第33回世界新体操選手権イズミール大会現地レポート4

報告者:

現地9月25日、世界新体操選手権イズミール大会は、個人総合予選と国別対抗の最終日となった。
昨日、25位(早川さくら)と28位(皆川夏穂)で、個人総合決勝に進める24位のボーダーラインにいた二人であるが、決勝進出できるかどうかは今日の出来にかかっていた。
2グループ目に早川が登場。昨日のクラブでは、少し青い顔をして登場していたが、今日は入場から華やかな笑みを浮かべていた。そしてあまり得意ではないリボンではあるが、最初から最後まで非常にていねいに、リボンの端のゆくえもよく確認しながら演技。16.500という得点を出し、ベスト3種目の合計では49.433で、個人総合決勝をほぼ確実にした。
次は皆川。皆川も、前半のDERで少しリボンを投げすぎた感があったが、回転を勢いよくしてキャッチ。動きも大きく、堅くなっている印象はなかった。中盤の、足でリボンを引き戻す技で不正確なキャッチとなったが、我慢しながら演技をこなしていく。だがラストのDERで、投げはきちんと来ていたが、最後の技をやるかどうか迷い、落下。15.366で、3種目合計は48.132。2グループが終わった時点で22位で、他の選手の演技の出来を待つ形となった。
残りはもう2グループあるが、ボーダーラインにいる選手は4名。フィンランドのTikkanenが15.932を超えると皆川の上となり、同じくドイツのJanaは16.474。アゼルバイジャンのShafizadaは16.082。スペインのGarciaは16.099の得点がめやすとなった。
調子を落としているJanaが16.474を出すのは少し難しい気がしたが、他の選手はうまく演技できれば出せる点数。4人のうち、二人が皆川の上に行っても、皆川は24位で踏みとどまれるが、3人が上に行くと決勝には進めない。
そのTikkanenは、少し手具操作に手間取った箇所はあったが、全体的には安定した演技で15.966。めやすの点数を超え、第3グループを追えた時点で皆川は順位をひとつ下げて23位。
そして最終グループ。ここにはJana、Shafizada、Garciaの3名が登場する。ドイツのJana。ローテーションが回転不足ではあったが、うまくまとめた。しかし16.200で、皆川は変わらず23位。
アゼルバイジャンのShafizada。出だしは音楽の雰囲気をよくつかみ、軽快に演技する。しかし、中盤でリボンに結び目ができる。そのせいでMができなくなり、直後のDERで落下。15.483で、皆川を超えられず。
この時点で皆川の決勝進出がほぼ確定。
最後から2番目の演技者はスペインのGarcia。バランスが少し乱れ、ダンスステップコンビネーションでクラブを落下。15.466。
最後までやきもきする状態ではあったが、皆川は23位、早川は18位でふたりとも決勝進出を決めた。
昨年は皆川が36位、早川が40位で、ふたりとも決勝に進むことができなかった。点数も15点に乗せるのがやっとであったが、ロシア留学を始めて1年半が経過し、得点も16点台後半まで出せるようになった(W杯では17点台に)。どこの国の審判員も、「かほ」「さくら」の名前をおぼえ、誰もが「良い選手である」ことを認めている。安定感はまだまだであるが、力は着実に上がっているし、難度には大きさが、動きにはしなやかさが出て、動きのつなぎも非常に良くなった。すべてにおいて”質”が良くなっているのである。
現在の新体操では、この”質”が求められているように思う。以前は多少ラインやフォルムが汚くてもエネルギーがある選手は評価されていた。姿勢欠点があってもグルグル回れる選手や馬力のある選手も評価されていた。
しかしいまは、難度の終末や動きのつなぎが雑な選手は評価が低い。姿勢欠点が多い選手も評価されない。DERで手具をキャッチする際も、無駄足をいっさい踏まず、美しく研ぎ澄まされた足運びをすることが重要なのである。
早川、皆川は難度の質も良いため、失敗さえしなければ、もっともっと上位に行ける。経験を積み、自信を蓄えていくことで、安定感を増していってほしい。
明日は個人総合決勝が行われるが、ロシアのKudryavtseva、Mamunの金メダル争い、そして韓国のSonが初の個人総合でのメダルを獲得できるのか否か、非常に楽しみである。
9月24日レポート
9月23日レポート
9月22日レポート