新体操W杯サンクトペテルブルグ大会レポート2

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現地8月18日、W杯サンクトペテルブルグ大会最終日は、個人種目別決勝と団体種目別決勝が行われた。
まず団体のクラブでは、ロシアが圧倒的な強さで優勝した。団体総合では場外をするミスが出たが、この日はきっちりとまとめた。身体能力の高さ、手具操作の巧みさ、構成の深さ、どれをとっても他の国より3歩も4歩も先を行っており、このクラブでも能力の限りを見せつけた。まさに格が違うという感じである。18.333
2位はベラルーシ。ベラルーシらしい、団体同時性が出てきて、フォーメーションの移動も素晴らしい。17.583
3位にはイタリアが入った。落下ミスはなかったが、実施に荒さが目立つ。17.383
ボール&リボン種目別決勝には日本(フェアリージャパンPOLA)も出場。出だしの交換からきれいに決めてきたが、くぐり抜けの連係で、投げたリボンとボールが空中で接触。リボンを投げた選手のところにボールが引き戻される形となったが、落ち着いて処理し、直後の難度は行った。リスクのリボンの不正確な受けなどミスが出たが、得点は16.066で6位。ミスが出ても16点に乗せられるようになってきた。しかし、同じような力を持っている国が多くなっているいま、目に見えるミスは回避しなければならない。世界選手権までには、今回出たミスを修正し、ミスのない演技にしていく必要がある。
優勝はやはりロシア。リフトのキャッチで若干の移動はあったが、複雑な連係を次々とこなし、王者の貫禄を見せた。18.450
2位のベラルーシ、3位に入ったフランスもミスのない演技だった。
この種目4位に入ったスイスは、団体総合、種目別を通じてミスがなく、安定感がある。
日本の演技は、質的にはいいが、ひ弱さがあり、エネルギーにかける。また安定感という点ではまだまだである。世界選手権まで残り少ない日数ではあるが、強さとたくましさを出していってもらいたい。
個人種目別決勝は、フープMamun Margarita、ボールKudryavtseva Yana、クラブMamun Margarita、リボンMamun Margaritaと、すべてロシア勢がチャンピオンとなった。
Mamunは、カナエバの動きにそっくりで、カナエバのような音楽と動きの一体感というものもすでに会得している。しなやかな動きも、時にはセクシーな動きも、そして凛とした強さも表現でき、徐々に風格も出てきている。
Yanaも負けず劣らずで、手具操作の巧みさにおいては、他の追随を許さない。団体だけではなく個人も、ロシアは先に先に進んでいっているようである。
韓国のSon Yeon Jaeは、フープで銀メダル、リボンで銅メダルと、表彰台の常連になってきた。
難度を正確に行ない、無駄足、無駄な動きが少なく、実施減点が少ない。総合、種目別を通じて、目立ったミスがなかったのも、Sonの強さである。Staniouta Melitina(ベラルーシ)もフープとクラブで銅メダルを獲得したが、パワフルな演技を披露し、ケガから完全に復活したと言っていい。
ボールではMiteva Sylviya(ブルガリア)が3位に食い込んだ。アランフェス協奏曲にのせ、細やかで、しなやかな演技を見せた。
4種目とも、種目別決勝に出場した選手のレベルが非常に高く、また作品にも工夫がされているので、見飽きることがない。以前のロボットのような動きが消え、音楽の表現も深くなってきている。
またほんの少しのミスで大幅に順位が入れ替わるため、今季から採用されたルールは、見る側にとって非常に面白くなっていると言えよう。
今季最大の大会、世界新体操選手権キエフ大会は、8月28日からウクライナ・キエフで開催される。