ロンドン五輪テストイベント新体操レポート3

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18日、ロンドン五輪テストイベント(プレオリンピック)新体操最終日は個人総合決勝が行われた。
1位になったのはKONDAKOVA(RUS)。
唯一作品を変更していないフープはピボットの軸の乗りも良く、完璧な出来であった。28.600
ボールは、予選でミスした箇所で、同じく投げをミスしたが、今日の決勝は落下は回避した。28.150
クラブは、途中投げのミスはあったがどうにかしのぎ、迫力のある演技をしていたが、ラストのリスクで2本を落下。手具なしでラストポーズを迎えてしまった。26.100
しかしラストのリスクは考えられないほど難しいリスクで、これが成功したら(予選では成功)、彼女のすばらしさが際立つであろう。
リボンは出だしでリボンの扱いに手間取り、構成が見えなかった。またピボットのコンビネーションでかかとをつき、27.600。(合計110.450)
 作品を変更していないフープ以外はまだこなせていないが、この一月という時期を考えると致し方ない。他の選手がまったく作品を変更していない中でチャンピオンの座を獲得できたのはさすがだと言えよう。
2位はRIZATDINOVA(UKR)。
フープはまさに乗っている感じで、動きもはっきりとし、素晴らしい出来であった。27.300
ボールもピボットの軸が良く、最後はバランスになるほど軸に乗っている。繊細な曲で優雅に舞った。27.300
クラブもほぼミスなく27.350。リボンは座でのリボンの引き戻しでキャッチミス。26.800(合計108.750)
3位にはALYABYEVA(KAZ)が入った。
ボールでは投げが思い通りに行かずにD2を抜く場面があり、クラブでは足での操作で落下ミスがあったが、全体的にはのびやかでダイナミックな演技を見せた。
(合計108.075)
4位はRODRIGUEZ(ESP)。
4種目を通じてほぼ完璧な演技で、情感を込めて演技した。(合計107.400)
ほかに目立った選手はBEREZKO-MARGGRANDER(GER)。
まだ若い選手であるため”青さ”はあるが、スピード感や張りのある動きなど、素晴らしい質を持っている。
どの選手もピボットに力を入れており、特にRIZATDINOVAやTRIKOMITIなどは3種類のピボットを組み合わせている。今後日本は、技術面、芸術面、あらゆる面での遅れを取り戻していかなければならない。
団体競技は決勝が行われ、圧倒的な強さを見せたスペインが優勝した。ボール5ではパンシェターンが崩れ、うまくごまかしたが、あとはほぼミスがなく、リボン3+フープ2も完璧な演技であった。勢いがピークの時のイタリアのような強さがあり、強敵出現という感じである。このままの勢いで行けば、メダル争いに絡んでくるかもしれない。
2位はイスラエル。
ボールの交換で落下し、リボン3+フープ2も以前ほどの勢いはない。投げも全般的に低く、スペインと比較するとダイナミックさに欠けると言えよう。
3位はフランスとギリシャ。
フランスは細かなミスがあったが、全体的にはうまくまとめた。ギリシャはボールで素晴らしいエネルギーを見せたが、ラストの交換に落下ミスが出て、ラストに向けて崩れてしまった。リボン3+フープ2はほぼミスのない演技。動きの柔軟性は感じられないが、同時性やエネルギーの強さ、まとまりはある。
5位はスイス。
ボールは完璧な演技。ボールの種目だけでは2位に入るほど、生き生きとした演技だった。しかしリボン3+フープ2で中盤の交換で落下、場外。1回のミスで5位に沈んだ。
6位はウクライナ。
前日の予選は2位であったが、ボール5の種目で、交換時にボールが弾み、あわてた選手が続くリスクでボール2個を落下させた。1個は遠くまで転んでいってしまい、結局予備のボールに差し替えて演技を続けるという大欠点を犯した。リボン3+フープ2もコラボレーションでリボンを落下し、6位に。
7位はアゼルバイジャン。
リボン3+フープ2の交換でリボンとフープが空中で接触。ボール5もリボン3+フープ2も、構成がいまひとつすっきりしない印象がある。
8位は地元イギリス。
2種目をうまくまとめた。
1位のスペイン以外はミスが出た国が多く、スペインの強さだけが浮き彫りとなった試合だった。しかしイスラエルも今後立て直しを図るであろうし、ギリシャのまとまりも不気味。ウクライナの身体能力の高さはますます生きてくることを考えると、日本は決勝進出も難しくなってくる。
この状況を常に頭に描きながら、日々の練習を重ねていかなければならない。