【合宿レポート】H27男子新体操全国指導者選手合同合宿(東北青森会場)

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1月30日~31日の2日間で東北地区の合宿を開催した。今年度は初めて青森と宮城白石で会場を分け、それぞれ1日ずつ講習を行う形にした。青森会場は参加総数約90名、宮城白石会場は約130名と東北地区合計で200名を超える参加者があり、過去最高の参加者数となった。
【1日目】(青森会場:青森大学国際卓球センター)
午前中、指導者コースは2015年版採点規則の伝達講習を行った。今年度から採用されている新ルールだが、来年度からは高体連以下、全てのカテゴリーに適用されることになっている。講習では新ルールの変更点の概要を説明したあと、今年度、先行して新ルールで採点された全日本インカレ、全日本選手権の映像を用いて、難度の確認、実施減点のとらえ方、採点実習を行った。これまでの採点規則に比べ、文言が明文化されている分、難しく感じられた部分もあるようだが、旧ルール下で採点していた感覚と大きく変わるものではなく、選手間の差がはっきりとつけられるルールになったことを強調して講習を行った。
 選手コースは青森大学の中田先生による徒手の基本、blue Tokyo kidsの川戸先生によるコーディネーショントレーニングが行われた。
徒手の講習では、中上級者は多くの団体の構成に入っているような基本徒手(振動・上下肢・胸後反・斜前屈・体回旋等)を中心に気を付けるポイントや運動の質の違いを説明した。初級者は、「ラジオ体操」の運動を中心にどの部分の運動なのか、何を気を付けるのかなど指導した。受講生は見よう見まねでやってきた部分や抽象的な指導(早く・遅い・深くなど)しか受けていなかったので、ある意味その部位の運動を理解することにより、今後の選手間での共通理解や分習に役立つと思うと述べてくれた。更に、同じ運動でも質の違いを学び実際に体験することにより、「ここまで考えて運動しているんだ」と、驚きとともに徒手体操の奥の深さ、難しさを感じてくれたようである。
コーディネーショントレーニング講習では、初級・中級グループ、上級グループに分かれて実施。1人で実施するものから、2人組、それ以上の人数でグループとなりエクササイズを実施した。一つのものに時間をかけるのではなく、様々な内容のエクササイズを短時間で実施することで、身体だけでなく脳を使いながら、失敗などを気にせずに思い切り楽しく幅広い世代の選手達が実施していくことは改めて必要だと感じた。
 このトレーニングは、ストレスの発散や気分転換にもなり、更にはコミュニケーションツールの一つとして幅広く活用できることを参加選手に伝え、身体を動かすことの楽しさを伝えられることができた。
 午後は選手・指導者共通の講習内容となった。午後最初の講習は、選手向けの新ルール実践研修を行った。まずPPを用いて、新ルールの変更点の概要、構成の必要要素の確認、実施減点の捉え方など、映像を交えて説明した。選手達もルールを熟知して練習することの必要性を感じていた。その後、青森大生・青森山田高校の4名に個人種目の演技披露をしてもらい、採点実習を行った。演技内容の難度解説、実施減点の説明に続いて、新ルールで特徴となるB難度の取り方、加点部分の技の確認を実際選手に動いてもらいながら説明した。このような試みはこれまであまり行っていなかったが、選手にとってはトップレベルの演技を間近で見るまたとないチャンスであると同時に、指導者にとっても、実際の減点の度合いや、難度の認定について共通理解を得るよい機会だったと感じた。
 午後の最後の講習は、仙台大学体操競技部の鈴木・仁科先生による、タンブリング系講習を行った。まずは全ての基本になる倒立姿勢の確認からスタートし、その後バク転、前宙、ロンダードの技術について、講習していただいた。特に近年、スプリング式フロアの導入に伴い、蹴りの技術がこれまでと変わったこと、引き上げの技術も変化してきたことが話され、合理的な理論に基づいた講習は選手や指導者達の意識変革を促していた。特にロンダード後の姿勢(手の位置)に関して、これまでの多くの選手の意識とは異なる部分があり、戸惑いもあったようだが、選手にとってはビッグタンブリングにつながる技術で興味を持って指導に聞き入っていた。最後には個別に技の実施方法などについて質問を受けてもらう機会を設けてもらい、特に高い技術を有する大学生にとっては、かなり有意義な時間になったようである。