第36回世界新体操選手権レポート7

報告者:山﨑浩子

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9月16日、世界新体操選手権ソフィア大会最終日は団体種目別決勝が行われた。
各種目上位8チームが参加できる種目別決勝には、日本(フェアリージャパンPOLA)はどちらの種目にも進出。

<種目別決勝フープ>
試技順1番のベラルーシは足を使った2本投げの連係で、2本が上下にそろった状態で飛んだ。
それをふたりが1本ずつキャッチする予定が、ふたりとも同じフープをキャッチしてしまい、1本が場外に。
ステップでも落下があり、
18.600(D難度点12.400 E6.500 P場外ペナルティ-0.3)

試技順2番はフランス
大きなミスはなく、19.700(D12.200 E7.500)

試技順3番は日本。
昨日の団体総合の時には序盤から投げに乱れがあり、ラストの交換では落下してしまったが、今日は前半から投げが決まり、移動のキャッチも少なかった。
ラストの交換も無事キャッチし、ラストの連係で移動キャッチがあったものの、昨日よりエネルギーのある演技であった。
22.800(D14.600 E8.200)
フープは試合でなかなか決めてこれなかったが、最後の試技でどうにかまとめられ、今季の日本チームベストの得点となった。

出場選手
杉本早裕吏
松原梨恵
熨斗谷さくら
横田葵子
鈴木歩佳

試技順4番はブルガリア。
昨日はフープで大きなミスが出たが、今日は気合十分。
1か所、フープの跳ね返しがワンバウンドでの落下となったが、全体的にクリアな演技であった。
23.300(D14.700 E8.600)

試技順5番はアゼルバイジャン。
大きなミスなし。20.100(D13.400 E6.700)

試技順6番はウクライナ。
終盤の交換で、足でキャッチする際、キャッチできずに場外。
19.500(D12.800 E7.000 P‐0.3)

この時点で日本はブルガリアに続く2位。
イタリアとロシアが残っているため、メダルは厳しい状況。

試技順7番はイタリア。
そのイタリアは交換で落下。移動してのキャッチも多くなり、
22.550(D14.100 E8.450)
インクワイアリを出したが却下され、日本のメダル獲得が確定した。

ラストはロシア。
出だしの足投げ交換で落下。
その後も幾度となく落下が続き、中盤は連係の形が見えなくなってしまった。
20.325(D13.500 E6.825)

昨日の王者ぶりとは打って変わってのミスでロシアはメダルを獲得できなかった。

1位ブルガリア
2位日本
3位イタリア
4位ロシア
5位アゼルバイジャン
6位フランス
7位ウクライナ
8位ベラルーシ

<種目別決勝ボール&ロープ>
日本は前半からキャッチの移動も少なく、構成上組み込まれている加点対象の技を次々と決めていった。
しかし後半、ロープのキャッチからのさばきが悪くなり、直後の交換でロープを投げられず。
自分のところに飛んできた手具はキャッチして対処したため、落下ミスとはならなかったが、交換がひとつ抜ける形となった。
また、直後の連係にも影響し、予定の転回の形とは違うもので対処したが、それはすでに中盤で使用した転回の形であったため、ノーカウント。
全体の出来としては非常に良かったため、惜しいミスであった。
21.350(D13.200 E8.150)

1位はイタリア
大きなミスなく、リスキーな技をやりきった。
22.550(D13.800 E8.750)

2位はロシア
落下ミスはなかったが、BD(身体難度)のMGキックの際、バランスを崩して手が床についてしまった。
22.200(D13.700 E8.500)

3位はウクライナ
移動キャッチはあったが大きなミスはなかった。
21.400(D13.600 E7.800)

4位に日本
21.350(D13.200 E8.150)
0.05差でボール&ロープはメダルを逃した。

5位はベラルーシ
大きなミスはなかったが、ボールの両手受けが多い印象。
20.950(D13.200 E7.750)

6位はブルガリア
ボールを二人で足でキャッチする際、ボールがこぼれた。
他の連係でも落下し、2種目でのメダル獲得はならなかった。
20.750(D13.400 E7.350)

7位はアゼルバイジャン
大きなミスはないがやはりボールの両手受けが多く、加点対象の技を抜いている印象。
20.400(D12.800 E7.600)

8位はスペイン
移動キャッチがあり、
19.800(D12.400 E7.400)

日本はフープでメダルを獲得したことで、世界選手権では2015年、2017年、2018年の3大会連続でメダルを獲得したことになる(2016年はオリンピック年により世界選手権は開催されず)。
連続してメダルを獲ることは容易いことではなく、メダルを獲得できるチームとして世界に認識されてきたことを思うと喜ばしいことであるが、やはり団体総合での演技には悔いが残る。

オリンピックは団体総合のみであるし、2種目をまとめるということは難しいことであるがやり切らなければならない。

団体総合での金メダルはロシア、種目別決勝フープはブルガリア、種目別ボール&ロープはイタリア。
各カテゴリーで違う国が金メダルを獲得した。
だがロシアは種目別フープではメダルを獲れず、ブルガリアもボール&ロープでは6位に沈んだ。
どのチームも難易度の高い技を組み込んでいるがゆえに、ひとつの小さなほころびが、大きなミスを生んでしまう。
ロシアでさえも、いつでも金メダルを獲得できるわけではないということを改めて感じた大会であった。

だからこそ、中堅の日本はいつでもミスなく演じ切ることが重要であり、そうでなければ勝利を呼び込むことはできない。

個人競技と同じく、精神的体力的なタフさを身につけるために、銀メダルを獲れた喜びではなく、力を発揮できなかった団体総合の悔しさ、0.05でボール&ロープの表彰台に乗れなかった悔しさを胸に、来年へのスタートを切りたい。

今大会は選手はもちろんのこと、石崎団長をはじめ、コーチングスタッフ、メディカルスタッフ、審判員ともに大変ハードな戦いであった。それぞれの持ち場でしっかりと力を尽くしていただいたことに感謝するとともに、日頃よりサポートしていただいている方々、ブルガリアの地まで応援に来てくださった方々、日本で声援を送ってくださった方々に、この場をお借りして御礼申し上げます。