第33回世界新体操選手権イズミール大会現地レポート6

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現地9月27日、世界新体操選手権イズミール大会は団体総合が行われた。
<第1グループ>
このグループにはスペイン、イタリア、ブルガリア、ベラルーシの強豪国と、中堅国のフランスが登場。
まずスペインはクラブの種目から。わずかなキャッチの移動はあったが、全体的には隙のない演技であった。17.183
続いてイタリアのボール&リボン。連係でリボンキャッチに移動があったが、スペインと同じくまとまりのある演技を見せた。17.066
次にブルガリアのクラブ。パンシェで終末によろける選手がおり、不正確なキャッチも多かったが、17.133
フランスのクラブ。DERでひとりが回転をやめたため、DERが不成立。交換で移動し、2本投げの交換で落下。ほかにも交換で大きく移動して落下があり、13.800
そしてベラルーシの登場。クラブの交換で落下があり、以前のチームのような迫力はない。16.750
第1グループの2種目目。
スペインはボール&リボン。身体難度のMGキックのあとボールを落下。そこでリズムが狂ったのか、DERの前でボールを落下し、場外。フロアー外までボールを取りにいった選手がDERを行うことができず、そこから最後までエネルギーを戻すことができずに14.733。2種目合計で31.916となり、メダル争いから脱落した。
続いてイタリアのクラブ。キャッチする際の待ちの姿勢等に汚さはあるが、ほぼミスのない演技で17.216。計34.282で、メダル獲得か否かは他のチームの動向を見守ることになった。
直後のブルガリアのボール&リボン。連係でキャッチの移動はあったが、非常に難しいボールのキャッチを次々と決めて17.316。計34.449でイタリアをわずかにかわし、他のチームの力から見て、メダルをほぼ確定させた。
1種目を失敗した、フランスのボール&リボン。イタリアンスキーで大きな跳びがあり、連係のキャッチで移動。全体的にエネルギーのない演技で15.716。計29.516で入賞も難しくなった。
メダル争いをするベラルーシのボール&リボン。1種目目は16.750と出遅れたために、なんとか巻き返しを図りたいところ。出だしの連係でキャッチ移動があったが、中盤から後半は非常に落ち着き、乱れのない演技を見せた。17.383。計34.133で、第1グループを終えて3位。
第2グループにはロシアがいるため、メダルは少し厳しいが、今年前半の試合の出来を考えると、しっかりと世界選手権に照準を合わせ、まとめてきたと思う。
<第2グループ>
このグループには、金メダル有力候補のロシア、中堅国がギリシャ、イスラエル、ウクライナ、ドイツ、アゼルバイジャン、中国、そして日本が出場。日本のライバル国が集まっており、日本の出来、他国の出来如何で、順位が大幅に変わることになる。
第2グループの試技順1番はギリシャのクラブ。ほぼミスのない演技でキャッチの移動も非常に少なかった。だが身体が硬い選手が多く、動きも堅いためか、得点は伸びず16.233。
続いてロシアのボール&リボン。昨日のポディウムトレーニング(本会場フロアーを使用しての練習)のあとに、6、7着のレオタードを会場のライトや雰囲気を見て試着し、どれを本番で着用するか決めていたが、華やかなブルーのレオタードに身を包み、さっそうと登場した。ダンスステップコンビネーション中に、リボンが少し絡んだが大事には至らず、ほかにもキャッチがあぶない箇所もあったがうまく抑えた。身体難度も大きさがあり、17.816。他を寄せ付けない強さを見せた。
イスラエルのボール&リボン。キャッチの移動もなく、ほぼミスのない演技。16.966
そして日本(フェアリージャパンPOLA)が登場。9月中旬にメンバーのほとんどが体調を崩し、練習ができない日が続いたが、どうにか体調も戻り、試合の日を迎えることができた。前半から中盤、さほどキャッチの移動もなく、プログラムを進めていく。あとは最後の投げの連係を終えれば、、、というところで、落下。すぐにキャッチはしたが、流れと動きが乱れた。そこまで良い流れで来ていただけに残念なミスが出て、16.100。現在の日本の実力では、日本がしっかりと演技して、他国のミスを待つことでしか上位には行けないが、この点数では上位どころか入賞も難しくなった。
日本のすぐあとはウクライナのボール&リボン。出だしにボールをポトリと落下させたが、伸びやかな動きで16.716。
ドイツのクラブ。ほぼミスのない演技であったが得点はさほど伸びず16.433。
アゼルバイジャンのボール&リボン。身体難度は見えづらいが、手具操作においてはほぼミスがなく16.916。そのあと難度点について審議をしてほしいという要望がアゼルバイジャンから入り、ビデオチェック。その結果、難度点は8.450から8.400に下がり、16.866に変更された。
中国のクラブ。キャッチに移動もなく、難度も伸びやかで、ミスもなかったように見えたが16.266。ミスが出て終末に崩れた日本と0.1ほどしか差はなかった。
第2グループの2種目目。
ギリシャのボール&リボンは、出だしの連係で、リボンが他の選手に絡み乱れが生じた。交換でも移動があり、15.466。計31.699
そして金メダルを獲るべく、多彩な連係をものにしてきたロシア。投げにスピードがあるため、少々キャッチに移動があったり、体勢を崩してのキャッチはあるが、大崩れしない限り1種目目の貯金がある。しかし、本当に試合は何が起こるかわからない。交換でクラブが場外で落下。取りにいって戻ったが、審判員が出す点数から場外の0.6が減点されるため、大きな痛手となった。得点は16.133 計33.949でベラルーシの下となり、メダルを獲得できなかった。技の難しさは群を抜いている。現在のルールは失敗した人、チームが負けなのだから、そこまで難しくしなくても良いと、他人事ながら思うのであるが、難しさを追求するのはロシアのポリシーなのかもしれない。クラブの投げも、普通なら受け手側がとりやすいように投げるのがセオリーだが、ロシアは回転数やスピードをわざと上げ、作品にリスキーさを加えている。今回はその投げのスピードのせいで場外となってしまったが、今後もロシアはきっとこのスタイルを保っていくのだろう。
イスラエルのクラブ。イスラエルの強さは失敗しないところである。いつでも安定感があり、クラブもミスがなく16.800。計33.766
続いて日本の2種目目。
せめて総合8位入賞をするためには絶対に失敗はできない状態であったが、どうにか踏ん張った。キャッチに移動があり、16.633。計32.733
ウクライナのクラブ。交換で落下。パンシェのローテーションで崩れ、16.400 計33.116
ウクライナが終わった時点で日本は7位。
ドイツのボール&リボン。ほぼミスのない演技であったが、16.116。32.549で、日本は7位のまま。
アゼルバイジャンのクラブ。連係で落下があったが、乱れるほどではなく16.466。計33.332でアゼルバイジャンはイスラエルに次いで6位となり、ウクライナが7位に。日本は入賞ラインの8位に下がった。
そして中国のボール&リボン。パンシェのローテーションでひとりが崩れ、早めに立ち上がってしまう。フェッテのローテーションでも足が下がり、16.233。32.499で日本の下に。
日本はどうにか昨年と同じ8位となった。
結果31ヵ国中
1位ブルガリア
2位イタリア
3位ベラルーシ
4位ロシア
5位イスラエル
6位アゼルバイジャン
7位ウクライナ
8位日本
日本は昨年と比較すると底力は上がっていると思う。しかしまだ中堅の域を脱していない。また個人選手と同じく、堂々と作品をアピールするというところが、他国には負けていると思われる。来年はオリンピックの予選となる年である。今回のミスは来年への教訓と受け止め、より危機感を持って練習に取り組んでいかなければならない。明日は種目別決勝が行われるが、ミスが出たロシア、日本はボール&リボンのみ、スペインはクラブのみに出場する。
日本出場選手
<クラブ>
畠山愛理
杉本早裕吏
国井麻緒
熨斗谷さくら
横田葵子
<ボール&リボン>
畠山愛理
松原梨恵
杉本早裕吏
国井麻緒
熨斗谷さくら