第71回全日本新体操選手権レポート③女子個人総合

報告者:広報委員会 藤野朱美

【個人総合】

見事優勝の座に輝いたのは、喜田純鈴選手(エンジェルRGカガワ日中 丸亀)初優勝であった。
特別強化指定選手である喜田選手は、9月に行われた世界選手権での悔しい気持ちを力に変えて今大会に臨んだ。
クラブではロシア留学で身に付けた明確な難度要素と手具操作の巧みさを披露した。間髪入れずに難度要素が組み込まれているが、決して羅列には見えない。動きにスピード感と大きさを感じ、演技の繋ぎに無駄がない。演技終了と共に会場から大きな歓声が湧いた。(Dスコア9.90 Eスコア8.40 得点18.250 )

リボンも大きなミスなく演技を纏めた。AD(手具難度)の得点が伸びにくい種目であるが、喜田選手の演技には多くのADが組み込まれており、果敢に挑戦していた。さらに熟練度が増すと得点が伸びるであろう。(Dスコア8.50 Eスコア8.30 得点16.800)
今シーズンは怪我に悩まされた時期もあったが、着実に前に進んでいる喜田選手が強く大きく見えた。今大会での結果は「望んでいた結果であったので嬉しい」とコメントを残している。特別強化指定選手というプレッシャーに負けず、更なる飛躍に期待したい。

2位は正確な演技に定評のある柴山瑠莉子選手(イオン)であった。
クラブでは落下ミスなく演技を纏めたが、一つ一つの動きに硬さが目立った。本人もとても緊張したとコメントしている。受ける際に両手が出てしまう場面が数カ所見受けられた。手先足先まで神経の行き届いた難度要素の実施は、明確であった。(Dスコア8.00 Eスコア7.65 得点15.650)
リボンは軽快なリズムに乗って表現力豊かに演じた。ローテーション難度の軸が決まり安定感のある難度とスムースな動きの繋ぎで観客を魅了した。音楽に合ったダンスステップコンビネーションと笑顔が印象的であった。(Dスコア 7.90 Eスコア8.05 得点15.950)

3位は猪又涼子選手(日本女子体育大学/ポーラ☆スターR・G)。
クラブでは演技序盤のDERで落下。しかしその後はミスを忘れさせるような演技を魅せた。手具操作の巧みさは健在であり次々と難度要素をこなす。素晴らしい出来栄えであったからこそ落下ミスが惜しまれる。(Dスコア 8.10 Eスコア7.45 得点15.550)
リボンではスピード感のある演技の中、リボンの軌跡がきちんと描かれていた。決して大柄な選手ではないのだが手具が遠くで扱われており動きに大きさを感じた。1ヶ所DERが不成立となったが大きなミスなく演技を纏めた。(Dスコア 7.80 Eスコア7.35 得点15.150)

現行ルールでは落下ミスに対して大きな減点が課せられる。個人総合ではミスにより上位入賞を逃した選手もいる。しかし躊躇することなく果敢にリスキーな技に挑戦している選手達の演技に心動かされた。悔しい思いが来年へのステップになる事を願う。明日28日は種目別決勝が行われる。