2013ボローニンカップ報告

報告者:

■期間(派遣:平成25年11月30~12月6日)
<競技>
現地12月3日  団体決勝・個人総合・種目別予選(団体は、各国2名エントリーし、2名の合計)
現地12月4日  種目別決勝
■場所・競技会場
ロシア・モスクワ(オリンピスキー)器具:SPIETH
■選手団
<監督>水口晴雄(ジュニア強化部員・鶴見ジュニア体操クラブ)
<コーチ>山﨑隆之(ジュニア強化部員・VICTORY GYMNASTICS CLUB)、立松佳通(ジュニア強化部員・池谷幸雄体操倶楽部)、大竹秀一(習志野高校)
<トレーナー>小林直行(マルチサポート委員会)
<通訳>オルガ・コザチェンコ(ウクライナ)
<選手>シニア:早坂尚人(市立船橋高校)
ジュニア:萱和磨(習志野高校)、北村郁弥(池谷幸雄体操倶楽部)、湯浅賢哉(鶴見ジュニア体操クラブ)
■参加国・参加人数
参加国:19カ国(参加人数:男子シニア38名・ジュニア28名/女子シニア18名・ジュニア16名)
■大会概要
ボローニンカップ大会は、昨年同様に男女ともロンドンオリンピックや世界選手権出場者が参加しており、非常にレベルが高い大会となっている。とくにロシアのGaribov選手や、ギリシャのTsolakidis選手など非常にレベルの高い演技を実施し、観客を魅了していた。例年ではディナモモスクワの体育館内で開催していたが、体育館建て替え今年はオリンピスキーというスタジアムで行われアリーナの1/4の敷地を使用したが国内の代々木第一体育館と同じくらいの広さがあった。
■大会レポート
11/30(土)出国
飛行機の時間、荷物、移動手段等ほぼ問題なく現地に到着することが出来た。また前日までジュニアナショナルの合宿がありその疲れプラス、長時間のフライトによる疲れの為、体が凝り固まっていた為、到着後小林トレーナーによりストレッチと体のケアを行い調整をした。その他のスタッフは昨年と場所が異なる為、ホテルからオリンピスキーまでの道の確認を行った。

12/1(日)練習会場9:00~13:00
この日は送迎バスの運行がなかった為、徒歩での移動となり、約20分の距離が雪道であったので、歩けない距離でないが体力的に厳しい問題があった。練習会場はオリンピスキー内にあるディナモモスクワ体操クラブの仮練習場で行い器具はGYMNOVA製だった。直前のジュニアナショナルの合宿では本番に近い器具で調整を行ってきていたことと、ロイター板など正式な形のものがないものもあったので、基本練習を中心に行い時差調整や体の調子を整える事に専念した。練習後は試合期間中の食事をするところや万が一の為、ドラッグストアやスーパーの場所などホテル周辺の調査を行い大会に備えた。またIDを受け取りに行った際に発覚したが萱和磨選手が当初シニアでエントリーを行っていたが、ジュニアにエントリーをされていた。例年では年齢にあまり厳しく制限はなかったがFIGが公式に年齢制限の規定を設けている為、今大会のボローニンカップもシニアとジュニアの年齢制限は厳しく分けられた。萱選手は当初の予定と異なるクラス・ルールでの出場になって困惑したが、国際ジュニアの優勝者でもあり、ジュニアルールでの試合を9月に行っていた為、調整に苦しむ姿はみられなかった事が不幸中の幸いである。来年度からの国際試合派遣の選考方法を検討する課題が見つかった。

12/2(月)本会場練習ジュニア9:00~11:00/シニア11:00~13:00
7:30から朝食をとる事が出来るのだが7:30にバスが出発の為朝食は事前に用意していたもので食事をした。シニアの選手は7;30に朝食をとり、問題なく会場へ到着した。本会場はかなり天井が高く、室内陸上競技場のような地面だったのでゆかの調整は少し時間がかかり、各種目着地が固いと選手が口にしていた。また会場内の風が強く空気が乾燥しているため平行棒が水をつけてもすぐに乾燥してしまうため滑りやすく手こずっていた。しかし通し練習や前後半、分習練習を時間内でこなし、しっかりと調整が行われていた。また海外の指導者や選手達と積極的に交流や情報交換を行い、有意義な時間を使う事が出来た。海外の選手の会場練習の視察も行ったが、単発的な技では高難度技を高い技術レベルで行う選手が多く見られた。特に印象的だったのが、あん馬の旋回力と高難度技、跳馬のローチェにおける高さと安定性、つり輪の力技の握りや姿勢、鉄棒の大逆手技の安定といったところが印象に残った。ただヨーロッパ選手において、ゆか・跳馬におけるひねり技やつり輪の振動技、平行棒の棒下・車輪系、鉄棒の下り技やはなれ技は強化が遅れているように感じた。しかしつま先など美への意識はロシアの選手達は非常に高いように感じたが、技を行う際など足割れや膝曲りの欠点などは多く見られた。ルールが変わり技への取り組みを急いでいるのか、はたまたロシア伝統の美しい体操が薄れているのか、強化プログラムの過程の途中なのか、今後も注目していきたい。

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12/3(火)競技個人総合・種目別予選・団体
競技開始が9時~会場練習開始が8時~となったが、バスの出発が7:45となっておりW-UPをホテル内で行った。ホテルから出発するバスの定員を超えてしまい、次のバスが8:00に出発するのでそれに乗るように言われたがそれでは会場練習の時間に間に合わないので、監督1名と選手3名を先に乗せてもらい残りの日本スタッフと外国の10人程度の外国人選手、指導者は15分程度遅れて会場に到着するというアクシデントに見舞われた。しかし会場練習の時間が延長することもなく、海外の試合ではどんな状況でも平然と対応していくことが必要であると再認識させられた。
①ジュニア競技 9:00~11:30
【第1ローテーション】 あん馬
萱:D5.7 E8.533 14.233
スタートの種目であったが逆交差倒立、Eフロップ、Dコンバイン、マジャール、シバド、ロスと高難度技を次々と実施、素晴らしいスタートを切った。
北村:D4.5 E7.333 11.833
スタート種目であり、あん馬のアップがあまり出来なかったのでEフロップの実施をせずに安全策を取ったが、シバドで落下。
湯浅:D4.7 E8.600 13.300
Eフロップ、マジャール、シバドを実施、ほぼすりもなく良い出来だったが下りで少し流れてしまった。
【第2ローテーション】 つり輪
萱:D5.1 E8.333 13.433
振りあがり開脚上水平、ホンマ十字懸垂、ジョナサン、ヤマワキ、伸身月面と実施を行い非常に出来は良かったが、十字懸垂の握りや高さ、ロープタッチなどを厳しく減点されているようでEスコアを伸ばすことが出来なかった。
北村:D4.9 E8.566 13.466
振りあがり上水平、ジョナサン、ヤマワキ、バラバノフ。着地まで止める演技で良かったが、かかえ込みヤマワキから前方車輪倒立に持ち込む際に力を使ってしまった。
湯浅:D4.5 E8.300 12.800
け上がり十字、ヤマワキ、ホンマ十字、かかえ込み月面。着地もうまくまとめ良い出来だったが、萱同様十字懸垂と倒立での減点が大きい様子であった。近年アブリヤジン、バランディンとつり輪のスペシャリストの活躍が目覚ましい中、ロシア審判の力技に対する意識が高いように感じた。
【第3ローテーション】 跳馬
萱:D5.2 E8.800 14.000
ドリックス実施の予定だったが跳躍板がうまく合わずアカピアンに変更し無難にまとめた。
北村:D5.2 E9.266 14.466
アカピアンの着地をピタリと止め素晴らしい実施を見せた。
湯浅:D4.4 E8.533 12.933
伸身カサマツとびを実施。空中姿勢の美しさのある良い実施だったが、着地が乱れてしまい得点を伸ばすことが出来なった。
【第4ローテーション】平行棒
北村:D5.3 E9.000 14.300
棒下宙返り、車輪ディアミドフ、ティッペルト、ヒーリー、屈身ダブル。少し握り替えが多くなってしまったものの非常に良い実施で着地もほんの少し跳ねる程度にまとめEスコアを9点に乗せた。
湯浅:D4.8 E8.500 13.300
ティッペルトで滑り少し乗りかけるがうまく処理して大過失には至らなかった。
萱:D5.5 E8.733 14.233
棒下ひねり、棒下、ティッペルト、バブサー、屈身ダブル。着地で少し低い着地になり動いた以外は非常に良い実施であった。
【第5ローテーション】鉄棒
湯浅:D4.9 E8.700 13.600
ヤマワキ、アドラー、アドラーハーフ、クースト、伸身月面。アドラーハーフの決めも素晴らしく良い実施だった。クーストで少しバーを持ち損ねかけたが問題なく良い演技を行った。
萱:D5.4 E9.000 14.400
アドラー1回ひねり~ヤマワキ、アドラーハーフ、リバルコ、クースト、伸身新月面。ヤマワキの後エンドー一回ひねりを実施予定だったが、行えずDスコアを下げたがアドラー系の倒立の決めや、ひねり技での捌きのうまさでEスコア9点を獲得する。
北村:D5.1 E9.033 14.133
伸身トカチェフ、クーストハーフ、アドラーハーフ、クースト、伸身新月面。良い流れで演技を行い、最後の着地を止めた。
鉄棒はひねり技の角度よりも演技のリズムが良かったかというところがEスコアを左右していた。停滞や肘、膝を曲げた選手には厳しく減点がなされていた。
【第6ローテーション】ゆか
萱:D5.3 E8.433 13.733
前方宙返り2回ひねり~前方宙返り1回ひねり、後方宙返り2回半ひねり~前方半ひねり、十字倒立、後方宙返り3回ひねり。少し着地が乱れEスコアを下げてしまうものの、大きなミスなく演技を締め切った。
北村:D5.1 E9.10014.200
前方宙返り1回ひねり~前方宙返り2回ひねり、後方宙返り2回半ひねり~前方半ひねり、後方3回ひねり。着地をほぼまとめEスコア9点台を獲得。アップでゆかのバネに合わせるのに苦労していたが、しっかりと本番に合わせることができた。
湯浅:D5.3 E8.900 14.200
後ろとびひねりかかえ込み前方2回宙返り、前方宙返り1回ひねり~前方宙返り2回ひねり、後方宙返り2回半ひねり~前方半ひねり。最初のタンブリングで少し着地の乱れがあったが全体的にうまくまとまりリズムが良かった。
萱選手は急遽ジュニアのクラスの出場になり10技→8技への変更となったがミスなく演技を行い個人総合優勝を飾った。日本選手の演技で出た大過失は北村選手のあん馬の落下のみと素晴らしい演技を披露してくれた。北村選手もあん馬の落下があったが4種目でEスコアを9点台を獲得する演技を披露し後半の巻き返しにより個人総合3位。湯浅選手は2ヵ月前に手を骨折し、万全の調整が出来ていないにもかかわらずノーミスで6種目をまわり個人総合5位になった。全体としてロシアの選手を中心に高難度技への挑戦している姿が見受けられた。日本チームの選手は演技としてまとまっていてDスコアとEスコアの配分がうまく戦略的に勝っていたが、技や質の面で劣っている部分もあった。明日の種目別決勝(各国2名までの制限あり)では萱選手がゆか、跳馬を除く4種目。北村選手があん馬を除く5種目、湯浅選手がゆかとあん馬の2種目に決勝進出を果たした。

シニア個人総合②12:00~14:30
【第1ローテーション】 あん馬
早坂:D5.5 E8.200 13.700
途中落下しかけるが、修正力をみせ乗り切る。
【第2ローテーション】 つり輪
早坂:D5.6 E7.700 13.300
ジュニア同様大きなミスもなかったが十字懸垂や倒立で減点が大きいようでEスコアを伸ばすことが出来なかった。
【第3ローテーション】 跳馬
早坂:D5.2 E8.866 14.066
ドリッグスを予定して練習していたが本番はアカピアンに変更。まずまずの実施。
【第4ローテーション】 平行棒
早坂:D6.0 E8.300 14.300
バブサーがアーム受け(C難度)になった以外はまとまった実施を見せた。平行棒が非常に滑りやすいようで、平行棒を失敗する選手が多かった。
【第5ローテーション】鉄棒
早坂:D6.1 E8.700 14.800
アドラー系の倒立の決めもよく流れもよかったが、下りで腕が張ってしまい、下り技を難度を下げて伸身月面でまとめた。
【第6ローテーション】ゆか
早坂:D6.7 E8.900 15.600
後方宙返り3回半ひねり~前方宙返り半ひねり、前方宙返り1回ひねり~前方宙返り2回半ひねり、フェドルチェンコ、後ろとびひねり前方かかえ込み2回宙返り半ひねり、後方宙返り1回半ひねり~前方2回ひねり、後方宙返り2回半ひねり~前方宙返り1回半ひねり、後方宙返り3回ひねり。前方宙返り2回半ひねりで大きく1歩動く以外素晴らしい実施、観客の歓声も沸き高得点で演技を締めくくる。後半の2種目で追い上げ、個人総合3位に入った。
団体総合は銀メダル、優勝はロシアであった。シニアの個人総合は北京オリンピックのロシアの代表GOGOTOV選手が制した。目立った種目などはなかったが、全体的に演技が美しくまとまっていた。バランスの取れたオールラウンダーという印象受けた。

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12/4(水)種目別決勝
①10:00~14:30
(シニア・ゆかスタート、ジュニア・あん馬スタートの同時進行で前半4名・後半4名で行われた。)
ジュニア
【第1ローテーション】 あん馬
萱:D5.7 E8.825 14.525
第一演技者となったが、予選の時よりも実施のよい演技で高得点を獲得。
湯浅:D4.7 E7.800 12.500
演技序盤のEフロップのあと落下。
萱選手が14.525で優勝、湯浅選手は落下があり6位となった。ウズベキスタンやカザフスタンの選手をはじめ、とてもレベルの高い決勝となった。Dスコアも5.8が1名、5.7が2名、5.4が1名と高難度技が繰り広げられたことだけでなく、技の質にも驚かさせられた。日本では比較的あん馬で点数を稼ぎにくい印象であるが、今回はあん馬で点数を稼ぐといった傾向が見られた。
【第2ローテーション】つり輪
萱:D5.1 E8.475 13.575
着地もしっかり止め昨日よりもいい演技を披露した。
北村:D4.9 E8.575 13.475
少し倒立のキメで力を使うもののまずまずの演技。着地は少し動く。
優勝はアメリカの選手で力技中心の構成だった。全体的に振動系の強い選手は見られなかったが、低年齢からの力技の強化が行われている様子だった。姿勢的なものも不十分でEスコアは全体的に低かった。
【第3ローテーション】跳馬
北村:1本目D5.2 E9.275 14.475/2本目D3.2 E9.425 12.625 平均13.550
2本目に伸身クエルボを予定していたが、調整がうまくいかず前転とび屈身宙返りを行った。優勝はロシアで素晴らしいローチェを高い位置で実施、着地も少し動く程度だった。
【第4ローテーション】平行棒
北村:D5.3 E8.825 14.125
手ずらしや握り替えが多い実施になってしまったが大きなミスもなくなんとかまとめた。
萱:D5.2 E8.150 13.350] ティッペルトで手がすべりバー上へ落下。前半がいい流れで行えていただけに失敗が悔やまれる。
北村選手が優勝、萱選手が失敗が響き4位でメダルには届かなかった。シニアの選手が平行棒をツルツルに削ってしまい、調整に苦労した。日本選手は車輪系や棒下系を中心に演技構成を行っていたため苦戦していたが、支持系や腕支持系を中心に構成していた選手にとってはあまり問題ではないようであった。
【第5ローテーション】鉄棒
萱:D5.6 E8.850 14.450
アドラー系やリバルコなど素晴らしい実施で着地まで決め素晴らしい演技だった。
北村:D5.1 E9.025 14.125
一つ一つ正確な実施で着地まで止める素晴らしい実施だった。
萱選手が優勝、北村選手が2位と日本選手が表彰台を制した。両選手とも演技が流動的でひねり系の実施が上手かった。しかし失敗こそしたがロシアの選手はコバチなどの大技に果敢に挑戦していた。
【第6ローテーション】 ゆか
湯浅:D5.3 E8.750 14.050
後ろとびひねり前方2回宙返りで高さのある素晴らしい実施。前方宙返り2回ひねりで着地が乱れるものの、大きなミスもなく演技を終える。
北村:D5.1 E8.525 ライン-0.3 13.325
前方宙返り2回ひねりで勢い誤り両足がライン外に出るミス。全体的にも止めきれない着地となり、Eスコアを伸ばすことができなかった。
結果湯浅選手が2位、北村選手が5位となり日本人選手全員のメダル獲得が確定した。
シニア
【第1ローテーション】 ゆか
早坂:D6.7 E8.525 15.225
後ろとびひねり前方2回宙返り半ひねりで前かがみになり大きく動くが、それ以外のコースは良い実施で、最後の後方宙返り3回ひねりの着地を止める。少しEスコアが辛いように感じたが、得意のゆかで実力を発揮し見事優勝を勝ち取った。
【第2ローテーション】 あん馬
早坂:D5.5 E8.675 14.175
フロップで少し不安定になりながらもしっかりと通し切ることができた。あと一歩でメダルまで届きそうだったが4位。
【第5ローテーション】平行棒
早坂:D6.2 E8.750 14.950
予選ではバブサーをアームで受け難度が下がったが、決勝では見事修正した。一つ一つを丁寧に演技し同点3位の得点だったがタイブレーク制でEスコアで序列が付き惜しくも4位となった。
【第6ローテーション】鉄棒
早坂:D5.7 E7.700 13.400
ヤマワキハーフの後に肘を曲げて車輪をしてしまい、アドラー1回ひねりで思いっきり流れてしまい、ヤマワキを実施することができずダブルスイングを行ってしまった。結果は5位となってしまったが、海外の慣れない環境でなかなかコンディションを調整しきれない中、高校生ながら一人で試合をやりきったのはさすが高校生のチャンピオンといった強さを感じた。

【総評】
今大会日本チームとして金5個、銀4個、銅2個、計11個のメダルと素晴らしい活躍をすることができた。皆様の支えと選手、指導者日々の努力によって達成、心より感謝を申し上げます。日本のジュニアのトップ選手達の素晴らしさを肌で感じる事となったが、彼らには自分の良さをさらに伸ばし、苦手を克服し、ケガをせずに、日本の次世代を担う選手に育ってほしいと強く願います。また、ロシアを始めとする諸外国の選手達から学ぶ点は数多くあり、美への意識の高さや力強さなど、海外の選手から受けた衝撃を胸に今後の練習に励んで頂きたいと願います。そして今回マルチサポート委員会からトレーナーを派遣して頂きましたが、選手のコンディション管理など様々な面で活躍をしてくださいました。今回の試合がケガもなく無事に終えることが出来たのはトレーナーの小林氏の活躍あってのものだと強く感じ、派遣して頂いたことに選手団一同大変感謝をしております。
最後に、大会参加にあたりご尽力頂いた日本体操協会の関係者、大会主催者であるロシア体操連盟の皆様、帯同していただいたトレーナーの小林氏、通訳のオルガ・コザチェンコ氏をはじめ、多くの関係各位に心より感謝申し上げ、本大会の報告と致します。

最後に団員それぞれにこの遠征で感じたことをコメントして頂いたことを記載します。

水口晴雄
ロシアのジュニア選手は、あん馬の旋回、平行棒の支持系、鉄棒の基本がしっかりしていた。日本としては、ロシア選手に負けない基本を身に着けていくことが重要であると考える。
山﨑隆之
今回のシニアの試合はワールドカップの試合と重なり、トップ選手が少なく感じたが、ジュニアに関してはロシアの選手を中心に大変よい動きをしていた。個人総合を狙うより種目別で良さを発揮している選手が多く感じた。倒立の姿勢や技の納め方がロシアを始めとするヨーロッパの選手はかなりきっちりできていて日本選手も学ぶ必要があると感じた。また体線に関して、ジュニアから柔軟などを行い線のでる選手作りをしていく必要性があると感じた。
大竹秀一
ロシア選手の肩のラインやつま先の美しさ、体幹の強さが目立つ。ゆかの動きやライン取りなど丁寧な印象。あん馬のジュニアのレベルが高い。海外選手のローチェ系の技術が高い。反面カサマツ系は苦手?試合前のアップ・海外選手は少なく本番で合わせてくる。平行棒BARの作り方・海外選手はヤスリ多様。日本人選手、次にやるとてこずる。
立松佳通
ロシアのトップ選手達に感じたことはつま先など美しさの意識はもちろんだが、基本技術のとらえ方の良さを感じた。会場練習なども自分の基本を持っていてそれを確認して演技に臨むというような流れだった。平行棒でいえば倒立、スイング、移行などで、姿勢、振り、乗せなどを確認して本番で技を行うといった流れで確認→修正→実行が出来ていて理想的だった。女子も同様に試合の日でも練習会場で各種器具で基本練習を行ってから本会場で練習を行っていた。ロシア体操のプログラムの高さに驚いた。
小林直行
今回、会場がディナモの建て替えによりオリンピスキーに変更になった。歩いての移動は20分程度かかり、肩や腰に障害のある選手には重いリュックを背負っての移動はコンディショニングに影響した。シャトルバスの無い練習日は、荷物の量あるいは移動方法の検討が必要である。
早坂尚人
海外の選手の体操はとても強く、日本人にもああいった強さが必要なんだと感じました。Dスコアを積極的に行ったほうがいいとも感じました。
萱和磨
初の海外遠征でロシアに行き感じたことは、日本とは違いアップ時間の適当さや慣れない海外の器具そして食事などがありました。中でも特に大変だったのは僕はシニアで出る予定が現地についてから急に年齢が達していないという理由からジュニアでの出場になってしまいました。自分の中でも最悪を予想していたので、試合にはしっかり合わせることが出来ました。これは一番いい経験をしたと思いました。これからも日本の大会や海外の大会に活かしていい成績を収めたいと思います。
北村郁弥
海外の選手は練習をとても大事にしていて日本人とは少し違うと思いました。それに順番を抜かされたりすることもあったけれど、技や体操の質がいい選手もいて、いい刺激を受けました。
湯浅賢哉
今回の試合は、怪我をして復帰してからの期間が短く、ちゃんと試合が出来るか不安でしたが、多少演技構成を工夫したりして、自分に無理のない演技をすることによって今までにないくらいいい試合ができて、嬉しい一面、すごく良い経験になったと思いました。