第28回全日本ジュニア新体操選手権大会レポート(女子)

報告者:

■1日目
 2010年10月22日(金)~24日(日)ここ国立代々木代位1体育館で開催されました。
 女子は全国から各ブロックでの予選を勝ち抜いた精鋭が個人51名、団体19チームが参加競技第1日目は女子個人前半競技種目のロープ、フープが行われ、熱い戦いが繰り広げられました。これからの日本の新体操発展を考えるとジュニアの力が重要になると思います。この大会で個人総合上位12位までの選手(2010年12月31日に15歳以上になる者に限る)が第63回全日本新体操選手権大会への出場資格が得られます。
 ここ数年、日本のジュニアは目覚ましく成長しているといえます。新しい技術への挑戦や、音楽と動きの調和なども考慮されてきたと思います。プロポーションの面でも美しくなってきています。若い世代の挑戦力が未来の金メダルにつながっていくと思います。ミスを恐れず挑戦して夢をかなえる道につなげていってほしいと願っています。
 ジュニアの身体能力については、柔軟性とピボットの能力が上がってきていると思います。
 ジャンプ力について、跳躍力はありますが空間姿勢が不確実で膝や足首の美しさが欠如していて残念です。バランスについては形を明確に見せるようになり、筋力が高められバランス能力が向上してきたと思います。膝、足首など下肢の美しさが欠如していることは残念であり、今後の課題のひとつです。世界進出に向けて超えたい課題でもあります。
 全体を通じて身体能力は上昇してきていると思います。手具操作が不確実な部分があり、特にロープは受けが不正確であり、ロープが乱れ減点されている選手が多く見られました。この点を正確に熟練していけば良くなると思います。フープは手具が固定されており乱れが少なかったが独創性のある演技や手具操作の多様性が不足していると感じました。
 本日の前半種目の結果は、ロープとフープ両種目とも1位は池ケ谷晴香(アンジュ)選手がトップを走っています。ダイナミックでのびやかさがある演技、ジャンプ力に優れ、ピボットの難度も正確に実施していました。音楽との一致や表現力もほしいと思います。
 ロープの2位は加畑碧(町田RG)選手で、優れたジャンプ力を生かしてリスク要素へも挑戦があり意欲的でした。フープの2位は浮田奈穂(イオン)選手、フープはミスが少なく難度は確実でしたが、手具操作が不確実な部分がありました。フープの3位は七尾真結(NPO秋田RG愛好会)選手、小柄な選手ですがスピード感のある演技でバランスとピボットの難度が確実でした。選手たちは新しい技へのチャレンジを試み、高い難度の熟練に努力してきたと思います。明日は後半の種目、ボール、クラブが行われ、個人総合が決定します。団体(リボン5)の競技もあります。未来に輝く若い選手たちに大きな期待をしたいと思います。
■2日目
 国立代々木第1体育館で開催されているこの大会もいよいよ最終日となりました。各ブロックの予選を勝ち抜いてこの大会に臨んだ精鋭たちですが、いよいよ終盤を迎え、個人総合と団体競技が行われました。女子個人は後半種目のボールとクラブが行われ、昨日のロープ、フープの2種目の得点に後半2種目が合計されて個人総合が決定します。
 後半のボール、クラブはミスして場外に出ていく選手もありました。特にクラブは2本で1組であることから手具のコントロールが難しく落下ミスをする選手が多く見られました。
 ジュニアはまだ発育発達の途中段階にありますので、身長、体重のほかにも筋力、体力などの変化も演技に影響すると思いました。この中でも、難度技術への挑戦をはじめ、リスク要素への挑戦などを試みて成長していく事が期待されます。レオタードは個性的で華やかな美しいものが増えてきました。中には音楽との不一致を感ずる選手もいて惜しいと思いました。投げ受けが熟練されれば、より正確な演技になっていくと思いました。
 個人総合では池ケ谷晴香(アンジュ)選手がボールで最高点をマーク、優れた柔軟性を生かした良い演技で、柔軟性、ピボットなどの難度や、リスクも確実にこなして優勝を飾りました。2位は七尾真結(NPO秋田RG同愛好会)選手、今回4種目を通じてミスが少ない確実さで難度やリスクも決めて、安定した実力を見せました。3位は浮田奈穂(イオン)選手ボールでは安定した演技を見せていましたが、クラブで落下ミスしてしまい3位となりました。個人選手の中から7名が全日本新体操選手権大会の出場資格を得ました。
 団体は全国から予選を勝ち抜いた19チームが出場して熱戦が繰り広げられました。
 リボンの種目はジュニアにとって操作も難しいものです。演技はそれぞれのチームの特徴があり、連携の形、リボンで描かれるさまざまな図形など構成に工夫が見られました。
 1位は安達新体操クラブ、リズミカルな伴奏音楽に合わせた演技で、投げの連続、交換に多様性があり、連携や難度もミスなく実施して3年連続優勝を飾りました。2位はアミューズ新体操クラブ交換にミスはありましたが、他のチームと比較して全体的にはミスが少なく独創的な連携が入っていました。3位はサンシャインR.Gでミスはありましたが、チームとしてのまとまりがあり、伴奏音楽に合わせた構成が見られました。ジュニアの団体は身長が不揃いのチームがほとんどであり、演技の構成についても困難が考えられます。今回はチームごとに連携の方法や演技の構成に特徴を出そうとしていました。リボンの操作技術がまだ熟練されていないため、残念ながらミスが多く見られました。全体を考えるとジュニアにはこれからまだまだ伸びていく可能性が残されています。とても楽しみなことだと思います。この全日本ジュニアの大会から多くの日本代表選手が出ています。オリンピックに出場した選手もありました、夢はオリンピックへつながっていると思います。選手たちのこれからの輝かしい未来に期待したいと思います。
■優勝チームの演技はこちら
⇒https://www.jpn-gym.or.jp/goods/video/2010/njr/00.html