新体操WCソフィア大会2025レポート③

報告者:橋爪みすず

ブルガリア/ソフィアでのワールドカップは最終日を迎え、個人種目別決勝と団体種目別決勝が行われた。競技は12時半から個人種目別フープ/ボールが開始され、団体種目別決勝リボン5,個人種目別決勝クラブ/リボン、団体種目別決勝3ボール+2フープと続いた。日本は団体種目別決勝で2種目に出場した。

4月6日 個人種目別決勝
各種目上位8名の選手による種目別決勝競技は、それぞれが予選以上に気持ちの入った演技を展開した。
フープ/ボールはStiliana NIKOLOVA(BUL)が気迫あふれる演技で2種目を制した。
クラブ/リボンは、Taishia ONOFRIIGHUK(UKR)が手堅くまとめ2種目で優勝を果たした。今回の試合で目を引いたのは、Liliana LEWINSKA(POL)とRin KEYS(USA)であった。Dの内容や得点もさることながら、音楽と動きの調和と特徴、個性という点で評価が高かった選手である。日本としても、どう演技を構成するかというルールの把握とともに、どのように個性を出せる実施に繋げていくかという点の理解と強化が必要だと感じた。
また、Alona HARNASKO(AIN)とAnastasia SALOS(AIN)の2選手は、巧みな手具操作が身体との独創的な関係性の中で音楽と調和して実施されていた。個性を手具と動きの関係で特徴付けているという点が注目された選手たちである。リボンについては、予選での実施における手具操作の確実性と完成度が安定していた選手が決勝に残ったため、他の種目とは違った顔ぶれが並んだことも特筆すべき点であった。作品の良さは、演技の完成度とリンクするという点も、今回の試合から改めて学ぶことができた。

【団体】種目別決勝
■リボン5
2位 22.750(D11.200 A 6.800 E4.750)
出場選手:鈴木歩佳、稲木李菜子、田口久乃、西本愛実、田中友菜
日本は試技順1番で登場。選手たちは予選の時より落ち着いた表情で入場してきた。1番という緊張感より、今できることをやり切るという吹っ切れた雰囲気で演技がスタートした。序盤は交換や連係の投げ受けも移動はあったものの、絶対に落下しないという力強さを感じた。中盤は、予選ではやりきれなかった連係も実施することができたが、後半の3人が連続で実施する足投げから後方転回のCRで落下があった。今回は最後のRを抜き、3本投げを余裕をもって実施することができた。結果的にはミスを最小限に止めた演技ができ、2位という結果を得ることができた。会場のからは「島唄」のリズムと日本の特徴を生かした演技に対し、手拍子と大きな歓声が聞こえ、作品の手ごたえを感じることができた。今後、終盤の演技内容の見直しと完成度の向上に努め、次戦を迎えたい。

■ボール3+フープ2
3位 22.550 (D10.300 A7.050E5.200)
出場選手:鈴木歩佳、稲木李菜子、田口久乃、西本愛実、花村夏実
日本はこの種目でも試技順1番での登場となった。最初から落ち着きの中に力強さを携えた演技を展開したが最初の交換のボールを背中でリバウンドさせる受けで一人が落下。大きく移動したために次の連係への影響が心配されたが素早く判断し、繋げた。中盤は移動もあり、予定された受けの基準ができないなど、やや不安定な演技となったが、落下のミスに繋げることなくカバーした演技となった。後半の3人のダイブロールでのCRで2人目の選手が潜り抜けるフープに引っ掛かるミスが起こり、3人目は連係を実施することができなかった。次の交換でも移動と不正確な受けが続いたが、何とか最後まで堪えることができた。結果的には5リボンに続く3位で銅メダルを獲得することができた。

今回の試合は、新ルールでの演技構成に対し、完成度はまだまだの段階での試合であったが、
日本は今できる最善を尽くしての演技を2種目に渡って行うことができた。各国ともに現在は演技内容の見直しや手直しを図りつつ、今シーズンのピークに向けて挑戦中であることは確かであり、今回の結果はひとつの過程に過ぎない。しかし、現状の中で、総合、種目別と3個のメダルを獲得できたことは大きな収穫であり、選手たちの自信につながったことは言うまでもない。次戦に予定されているWCバクー大会まで約10日。修正すべき点を明らかにし、具体的な改善が見られる試合にすることが重要である。
個人、団体共に今回の試合で得た収穫を大事に、心身の修正を図って次戦に臨みたい。

新体操WCソフィア大会2025大会情報

(左から:喜田未来乃、田中友菜、田口久乃、稲木李菜子、鈴木歩佳、西本愛実、花村夏実、鶴田芽生)