沖縄インターハイ新体操競技レポート[団体]

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 インターハイ2日目は男女団体が行われました。新体操の中でも団体競技は集団の美を表し、個人競技とはまた異なった迫力があり観衆を魅了してくれました。特に男子はタンブリングと称する体操競技と同様の回転技と、6人の選手が組み立てる連係の技、さらに、回転わざの連係が一体となったリスクの高い技が演技の中心になっています。国体においては、新潟大会から休止となった関係上、男子についてはインターハイが一番の目標となる試合だけにどのチームも優勝を目指し頑張っていました。
 優勝候補の青森山田高校は試技順3番と早い登場でした。鍛えられた6人の選手たちのリズミカルでダンス的な動きを見せながら、タンブリングや倒立技をきめ、これはまた優勝かと思わせたものの、連係技に若干のミスがあり、高得点を獲得できませんでした。
 試技順4番に登場した宮崎の小林秀峰高校は、青森山田高校とはタイプの違う作品を構成し大会に臨みました。スタートでは選手が3段重ねに高く組み立てたところから、一気に倒れ掛かるなど、意外性を見せ観衆の拍手をもらい、所々に独創的な動きを入れながらミスなく終わり、優勝を予感させました。そうかと思えば、岡山井原高校は、柔軟な男子選手をドーナツのようにしてリフトしたところから開始するという、これまた独創的な動き出しで観衆を沸かせました。盛岡市立も青森山田高校同様に選手たちの一糸乱れぬ動きの良さと同時性で高得点をはじき出しましたが、終了間際に登場した、佐賀神崎清明高校は、やや小柄な選手をリフトしたところから開始し、この選手をうまく活かした独創的な作品に仕上げ、盛岡市立を超える高得点で優勝しました。という訳で、今年の男子団体体操は、初めから終わりまでどのチームも迫真に迫る好演技で、観衆にとって目の離せない大会でした。
 女子は男子と異なり手具を使い、5人の選手の織り成す集団美、手具の交換というリスクとダイナミズム、そして5人の選手の連係によって構成され、そのチームの特徴が表現されます。今回は5つのフープを使っての演技でした。このフープという手具は新体操の手具の中でも形がはっきりしており、しかも多様な操作が可能な手具だけに演技の創作もしやすく、楽しみの多い手具です。女子は47チームの参加で、例年上位入賞常連校も多く、観衆にとって今年は何処のチームが優勝するのかと、演技の内容もさることながら、優勝、入賞に気持ちが動くようです。
 今年の優勝は昨年の優勝校で伝統校である佐賀女子高校でした。鍛え抜かれた長身の選手の多いこのチームは、フープの特徴を活かした技を次から次へと繋ぎ、時にはハラハラする様な交換と連係を組み入れ、ミスなく実施してD1(徒手の難度)、A(芸術)、E(実施)の部門で高得点を獲得しました。
 D2の最高得点獲得は埼玉県陽高校の8.85でした。今回はフープ5の演技と言うこともあり、47チームの参加となれば、演技構成には類似した内容も多くみられました。特に連係という5人の選手によって行われる組み合わせを中心にした内容には、選手をリフトする、あるいわフープに選手を乗せるなど、ほとんどのチームが同じようなものを構成しておりました。まったく同じではないにしろ、考え方が同じであり面白みに欠けるという印象を持ちました。
 その点、3位に入賞した東海大二高校や入賞はできなかったが独創的でダイナミックな演技を構成した岐阜済美高校には新鮮さを感じました。また、惜しくも優勝できませんでしたが、名古屋女子大高校のチームこそが、実施でもう少し高得点が出てもよいのではと思いました。動きの一つひとつが丁寧で、つま先がいつもきちんと伸びており誠に美しい動きでした。他のチームに比べ選手が小柄であったことにより、動きのダイナミズムを欠いていることが実施点を低くしてしまったのかと残念に思いました。しかし、今、日本の選手に欠けているのが、こうした動きの美しさです。結果はともかく動きの大切さについては大いに参考にしてほしいと思いました。さあ、来年はどのチーム個人が優勝するでしょうか、青森インターハイを楽しみにしていましょう。