐことでD得点を上げていた。日本選手は跳馬ではユルチェンコ1回ひねりが中心。段違い平行棒はD得点が最高で5.2。まだまだ技術の差が感じられた。これからの対策としては段違い平行棒、跳馬でD得点を上げ、他国との差をつめていく必要があると思う。
 最後に、このような機会を与えて頂いた日本体操協会に心より感謝いたします。
※この事業は、(独法)日本スポーツ振興センター競技力向上事業としての助成金交付に基づき活動を行っています。