2016新体操W杯フィンランド国際レポート3

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現地2月28日、W杯エスポー大会最終日は、種目別決勝が行われた。
<団体種目別決勝・リボン>
日本(フェアリージャパンPOLA)は前半で結び目ができ、斜め交換では投げが悪く、対処できるスペースもなかったために落下。その後はなんとか最小限のミスでこらえたが17.000で4位であった。
1位はスペイン。不正確な体勢でのキャッチはあったが、総合の時よりクリアな演技をして金メダル。17.450
2位はイスラエル。交換の前に小さな落下があり、連係で不正確なキャッチがあり、17.300。
3位はウクライナ。大きなミスはなく、17.250
4位が日本で、5位がフィンランド。
王者ロシアは、リボンがスティックに絡まったまま交換に入ったため、落下。その後も連係でからまり、パンシェでのぐらつきなどミスが続いた。極めつけは連係でのリボンの足投げでうまく飛ばずに落下。そこへ別の選手からリボンが投げられたが、落下したリボンの対処で、そのリボンも落下。まったく全体的な流れがわからず、16.350。最下位になってしまった。
<団体種目別決勝・フープ&クラブ>
試技順1番の日本は非常にクリアな演技をした。キャッチの移動も少なく、このままいけば表彰台も間違いないと思ったラストの交換で投げがコースをそれ、落下。こちらも対処できる範囲の投げではなかったために、落下となったが、そこまでのできが良かったので、非常に残念であった。17.150
1位はイスラエル。勝負強さを見せ、17.700。
2位はスペイン。総合時よりミスもなく演技していたが、ラスト前の連係でもたつき、17.550。
3位はウクライナ。連係で関わりのない箇所はあったが、総合の時より演技がはっきりと見えた。17.500。
4位はロシア。クラブを落下したあと、その1本のクラブが、しばらく床上で放置され、17.200。ロシアは種目別でひとつも表彰台に乗ることができなかった。
5位が日本で6位がフィンランド。
日本は良いところまでいっていながら詰めの甘さを露呈した。どの国も力は同じぐらいであり、ミスをしたところが負けという状況は、以前より色濃く出ていると思う。この大会のあと日本に帰国するが、下半身の美しさと難度の精度をアップすることをまず課題として、4月のペサロ大会に臨みたい。
<個人種目別決勝>
早川さくらは、フープの種目で17.700を出した。アチチュードローテーションでも粘りを見せ、動きの大きさやていねいさも出ていた。
しかし、ボールの種目では前半とても良い演技をしていたにも関わらず、バックルのパンシェローテーションでバランスを崩し、倒れ込んだ。DERはどうにかキャッチしたが、ラストのローリングからボールをバウンドさせる技で、ボールが肩に接触。そのまま場外に転がっていき、手具なしでポーズとなった。15.900
ボールの種目のみ出場した皆川夏穂は、今日は執着心を見せた。総合時のリボンのような演技は決してしてはならないと肝に銘じ、積極的に演技した。足蹴りのDERで遠くに飛んだが、あきらめずに上からボールを押さえた。結局、落下とはとられずに、17.450。この種目で4位となった。
こうしたあきらめない試合をやっていくことでしか、上に上がれる道はないし、それは練習の時からあきらめない練習をしていかなければ、身につくものでもない。ふたりとも大きく成長していることは確かであり、その分期待も高くなるが、普段の練習を大切に、地道に積み重ねをしていってほしい。
フープの金メダルはウクライナのRizatdinova。
ロシアのSoldatovaはフープの足投げの際、フープがうまく足にひっかからずやり直すなどの実施ミスが出た。
ボールの金メダルは韓国のSon。SoldatovaがDERで場外キャッチ。Rizatdinovaもころがしで落下。Stanioutaもジャンプキャッチで落下と、多くの選手が崩れる中、ミスなく演技した。
クラブを制したのはSoldatova。身体難度も手具操作も非常に難しいものを選択しているが、この種目は比較的荒さも少なく、18.750。やっと金メダルを獲得した。
リボンはRizatdinova。回転力はあるが、リボンが手から離れる箇所は少なく、逆に言うとミスの危険性がある箇所が少ない。そのため実施ミスも少なくなり、安定した演技で2種目を制した。
Soldatovaはラストにリボンがからみ、3位となった。
個人は18.400程度の点がとれるRizatdinova、Son、Stanioutaらの戦いが熾烈である。
Soldatovaはミスなくやれば18.800ぐらいはいくが、ミスも多く、うかうかしているとSonらにトップをもっていかれる状況である。
MamunやKudryavtsevaが19.000を超える点を出せばロシアも安泰であるが、ひとつのミスが大きく点数に作用するいまのルールでは、誰がチャンピオンになるか予想できない。
今後も白熱したチャンピオン争い、メダル争いが続いていくだろう。
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