2015新体操W杯ポルトガル大会レポート2

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現地3月27日、新体操W杯ポルトガル・リスボン大会2日目は個人総合前半2種目(フープ、ボール)とインターナショナルトーナメント・ジュニアの部が開催された。W杯には早川さくら、皆川夏穂が出場。

Aグループに登場したのは皆川で、フープの種目から。第1種目目ではあったが堅さはなく、落ち着いてひとつひとつの技をこなしている印象であった。手具もよく見えていて、ローテーションの軸の乗りも良く、17.150と好スタートを切った。

ボールも足持ちのローテーションが1回転になってしまったことを除けば、難易度の高い転がしを次々と行い、動きに深みも増してきた。17.200

Bグループの早川は、ボールから。出だしのマステリー(一般的でない技 以降M)で、キャッチにほんの少し移動があり、ラストの手以外のキャッチは行わなかったが、全体的には早川も落ち着いており、美しいラインを見せることができた。皆川のボールと同じ得点で17.200。実施の得点が早川の方が上だったため、順位的には早川が上位に位置する。

フープはアチチュードのローテーションで跳ねが見られた。足持ちのローテーションでも早めにかかとが床についてしまったこと、そしてDERのキャッチが不正確になってしまったことで難度点が伸びず、16.950。

ロシアのMamunは、モスクワグランプリに続いて好調さをキープ。身体が少し緩く見えるが、フープもボールもほぼミスなし、フープが19.000、ボールが18.900と高得点を出している。

Kudryavtsevaも正確な難度と工夫ある手具キャッチは健在であるが、フープではラストのDERで落下。ボールも転がしキャッチで落下とミスが出て、フープは17.900。ボールは18.000。身体が大きくなっている分、表現の幅は広くなってきたが、手具の操作に関してはこれまでと少し違う感覚もあると思われる。

同じくロシアのSoldatovaは、ロシア勢3人の中で1番勢いのある演技を見せた。特にボールの瀕死の白鳥は彼女の良さである表現力が増し、迫力満点であった。キャッチも視野外、手以外のキャッチが多く、それを次々と決め、クライマックスの音楽に合わせ、パンシェターンももうすぐ6回に届くという回転を決めると、会場は興奮状態であった。アチチュードターンからMGキックターンにそのまま持って行く難度も行うほど、身体技術もすばらしく、今後MamunやKudryavtsevaを脅かす存在になっていくだろう。

韓国のSONは、最初の種目ボールで、DERの足キャッチでボールがこぼれた。17.700 フープは大きなミスはなく18.150

アゼルバイジャンのDurundaもさほど大きなミスはなく、フープ17.900、ボール17.700

イスラエルのRivkinは、フープの首回しで落下。17.050 ボールはほぼミスなく演技して17.450

ベラルーシのHalkinaはエネルギッシュな演技を見せ、フープ17.850。ボールはスケールバランスのかかとが早く床についてしまい、17.200。早川、皆川と同じ得点となった。

ウクライナのMazurは、両種目とも大きな落下をともなう場外をして下位に沈んだ。代わりに、Romanovaが奮闘して美しい演技を見せ、フープは16.950、ボールは17.200。ボールはHalkina、早川、皆川と同点であるが、実施点が4選手の中で1番低く、ボール10位。

ボールは同得点でありながらタイブレークにより、7位Halkina、8位早川、9位皆川、10位Romanovaであるが、ロシア勢が1位から3位を占めており、種目別決勝進出は各国2名のため、9位の皆川までが決勝進出となる。種目別決勝1種目に2名の選手が出場できるのは、ロシア以外日本だけであり、日本では初のこととなる。また一歩先に進めた気がした。

皆川はフープ8位。ロシアの一人を除くと7位で、フープでも種目別決勝進出となった。

28日は個人総合後半2種目(クラブ、リボン)が行われる。

<インターナショナルトーナメント・ジュニア後半>
喜田純鈴のクラブは、出だしから安定していたが、アチチュードターンで跳ねがあった。また両クラブを水平投げしたあとのMで両クラブを落下。14.700
ボールはパンシェターンを決めて拍手をもらった直後に左手を床にタッチしてしまい、パンシェターン全体がなくなってしまった。そのあと投げたボールを転回しながら腰でキャッチする技で落下。少し気持ちが切れた感じがあり、ボールを足で蹴り上げる技で落下、場外。ラストのMも場外して、手具なしでポーズすることとなった。11.450

柴山瑠莉子は、クラブで一カ所キャッチミスがあったが、全体的には落ち着いており、ボール14.850、クラブ14.800。
喜田には大きなミスが出たが、このジュニアの時期には失敗を恐れて小さな演技になることが1番のマイナスであるため、試合の数をこなしながら、練習に生かしていってほしい。

ロシアのERMOLOVAは、Kudryavtsevaのコーチが練習を見ている選手。Kudryavtsevaと同じくしなやかな軽さを持ち、手具操作も流れのある操作を行い、難しいキャッチを決める。今後が楽しみな選手である。
ほかに気になった選手は、中国のSHANG。美しいプロポーションと小さな華やかな顔。柔軟性も申し分なく、動きに無理がない。またアチチュードやアラベスクのローテーションが、一発で軸に乗ることができ、回転数もさることながら、最後までその軸を失わない。手具操作も悪くなく、DENGのあとを次ぐ選手として、すぐにトップグループで活躍できるようになるだろう。
USAのGRISKENAS、フィンランドのKOLOMAINENなど、有望な選手がどんどん出てきていて、日本も強化の速度を早めていかなければならないと思わされた。

明日は8位までが出場できる種目別決勝。柴山は​ボール​9位、​クラブ​9位であったが、ジュニアは各国1名の出場システムのため、喜田はロープに、柴山はロープ以外の3種目に出場できることになった。

また団体、個人、ジュニアの3カテゴリーすべてに日本は出場する。

レポート 山﨑浩子