新体操W杯イタリア国際レポート2

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4月27日、新体操W杯イタリア国際・ペサロ大会二日目が開催され、個人総合後半2種目(クラブ、リボン)と団体総合後半種目(ボール3&リボン2)が行われた。
3月初旬よりロシア留学をしている早川さくらのリボン種目は、動きの強さが出てきたが、リボンの描きが弱く、幾度が身体にリボンが触れていた。そして背面でスティックを転がしながらの側転でリボンが落下。しかし、投げが悪くても、きちんと投げ上げられた方向を見定めてからDER(回転技)に入っており、大きな落下は防いだ。このあたりはよく練習を積んできた現れであろう。(D7.450 E7.633 計15.083)
同じくロシア留学中の皆川夏穂のクラブ。音楽も内容もすっかり変え、皆川に合った音楽構成となっていた。しかし、難しい技をふんだんに取り入れているため、リスクで崩壊。数度の落下ミスを犯し、12.633となってしまった。(D6.300 E6.333)
続いて最終種目は早川がクラブ。ジャンプからのキャッチでクラブがこぼれるなどのミスがあり、15.167(D7.300 E7.867)。
皆川はリボン。若干リボンの操作に手間取った箇所と、DERの部分でもぐり回転でキャッチをした際に、リボンの端が場外に出てしまったのは残念だったが、クラブでの大きな失敗から持ち直せたことで、これからの自信となっていくだろう。(D7.600 E8.033 P0.3=場外)
結果、早川が30位。皆川が34位。順位としては決して良いものではなく、他の選手と比較するとまだまだひ弱な感じはあるが、2人とも1ヶ月半でよくここまでレベルアップをしたなという思いである。彼女たちの挑戦は始まったばかり。通訳も日本人コーチもいない中で、難しい技に挑み、難度の精度を上げる毎日であるが、日増しに強くなってくれるに違いない。
優勝はSTANIOUTA Melitina(ベラルーシ)。後半種目は、難度の不正確な箇所はあったが、エネルギーのある演技であった。
2位にTITOVA Maria(ロシア)が入り、前半戦首位のSVATKOVSKAYA Daria(ロシア)は、クラブの出だしで落下ミスがあり、3位となった。
4位にイスラエルのRIVKIN Netaが入ったが、特筆すべきは5位のHALKINA Katsiaryna(ベラルーシ)。難度も正確な上に、手具操作が巧みで、動きのこなしもうまい。今後メダル争いに絡んで来るであろう。
MAKSYMENKO Alina(ウクライナ)は、クラブを2度落下し、8位に。前日ボールのアクシデントがあり13位だったSON YEON JAE(韓国)は、クラブでほぼミスのない演技を見せ、17.600。2種目を17点台に乗せて、9位まで順位を上げた。
そのほかアゼルバイジャンのDURUNDA MarinaやウズベキスタンのDAVIDOVA Valeriya、イタリアのBERTOLINI Veronicaなど、注目すべき若手の活躍が目立った大会であった。ウクライナのRIZATDINOVA Gannaは6位に入ったが、ベラルーシのHALKINAら、若手の手具操作からすると物足りなさもある。AKSYMENKOにしてもRIZATDINOVAにしても表現力は抜群であるが、踊れてなおかつマステリー(一般的でない手具操作の組み合わせ)をこれでもかと入れてくる選手がどんどん出てくると、多少色あせて見える感じもあった。
またロシア選手と他の国の選手の力量もさほどなくなってきたように思う。カナエバやディミトリエバ、コンダコバなどのスター選手がいなくなり、どの国もすばらしい選手が出てきているいま、誰が勝つかわからないという点でも興味深くなっていくことだろう。
そして団体総合後半種目はボール3&リボン2。
フェアリージャパンPOLAは前日のクラブで落下ミスがあり、巻き返しを図りたいところであった。が、序盤細かいミスはあったが持ち直し、勢いが出てきたところで、DERでリボンを落下。焦ったままリボンの背面投げをしたため、リボンが低空飛行となり場外へ。キャッチはよく反応したが、リボンと足が場外に出たため、ここで0.6のペナルティ。ラストの、ボールを3人でキャッチするところも、落ち着かない状態であったためにボールがこぼれ、場外へ。ボールを拾いにいくほどの時間はないがまだ音楽が終わっていない段階での場外のため、0.3のペナルティ。場外だけでも0.9の減点となり、ひとつの手具はない状態でポーズすることとなった。今大会はミスが相次ぎ、今季2戦目は12位に沈んだ。
ボール3&リボン2の伴奏音楽はモノトーンであるため変更した方がいいという評価であるが、5月の中旬にはミンスク大会、6月の頭にはアジア選手権があり、変え時が難しい。しかし、クラブも変更したばかりで選手への負担も大きいが、気持ちをリフレッシュするためにも、帰国後すぐに変えることになるであろう。今大会を価値のあるものとするために、悔しさを忘れずにがんばっていかなければならない。
優勝はイタリア。細かなミスはあったがうまく対処し、大事には至らなかった。まだ荒い感じはあるが、次々と連係を繰り広げて、地元の大会で頂点に立った。
2位には、ほぼミスがなく、ブルガリアが入った。3位はウクライナ。交換で落下ミスがあったが、動きの大きさがあった。
強豪ベラルーシは9位に沈んだ。交換で落下。連係でもボールが場外。ボールを予備手具に差し替えることで、場外のペナルティは0.3にとどめた。若いメンバーでまだがたつきがあるが、ミンスク大会までには整えてくるだろう。
4位にはフランス、5位にはスイスが入った。スイスは2種目を通じて大きなミスがなく、作品にも工夫が見られた。
個人競技と同じで、団体でもどの国のレベルも上がっている。新体操の面白さが増してきた反面、上位に上がるのはこれまで以上に容易いことではない。それでも持っているポテンシャルを最大限に生かすことで、勝機を狙っていきたい。
結果