2016新体操W杯イタリア大会・国際トーナメントレポート1

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現地4月1日、W杯ペサロ大会が開幕した。
本日は、W杯個人総合前半(フープ、ボール)と、W杯団体総合前半(リボン5)が行われた。
<個人総合前半(フープ、ボール)>
Cグループに皆川夏穂が登場(抽選による)。
最初の種目のボールは、若干重心が落ち着かない感じはあったが、最後までよくこらえた。
途中、足蹴りのDERが遠くに飛んだが、うまく対応した。
ラストのDERの、座・視野外・手以外のキャッチも決め、マステリー(M)までやってポーズ。17.750で良いスタートを切った。
しかし、フープでは出だしの軸回しで落下。続く背中での軸回しでも落下してしまう。その後は持ち直したが、16.350。
早川はAグループに登場。
ボールは動きも良く、エネルギーも非常にあった。
が、後半のバランスの連続で、ボールを保持している手の甲を床についてしまい、17.350。
フープでも同じく良い動きで進んでいながら、後半の転回からのMGキックでのMで落下。17.150
2種目とも、良い演技をしているのに、もう少しの我慢が足りなかった。
この大会は、リオオリンピック新体操個人日本代表を決める大会のひとつとなっている。
順位が上の選手が1勝を手にするが、だからといって戦う相手は、お互いではなく、自分自身である。
4種目をミスなくまとめることができなければ、どちらの選手が出場しても、オリンピックでは戦えない。
プレッシャーのかかる、この選考大会で、精神的な部分でも成長していってほしいところである。
現在の1位はロシアのKudryavtseva。
故障から復帰したばかりであるが、大きなミスなく前半を折り返した。
特にボールの作品は、高尚な絵画を鑑賞しているかのような気分になった。気品あふれる演技であった。
2位は同じくロシアのMamun。
ボールではMGキックでのつきがうまくいかず、18.700。
フープは緩急の効いた作品で19.150。
3位にはウクライナのRizatdinova、4位に韓国のSon、5位にベラルーシのStanioutaが続いている。
このところ急成長を見せていたジョージアのSalomeは、足の故障で棄権した。
<団体総合前半(リボン5)>
日本(フェアリージャパンPOLA)は試技順8番で登場した。
大会直前に伴奏音楽を変更。昨年使用していた音楽を使って大会に臨んだ。しかし、中身と流れはほとんどそのままのため、昨日のポディウムトレーニングでは音楽と動きの不一致が数カ所感じられた。また、新しい曲に合わせようと、投げのタイミングやステップの入りなどに焦りが見え、アップアップしているようだった。
不安が残るままの演技であったろうが、前半は良くまとめてきた。昨日はバラバラであったフェッテローテーションもかなり合わせてきていたし、3本投げもどうにか成功させた。
しかし、後半に入ってほころびが生じ、リボンとリボンが結ばれてしまう。ほどくことができずに、2本を差し替え。その間、パンシェバランスの難度もできなくなり、かなり大きなミスとなった。0.9のペナルティもあり、14.800。
伴奏音楽の変更に至ったのは、ショパンの幻想即興曲66番が繊細すぎて、弱く見えるという声があったからである。インナヘッドコーチも大いに悩み、最終的にはこの大会で試してみるべき、と判断。
これまでも曲の変更は何度もあるが、いままでの作品であれば、さほど苦労もしなかったであろう。
現在の作品は微妙な”間”を駆使して投げ受けや連係を行ってきただけに、新しい曲でその”間”を変えるのは至難の業。大会3日前の変更は、選手たちにとって酷だったとも言えよう。
たしかに昨年の曲を使用した方が、はっきりとした強い演技には見える。
が、まだきちんと合わせていないからか、3本投げのすごさや、技からの絶妙なステップの入りなどが伝わりにくい感じもする。
今後は曲の決定と、それに合わせて作品を修正して、間をつかんでいく作業があるが、ミスの理由ははっきりしているので、今大会は、とにかく切り替えてフープ&クラブに臨んでほしい。
現在1位は地元イタリア。
大きなミスなく18.200。
2位はブルガリア、3位にイスラエル。
ロシアは故障者が出たとの情報もあり、棄権となった。
明日は、団体、個人ともに後半種目が行われる。
<インターナショナルトーナメント・ジュニア>
日本からはアジアジュニア選手権日本代表の喜田純鈴、山田愛乃、大岩千未来、小池夏鈴の4選手が出場。アジア選手権前の調整も兼ね、それぞれが2種目ずつ出場することとした。
喜田はボールとクラブに出場のため、本日は出番なしで、日本選手の先陣を切って登場したのは大岩(フープ)。
バランス系の難度で、キープが足りなかったが、全体的に美しい演技で14.583。
ロープの種目は足持ちのローテーションで終末が乱れたが、2種目とも堂々とした演技であった。14.333。
山田はフープの種目。
大きなミスはなく14.250。
小池はロープ。
足回しでの転回(マステリー)でロープが外れて落下。その後、足にロープをかける際にもたつき、DERでもミニステップが入ってしまったが、難度のやり方はクリアで、美しい足さばきも見せた。13.817
どの選手も萎縮した感じはなく、まずまずの出来であった。
明日は喜田がボールとクラブに登場。山田と小池が1種目ずつに出場する。
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