第68回全日本新体操選手権大会レポート(11月8日)女子

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大会最終日は個人競技、団体競技共に種目別決勝が行われた。
●個人競技フープ
1位に輝いたのは、河崎羽珠愛選手。非常に落ち着いた演技で、個人総合よりも高得点を叩き出した。冒頭の足投げDERをダイナミックに成功させる。手具を受け取るタイミングは完璧であった。ピアノの繊細な旋律を手具操作と体の動きで見事に表現した。中盤、DERの投げが大きく前に飛んだが、崩れる事無くプログラム通り成功。演技終盤のDERも音楽にぴたりと合わせて演技が終了し、大きなミスなく纏めた。得点16.800
2位につけたのは喜田純鈴選手であった。演技冒頭はマステリー。成功させて緊張した面持ちから笑顔に変わる。基本に忠実な1つ1つの動きで長い手足が更に長く見える。力強く伸びやかなジャンプ、バランス、ローテーション難度が音楽の強弱と共に実施されている。随所に取り入れられているマステリーをそつなくこなし、演技終末の足取りDERを成功させた。個人総合より得点を伸ばした。得点16.450
3位は立澤孝菜選手であった。関節の可動域が広く足先が非常に美しい選手である。ジャンプ中やパンシェバランス中の開脚度は群を抜いて素晴らしい。中盤でフープが真上に上がりDERの回転が成立しなかったが大きなミスには繋がらなかった。基本に忠実に行われている徒手難度と手具操作の繋ぎが更に音楽と一体化されると動きに深みが出てくるのであろう。1つ1つの難度要素の実施は非常に明確でクリアであった。
得点16.150
●個人競技ボール
1位は河崎羽珠愛選手。昨日までの疲れを見せる事無く、予定されているプログラムをきちんとこなした。演技の様子からは試合を楽しんでいるようにも感じられる。音楽と一体化している演技に引き込まれていくような感覚であった。投げが多少予定した位置と違ったところに飛んで行っても、ミスに繋がらないように対応している。今大会すべての演技に感じた事であるが、河崎選手の演技は明らかに熟練度が増している。世界選手権大会を経験したことが大きな成長の糧になっている。美しいパンシェのローテーション難度を回りきって演技は終了。個人総合より得点を伸ばし。得点16.700
2位には桑村美里選手が入賞した。ダンスステップコンビネーションから演技か始まる。パンシェバランス、DER、アチチュードターン、次々と美しく無駄がなく演技が展開されていく。ボールの転がしが丁寧で体に吸い付くように転がっていた。演技終末のリスキーな受けを成功させ会心の出来栄えであった。得点15.700
3位につけたのは猪又涼子選手であった。演技冒頭のアチチュードターンを成功させ次のパンシェのローテーション難度も軸に乗り見事に回りきる。中盤のDERは1歩移動したが大きなミスには繋がらなかった。思いきりのいい演技で大きなミスなく纏める。
得点15.550
●個人競技クラブ
1位は河崎羽珠愛選手。ヴォーカル入りの音楽にのせ演技はダンスステップコンビネーションから始まる。フープのような繊細な曲を踊りこなしたかと思うと、このクラブではチャーミングな一面を魅せる。アチチュードターンは完璧に3回転回りきっていた。ステップ中の手具操作の工夫が見られ、クラブが体の一部のように扱われていた。得点16.850
2位は猪又涼子選手。今大会絶好調である。非常に軸が取れていてローテーション難度はしっかりと3回転はカウントできた。躊躇のない投げで行われるDERはダイナミックでリスキーである。随所にマステリーと思われる手具操作を器用に成功させ大きなミスなく纏め上げた。得点15.800
3位には柴山瑠莉子選手が入賞した。演技の繋ぎに無駄がなく、伸びやかな演技であった。アチチュードターンからトーノーのマルチプルローテーション難度を見事に行う。基本がしっかりと身についていなければ出来ない難度である。ジュニア選手である柴山選手の今後の活躍が楽しみである。得点15.700
●個人競技リボン
最終種目を制したのは河崎羽珠愛選手と立澤孝菜選手、同点優勝であった。河崎選手は完全優勝である。
河崎選手の演技は熟練度を感じた。音楽をリボンと体で表現し、且つ予定されている難度要素がきちんと実施されていた。演技の完成度は非常に高く、河崎選手の世界観に引き込まれる演技であった。
立澤選手はヴォーカル入りの美しいメロディーにのせて、伸びやかに演じた。演技冒頭のジャンプはフォームがとても明確でしなやかに行われ立澤選手の徒手能力の高さを十分にアピールした。ローテーション難度も軸にのり安定していた。個人総合の演技よりプログラムの内容が明確に見えた。得点16.700
3位は喜田純鈴選手であった。演技序盤のローテーション難度で高速回転。会場が一気に沸く。DERも成功させ表現力豊かに演技が展開する。中盤でローテーション難度から回転要素に移行する際少しバランスを崩してしまった。大きなミスなく終末のDERを完璧に成功させた。会場から大きな拍手と声援が聞こえた。得点16.050
●団体競技 リボン5
1位に輝いたのは東京女子体育大学であった。試技順が8番目で最後に登場。雨の影響が心配されたがリボンは良く動いていた。コラボレーションリスクとリボンの3本足投げの組み合わせから演技がスタートする。見事に成功し会場から歓声が沸く。演技は波にのり大きなミスなく交換、連係を成功させる。後半の交換でリボンの受けが乱れかけたがミスに繋がらず即座に立て直す。DERの成功で演技を締めくくり得点16.500
2位に輝いたのは、国士舘大学であった。壮大な音楽にのせて5人の息があった演技が展開されていく。正確な投げ受けで、移動のない交換とコラボレーションリスクが行われた。団体総合よりも伸びやかな動きで大きさを感じた。終末のコラボレーションリスクを成功させ、最後まで大きなミスなく演技を纏めた。演技を終えた選手達の笑顔が印象的であった。得点15.600
3位は武庫川女子大学。リスキーなコラボレーションリスクに挑戦し、今日はそれらが成功した。次々と技が繋がっているが故に、1つのミスが更にミスを巻き起こす。交換で多少の移動はあったが大きなミスなく最後まで踏ん張った。終末のコラボレーションリスクを成功させ選手達から笑みがこぼれる。得点15.050
●団体競技 フープ&クラブ
フープ&クラブを制したのは日本女子体育大学であった。演技冒頭のコラボレーションリスクを成功。身体難度、交換と次々と確実に演技が展開していく。5人の息があった演技は躍動感にあふれていた。DERの受けでヒヤッとする場面もあったが大きなミスに繋がらなかった。終末の複雑なコラボレーションリスクを成功させ歓声があがった。この種目でDスコア、Eスコア共に8点台に乗ったのは日本女子体育大学のみであった。得点16.500
2位は東京女子体育大学。演技序盤のフェッテバランスは5人の息がぴたりと揃っていた。演技中盤の交換でクラブが落下、すぐに立て直し大きな影響はなかったが交換がカウントされず実施でも減点が入る。1つのミスが大きな減点に繋がるのが現行のルールである。その後は大きなミスなく纏めた。得点16.250
3位は国士舘大学であった。2種目とも大きなミスなく安定した演技を魅せた。交換、コラボレーションリスクにほとんど移動がなく正確に行われていた。また曲調にあったダンスステップコンビネーションで観客を魅了した。演技終末のコラボレーションリスクではフープの跳ね返りが速くヒヤッとしたがうまくキャッチした。得点15.950
3日間に渡り熱い戦いが繰り広げられた。全ての参加選手の健闘に栄誉を称えたい。