2015新体操W杯イタリア大会レポート1

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現地4月10日、新体操W杯イタリア・ペサロ大会がスタートした。個人34ヶ国・56人、団体21ヶ国21チームと言うミニ世界選手権の様相を呈した。日本の個人選手、早川・皆川は、先週末ブカレストのワールドカップを終え、月曜日にペサロに移動、2日間の練習とポディウム練習を経て、いよいよ3戦目初日が始まった。

Aグループスタートの早川は、ペサロに移動してから徐々に調子を崩した。むしろ移動直後の火曜日が一番良く、翌日から徐々に集中力が散漫になる。練習はするのであるが気持ちと手具が合わない。ブカレストでハイパフォーマンスをしただけに、疲労は想定内だが、試合開始までの4日間で回復し、もう一ランク上げることが今大会の目標であるはすが、ポディウム練習でもまだ調子が上がらない。食事、マッサージ、睡眠、練習量など、本人とも話しながら進めたが、自覚としては筋肉の調子が悪いわけでもない。しかし、神経の疲れといわゆる「バテ」の状態である。どうにも粘ることができないまま試合に突入した。最初の種目フープでは、アチチュードピボットの途中でかかとをついてしまい、そこから少しづつタイミングを崩し、軸回しのマステリーで落下、自身も場外に出て0.6のミスを犯してしまう(15.650 )。続くボールでも立て直しを試みるが、中盤のマステリーとラストのマステリーで体の近くにあるものをふと離してしまうという2つの落下ミスを防ぐことができず、16.900。前半2種目の順位は25位という苦しいスタートと成ってしまった。

一方、Cグループスタートの皆川は、早川ほどの消耗は見せないものの、やはりやや散漫な状態をポディウムまで引っ張ってしまった。最初の種目フープでは、2番目のDERの脚キャッチでで深くフープに入り過ぎてしまい、立ち上がりに手間取り、その遅れから最後のDERを曲なしで終了となってしまった。又、ジャンプでの受けのタイミングの調整、ピボットの粘りも甘くなり、16.900。続くボールでは、美しいダンスステップなど見せ場は作れたものの、2番目のDERの軌道の変更と片手をわずかに床につくというミスが出てしまった( 17.150 )。前半15位の折り返しとなった。落下を防いだという意味では、粘り強かったし、ボール最後のDERの背面キャッチも回避せずにしっかり挑戦したところは評価できる。

3連戦、4連戦を共に回る選手の中には、途中で体調を崩し、欠場を余儀なくされる選手(フランスのムスタファエバ) 、同様にミスを防げなかった選手も多い。しかし、その中でもミスの少ない選手が当然のことながら上位に位置する。その意味で一歩も譲らないスタニュータ(BLR)・ドゥルンダ(AZE) は、さすがである。ミスの出た選手たちも、唇を噛み締めながら、大きく溜息と深呼吸を繰り返しながら、耐えている。あえて3連戦を選択しているのである。自己の可能性と弱点を見極める試練である。

「今日のマイナスに自ら棒を立てて、+にしなさい」と、早川のコーチであるエレーナのコメントである。明日は、クラブ・リボン、Cグループ皆川からのスタートだ。

団体はリボン5の競技が行われた。フェアリージャパンPOLAは20番目の登場である。リスボンではこの種目で銅メダルを獲得しただけに、期待が高まる。チームはリスボンの後モスクワに入り、1週間強化練習を積んでこの大会に臨んだ。最初のCRRの連携を2名が回転動作をする方法に変更して、スムーズなスタートを切った。リボンの描きも明確で実施力が上がっている。しかし、中盤のDERで一人落下、後半の連係で手具が空中で衝突するという大きなミスが響いて15.80。しかし、ラストの4本投げを移動なく綺麗に決めたことなど、練習の成果は見て取れる。ちょっとした調整のミスだろう。1人も気を抜かない構えで、明日のフープ・クラブに臨んでほしい。

明日の個人の2種目をしっかり決めて、いい流れを呼び込みたい。頑張れ、チームジャパン。

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