第47回世界体操レポート/男子個人総合決勝

報告者:

大会情報・結果
現地10月5日、男子個人総合決勝。日本からは白井健三選手のみが初めて世界の個人総合の大会に挑む。
■第1ローテーション
【男子1組】ゆか
VERNIAIEV(UKR) 後方宙3回半ひねり~前宙1回ひねりで数歩前に出てライン減点。最初の演技者の最初のタンブリングでのミスは精神的ショックが大きい。新月面でも着地を乱し、本来の動きを取り戻せないまま、演技終了。13.766。
白井(JPN) 非常にスピードある動きでいつも以上にエネルギッシュな動き。前宙1回ひねり~前宙3回ひねりで着地前にとぶが、それ以外は着地をまとめ、15.733の高得点をマーク。後続に大きなプレッシャーをかける。
BELYAVSKIY(RUS) 前方2回宙ひねり、伸身月面着地動く、後方宙1回半ひねり~前方宙2回ひねり数歩前に、アラビア2回宙ひねり、フェドルチェンコ、十字倒立、後方宙2回半ひねり~前宙1回ひねりライン減点、最後後方宙3回ひねり着地止める。
XIAO Ruoteng(CHN) 後方宙3回半ひねり~前宙ひねり着地動く、後方宙2回半ひねり~前宙1回半ひねり着地動く、後方伸身2回宙着地動く、前宙2回半ひねり、旋回倒立系連続、後方宙2回ひねり、後方宙3回ひねり着地動く。
LARDUET(CUB) 前方屈身2回宙着地動く、後方伸身2回宙ひねり、前宙2回ひねり~伸身前宙、アラビア2回宙ひねり着地動く、前方かかえ込み2回宙着地動く、フェドルチェンコ、後方宙2回半ひねり~前宙1回ひねり、アラビア2回宙着地前に。これが首位に立つ者のプレッシャーか。緊張感がひしひしと伝わってくる。
LIN Chaopan(CHN)前方屈身2回宙ひねりすぐステップして後ろへ、後方宙2回半ひねり~前方宙2回ひねり、新月面着地前にとぶ、前宙1回ひねり~前宙2回半ひねり着地後ろにとぶ、フェドルチェンコ、伸ぴ、後方宙2回ひねり、後方宙3回ひねり着地止める。
【その他】
NAGORNYY(RUS)あん馬、メリーゴーランドを安定してさばくなど、大きなミスなく2班最初の演技者と演技を実施。WILSON(GBR)あん馬、下りでひじを曲げて力を使うが何とかこらえる。MOLDAUER(USA)あん馬、予選で落下したが今日は成功。ロシア、イギリス、アメリカの若手成長株がしっかり最初の種目を乗り切る。
VERNIAIEVが少し元気なく、スタートで出遅れた感あり。
■第2ローテーション
【男子1組】あん馬
白井(JPN)最初の振動倒立もメリハリある動きで行い、旋回もリズミカルで好調。
BELYAVSKIY(RUS)丁寧な演技。さらに乱れもなく、白井同様、今日は非常に調子がいい感じが受け取れる演技。
XIAO Ruoteng(CHN)シュピンデルから入り、小気味よい旋回で演技を実施。2015年グラスゴー大会では、ウゴニアンやブスナリを構成して落下するなど、本来の持ち技を大きく落として安定感を増した。自分の最大能力を100として70くらいの演技構成の感じがする。それが安定感を高くした要因だろう。強敵になる予感。
LARDUET(CUB) セア倒立、フロップ、コンバイン、ロス、馬端ロシアン1080、トンフェイ、マジャール、シバド、転向倒立3部分移動下り、大きなミスなく無難に乗り切る。
LIN Chaopan(CHN) 交差倒立少し力を使う、ロスで旋回の軌道がずれるがすぐに修正、最後まで大過失なく乗り切る。
VERNIAIEV(UKR) 交差倒立、メリーゴーランド、ブスナリ足入れ途中の倒立で体が反るが修正、Eコンバイン、両把手間ロシアン1080、Eフロップ、ウゴニアン、マジャール、シバド途中で失速し、落下!落胆の表情を浮かべる。
【その他】
注目の若手NAGORNYY(RUS)、WILSON(GBR)、MOLDAUER(USA)ともにつり輪で大きなミスはなかったが、着地を止めきれず。BRAEGGER(SUI)、CALVO MORENO(COL)は着地を止めてきて、大過失の出た1班と比べ、2班全体の雰囲気が心地よい緊張感に包まれている。メダル争いに絡むか? 3班HERDER(GER)跳馬のローチェでしりもち。4班平行棒BAE(KOR)倒立で反り返る場面あり。CLAY(CAN)も倒立で反り数歩動き、地元観客のため息を誘う。
■第3ローテーション
【男子1組】つり輪
BELYAVSKIY(RUS) 丁寧な技さばきは続く、最後伸身月面右に体を傾けるが着地を止め、好調をキープ。
XIAO Ruoteng(CHN) 振り上がり中水平で少しバランスを崩すが持ち直す、新月面着地わずかに動く。
LARDUET(CUB) 演技に少し雑な部分が見られるが力強さは表現できている。新月面着地わずかに動く。
LIN Chaopan(CHN) つり輪に手首を巻き込んだ支持や倒立の姿勢が気になるが、安定した技さばき、手をちょっと回すが新月面着地を止める。
VERNIAIEV(UKR) ホンマ十字静止時間が少し短い感じ、新月面着地止めきれず。
白井(JPN) 振り上がり開脚上水平少し腰曲がりが気になる、グチョギー~車輪~新月面着地止める。ここで多くの観客の気持ちをKENZOに向けさせた感じ。
【その他】
WILSON(GBR)跳馬のドリッグスで右に大きく1歩足を動かしライン減点。MOLDAUER(USA)跳馬姿勢欠点の少ないドリッグス前に着地とぶ。NAGORNYY(RUS)跳馬、予選では着手でミスが出てローチェで転倒したが、今回はしっかりつき手が入り、ドラグレスクをまとめて14.800をマーク。ONDER(TUR)跳馬姿勢欠点のないドリッグス着地まとめる。SOUZA(BRA)平行棒では見かけなくなったルンブティス(前方かかえ込み2回宙返り腕支持)を成功。YUSOF(SUI)鉄棒で落下。
■第4ローテーション
【男子1組】跳馬
XIAO Ruoteng(CHN) 安定したロペス着地1歩。
LARDUET(CUB) 豪快なドラグレスク着地をほぼ止めて大歓声。
LIN Chaopan(CHN) ロペス左足後ろに1歩。
VERNIAIEV(UKR) ドラグレスク左足後ろに1歩。前半で取りこぼしたミスで気持ちを
白井(JPN) ユルチェンコ3回ひねり着地後ろに大きくとぶ。
BELYAVSKIY(RUS) ロペス着地で小さく動く。
【その他】
WILSON(GBR)平行棒、棒下ひねりで手をずらす、シャルロからヒーリー、タジェダ(棒下後方かかえ込み2回宙返り腕支持)成功、前方かかえ込み2回宙返り下り着地で動く。MOLDAUER(USA)平行棒、大きさのある開脚前宙、棒下、棒下ひねり手を動かす、前方かかえ込み2回宙ひねり着地を止める。NAGORNYY(RUS)平行棒、シャルロで体がゆがみ続ける予定のヒーリーに行けず倒立に。マクーツ少し倒立で止める、ディアミドフひねりで少し崩れる、前方かかえ込み2回宙ひねり着地止める。BRAEGGER(SUI)平行棒マクーツやや止まる、ディアミドフひねりで左に大きくバランスを崩し落下。SOUZA(BRA)鉄棒コールマンで落下。GEORGIOU(CYP)鉄棒、カッシーナ、伸身コバチ、コバチのバーを越える宙返り技で盛り上げる。伸身月面着地動く。
■第5ローテーション
【男子1組】平行棒
LARDUET(CUB)非常に早い時期に足を閉じ切るバブザーは雄大に見える、前方かかえ込み2回宙ひねり着地動く。
LIN Chaopan(CHN)ホンマ、ドミトリエンコ、棒下ひねりひじまがり、棒下ひじまがり、車輪ディアミドフ、開脚前宙懸垂、バブザー、チッペルト、ヒーリー、後方屈身2回宙着地わずかに動く。
VERNIAIEV(UKR)ホンマ、棒下ひねり、シャルロでバランスを崩し足を開く~ヒーリー、マクーツ、チッペルト、バブザー、ヒーリー、ピータース、前方かかえ込み2回宙ひねり着地止める。我慢の演技が続く。
白井(JPN)非常に元気のある演技を続ける。前方かかえ込み2回宙ひねり着地ほぼ止める。
BELYAVSKIY(RUS)前振り上がりディアミドフ(リチャード)少し倒立から外れる、前振り上がりツイスト、チッペルト、バブザー空中姿勢で手を後ろに大きく上げて余裕を表現、ホンマ、ヒーリー、ピータース少し倒立を外す、前方かかえ込み2回宙ひねり着地止める。非常に集中している様子。
XIAO Ruoteng(CHN)ドミトリエンコ、ヒーリー、ツイスト、棒下ひねり、車輪、棒下、ベーレ、開脚前宙少し回転不足か、チッペルト、後方屈身2回宙着地後ろに大きく動く。
【その他】
MOLDAUER(USA)、鉄棒、ヤマワキ、エンドー、ツォリミン、アドラー1回ひねり、コバチ、片手車輪、ホップターン、リバルコ、伸身月面着地止める。Dスコアがあまり高くなく得点は13.333と伸ばせず。NAGORNYY(RUS)、鉄棒、コールマン落下、再び実施したコールマンでまたも落下。上位につけていたがここで大失速。平行棒までいい演技をしてきただけにとても残念。WILSON(GBR)、カッシーナ、コールマン、いずれもいい位置で懸垂、伸身トカチェフ~トカチェフ、トカチェフひねり、アドラー1回ひねり片手をすぐに持ち換え、アドラーひねり、伸身新月面着地を止める。
■第6ローテーション
【男子1組】鉄棒
LIN Chaopan(CHN)、カッシーナ、コールマン、伸身トカチェフひねり、アドラー1回ひねり~ヤマワキ、最後伸身新月面の着地を止める。肩に痛みがあるのか我慢の演技を続けてきたが最後まで大きなミスなく乗り切る。
VERNIAIEV(UKR)、アドラー1回ひねりでゆがみすぐにあきらめて落下。最後まで調子を上げられず大会を終える。
白井(JPN)予選でミスした屈身コバチも成功させ、最後、伸身新月面着地で後ろにとぶ。得点が表示されLIN Chaopanの得点に届かず場内からブーイング。はつらつとした演技がモントリオールの会場のファンの心をつかんだようだ。
BELYAVSKIY(RUS)、ツォリミン、アドラーひねり、伸身トカチェフ、トカチェフを丁寧に、アドラー1回ひねりが倒立から少し外れる、そんままヤマワキを実施するが落下!懸垂できる位置にいたが、倒立を外したことでわずかな歯車がくるったのか、頭を抱える。5種目めまで最高の演技を繰り返していたがメダルが零れ落ちた。
XIAO Ruoteng(CHN)前の演技者が大過失を出した中、余裕の演技を繰り返す。本来、伸身トカチェフ1回ひねり(リューキン)などの大技を持っているがそれらを封印。最後の伸身新月面の着地を止める。
LARDUET(CUB)、反応のいいトカチェフ、アドラー1回ひねりで倒立を外し、そのまま車輪へ、最後フェドルチェンコ着地動く。
【その他】
NAGORNYY(RUS)3回宙、新月面、前方宙2回ひねり~前方2回宙着地前に動く、後方宙2回半ひねり~前宙1回ひねり、月面、フェドルチェンコ、十字倒立、後方宙3回ひねり着地動く。鉄棒の大過失がなければ十分上位に。今後に期待。WILSON(GBR)新月面、前方屈身2回宙の着地動く、後方宙3回ひねり着地動くが全体を通じて非常に堅実。
結果、1位XIAO、2位LIN、そして3位に白井健三選手が入った。