第62回全日本新体操選手権女子レポート

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 第62回全日本新体操選手権大会は10月15日~18日代々木第一体育館で開催された。
 まず個人総合一日目でトップに立ったのは、世界選手権三重大会で二大会ぶりに個人総合決勝に進出して15位と健闘した日高舞(東京女子体育大学)。股関節の故障で思うような練習ができていないといいながら、ロープ、フープともにダイナミックな演技を見せて、フープではただ一人25点台に乗せた。ロープはジャンプの高さやスピード感が光り、フープではラストの4回前転リスクも決めて、世界選手権の時よりも日高本来の持ち味であるパワーがあふれ出たと言えよう。
 2番手につけたのは同じく世界選手権日本代表の大貫友梨亜(東京女子体育大学)。大貫にとっての最初の種目フープでは後半の柔軟の難度で少し乱れがあったが、落ち着いた演技を見せていた。続くロープでは、もぐりキャッチの際にキャッチが乱れ、若干慌ててしまったのが惜しかった。
 世界選手権日本代表の一人、井上実美(飛行船新体操クラブ)も健闘した。ロープのラストの足投げが乱れ、足キャッチをやめて手でのキャッチに変更したが、そのほかは肩の力が抜けた、それでいて身体の軸が通った、良い演技を見せてくれた。フープでもしなやかな演技は健在で、心から演技を楽しんでいるように見えた。
 2日目のボール、リボンで、トップグループ三人のうち最初に登場したのは日高。ボールでは転回+パンシェトゥールの際、ボールの処理に手間取り、バランスを崩して手を床についてしまうミス。リボンでも投げをミスしてリスクが甘くなってしまうというミスを犯した。
 井上も、ボールのもぐりキャッチでバランスを崩して転んでしまうという痛恨のミス。リボンも落下して、得点を伸ばすことができなかったが、最後まで肩の力の抜けたていねいな演技が印象的だった。
 この日最高の演技を見せたのは大貫。どちらの種目もほぼノーミスの演技で、彼女の持つ伸びやかさ、しなやかさを存分に発揮していた。世界選手権、全日本選手権を通じて大きなミスもなく、モチベーションを持続し、また身体の美しさもキープしているという点でも賞賛に値する。総合点では日高に一歩及ばなかったが、ボールとリボンでは最高点を出し、日高の独走を止める形となった。
 種目別ロープでは、日高がほぼノーミスの演技をしてガッツポーズを見せて優勝。フープは日高と大貫が同点優勝。ボールは日高。リボンは日高が落下やキャッチミスがあって大貫が優勝と、今大会は大貫が日高に力強く迫った大会であった。柔軟性を生かしたしなやかな演技に安定感が加わり、23歳にしてまだまだ伸びている感がある。
 一方日高も、世界選手権のときよりずっとパワフルでスピード感のある演技を見せた。股関節の故障を抱えながらもここまでやれるということこそ日高の強さだと言えるが、それでも故障を抱えながらの試合はやはり負担が大きすぎるように思える。できればこのオフを利用して、じっくりとコンディションづくりを行い、世界でトップ10に入るための強さを作り直してくれることを期待する。
 ほかにも岩倉歩(日本女子体育大学)、浅井美彩登(日本女子体育大学)、浅沼圭(東京女子体育大学)などの健闘が光った。いくつかミスは出てしまったが、穴久保璃子(イオン)、中津裕美(東京女子体育大学)、庄司七瀬(東京女子体育大学)、山口留奈(イオン)をアジアシニア選手権で欠く中、3選手とも独創的な演技で会場を沸かせた。
 団体競技は東京女子体育大学チームが他を圧倒した強さを見せた。今年は全日本選手権の日程が早かったせいか、どのチームも姿勢欠点やミスが多く、特にリボン&ロープでは手具の落下が相次いだ。
 また、高校生チームは、インターハイの種目と全日本の種目がまったく違ったからなのか4チームが棄権。2種目を作り直して臨まなければならない状態では致し方ないが、少し寂しい大会となった。
 東京女子体育大学チームは総合のフープで、落下、場外するというミスを犯したが、総合のリボン&ロープ、種目別の2種目は落下ミスがなく、パワフルな演技であった。
 来年はモスクワで世界選手権が開かれる。日本選手がもっともっと世界を意識した肉体改造、世界を意識した多彩な技への挑戦、世界を意識した美しさへの追求をしていってくれることを望んでいる。