アジア選手権ほか代表決定競技会レポート2

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第6回アジア選手権大会・第27回ユニバーシアード大会新体操日本代表決定競技会
競技2日目(4月21日)のレポート
■個人
 1位で代表権を獲得したのは山口留奈(イオン) 総合 56.900点
クラブ(13.900点) 一度小さな投げで落下があったものの、高い投げは全て決め会場を沸かせた。1分30秒の間気持ちを落とすことなくミスを最小限に抑えられることも、選手にとってはとても重要な能力の一つである。
リボン(14.500点) 大きなミスなく踊り上げた。後半手具操作に追われ表現が弱くなってしまう部分もあったが、全体を通し以前よりも表現に力を注いでいることが分かるほど、動きや表情に変化が感じられた。
 残り一つの代表枠を獲得したのは穴久保璃子(イオン)総合 54.500点
クラブ(13.450点) 2本投げでのミスはあったが、作品としてのまとまりを欠くことはなく、最後まで表現し切った姿はベテランの風格を漂わせた。
リボン(13.450点) 落下はあったものの、難度もステップも演技に上手く組み込まれており、以前よりも流れが良くなった演技は観ていて心地よいものに仕上がっていた。今後、このバイオリンの音色を表現するには、表情だけではなく空き手や手具操作にまで細やかな意識が必要になるだろう。
 新ルールが導入され難度数が減ったものの、どの選手も難度の精度が落ちているように見えた。また、末端まで意識が届いていない選手が多く、例え目に見えるミスがなかったとしても採点上基礎技術の面で評価を下げなければならず、今大会においては点数が伸びなかった。難度や技をこなすことにとらわれず、美しくより正確に実施出来るよう身体の資質を上げることが必要不可欠である。
■団体 リボン2ボール3
 ユニバーシアードの出場権を獲得したのは東京女子体育大学(リボン2ボール3 15.850点 総合31.250点)
前回の悔しさを晴らし、貫録ある演技で代表権を勝ち取った。
フェアリージャパンで活躍していた三浦莉奈選手が入ったことにより、今までの東女とは異なる雰囲気の作品に仕上がっていた。強さや勢い、ノリのよさだけではなくバレエ要素を生かした伸びやかで華麗な動きは、観ている者の心を引き寄せ次を期待させるほど魅力的であった。
 惜しくも2位となり代表権を逃したのは日本女子体育大学(リボン2ボール3 15.250点総合30.400点)
交換で一度不正確な受けがあったものの、最後まで勢いが衰えることなくテンポの良い演技で次々と技を決め会場を沸かせた。
 新しいルールになり一番重要視されていることは、曲を理解し最初から最後まで作品のコンセプトを崩すことなく演じ切ることである。その為、難度が12個から9個に減り、投げ技(DER)の回数が3回に制限され、曲のテンポ、リズムと調和した8秒間のダンスステップコンビネーションを入れなければならなくなった。
 しかし、今大会においてはほとんどの選手が足を動かすことや曲に合わせることに必死になっている印象を受けた。また、曲に動きが合っていたとしても、作品を踊る選手自身にそのキャラクターがなければどうしても違和感を覚えてしまうのも事実である。もちろんジュニア期においては、色んなジャンルの曲に挑戦することも大切である。その為にも、頭で考えて動く段階から体全体でリズムを刻めるようになるまで踊りこまなければならない。
 今後世界と戦うためには、曲を聴けば自然に踊りたくなってしまうような“踊り心”をジュニア期に養う必要があるだろう。そして、曲が明るいから何となくこのステップ・・・というような安易な考えで作品を作らず、作品全体を通し無駄がないよう手具の軌道やつなぎなどにも試行を凝らし、選手と共に指導者自身も切磋琢磨しなくてはならない。
 各国トップ選手の映像をいつでも観ることが出来る情報社会の今、世界の流れに乗り遅れないよう常に新しい情報を取り入れ、日本全体が世界規準の目線になるよう努力しなければならない。更に世界と肩を並べるには、オリジナリティーを磨いていくことが求められるであろう。