新体操WCバクー大会2025レポート③

報告者:清水花菜(新体操強化本部)

4月20日、アゼルバイジャン・バクーでのワールドカップは最終日を迎え、個人・団体の種目別決勝が行われた。日本は団体種目別決勝にて、アンサンブル種目に出場した。

【個人種目別決勝】
今大会の種目別決勝では、前大会のソフィアWCに出場していたトップ選手に加え、トルコの Emir Hatice Gokce選手、イスラエルの Sumkin Meital Maayan選手、Tal Franco Alona選手など、若手選手の決勝進出も目立った。どの選手も1種目に懸ける思いが強く、やや力みや慎重さが見られる場面もあったが、最終的には演技をしっかりとまとめる力を発揮しており、これは日頃の練習の積み重ねに裏打ちされたものであると感じられた。今シーズン2戦目となる本大会では、多くの選手が新しい技や高難度要素に挑戦しており、まだ完成には至っていない構成も見られたが、“自分の表現したい作品”を追求する姿勢が随所に感じられた。また、新ルールの導入により、より音楽の持つ世界観や感情表現を生かした演技構成が求められており、選手の個性・エネルギー・身体的特徴と音楽がうまく調和したときには、その世界観に引き込まれるような印象を受けた。トップ選手たちは、作品としての完成度を示しながらも、D得点12〜14点台という高難度構成を実現しており、芸術性にも8点台前後の高い評価が与えられていた。

【団体種目別決勝】
●リボン5
リボン5の決勝は、予選同様にミスが多く見られる試合展開となった。予選でミスを最小限に抑えていたブルガリアも、手具の破損によって演技が乱れ、連鎖的にミスが続く結果に。一方、1位となった中国は、決勝でも安定感を発揮し、大きなミスなく演技をまとめあげた。すべての要素を完璧に実施できたわけではないものの、選手の判断力や動きの力強さから、日頃の練習量と準備の積み重ねが感じられた。中国やイスラエルの演技は、ダイナミックチェンジや共同作業の面でも非常に見やすく構成されており、全体として完成度の高い演技であった。

●ボール3+フープ2
1位 DB 5.500 DA 7.300 A 7.600 E 6.800 合計 27.200
出場選手:鈴木歩佳、稲木李菜子、田口久乃、西本愛実、花村夏実
8チーム中、日本は7番目に登場。気持ちのこもった表情で入場し、音楽「砂の惑星」に合わせて力強く作品の世界観を表現。次々と技を正確に決め、最後までテンポを保って演技を繋いだ。5人のエネルギーが一つになった完成度の高い演技で、2位の中国にわずか0.1点差をつけて、見事優勝を果たした。中国は予選から決勝まで安定した演技を継続しており、僅差での勝負となった。
今大会ではリボン5での決勝進出は逃したものの、アンサンブル種目での優勝は、チームにとって大きな自信と次への原動力となった。ソフィア大会、そして今大会を通じて見えてきた課題を一つずつ整理・改善し、今後は特にリボン5の完成度向上が重要なテーマとなる。
ソフィア大会から合宿を経て、個人・団体ともに演技の内容を見直し、日々向き合いながら調整を重ね、選手たちはさらなる高みを目指して今大会に臨んだ。挑戦と試行錯誤の過程にある中での今大会ではあったが、一歩ずつ着実に前進している。今後は、“心に届く演技”の実現を目指し、演技内容の見直しをかけながら、完成度と安定感をさらに高めて、次の大会に向けて着実に調整を進めていきたい。

新体操WCバクー大会2025大会情報

(左から:田中友菜、西本愛実、稲木李菜子、鈴木歩佳、田口久乃、花村夏実)