第37回世界新体操選手権レポート7

報告者:山﨑浩子

現地9月21日、世界新体操選手権バクー大会6日目は団体総合が行われた。
昨年の世界選手権の結果により、上位24か国が出場。
前回メダルを獲得したロシア、イタリア、ブルガリアを除いて上位5か国に東京オリンピックへの出場権が与えられる重要な大会である。

12チームずつ二つのグループに分かれ、それぞれ2種目を終わらせていくシステム。
日本は最初のAグループで、このグループにいる日本のライバルはウクライナ、ブルガリア。
Bグループにはロシア、イタリア、ベラルーシが控えているため、なんとしてもAグループで2位には入り、メダルを狙える位置にいたいところ。

先に演技したのはウクライナで、ボール5の種目から。
ウクライナの選手はプロポーションも良く、リズミカルな演技で、とても華やか。
前半はスムースに演技していたが、中盤の連係で足でキャッチするところを、キャッチできずにワンバウンド。
すぐに取り戻しても0.5の減点となるので、28.250と若干苦しいスタートとなった。

D1(BD身体難度、ED交換、Sステップ)5.8
D3(C連係、Rリスク=手具を投げ上げ、2回転以上の転回を行う)14.7
E(実施点)7.750 計28.250

続いて日本(フェアリージャパンPOLA)が登場。
日本はフープ3&クラブ2から。
この種目は、なかなか試合でスカッとした演技ができてこなかったが、出だしから3つ目までの連係と交換がスムースに行くと、流れがつかめる。
そしてその通り、出だしの複数投げの軌道が美しく、交換、連係としっかり決まった。
キャッチしてはスロー、キャッチしてはスローと間髪入れずの連係も次々と決め、追加価値となる手以外、視野外などの技も決めていく。
決めていくごとにエネルギーが放出されていくようで、今シーズンで一番良い演技であった。
D1 6.0
D3 14.6
E 8.400 計29.000

D3の得点が0.4ほど足りないと判断し、インクワイヤリーを出したが得点に変更なし。
しかし、出だしとしては最高の滑り出しとなった。

出場選手
杉本早裕吏
松原梨恵
竹中七海
鈴木歩佳
横田葵子

ブルガリアもフープ3&クラブ2。
スタートしてすぐの交換で、もぐり回転をしながら受けるところで若干体勢を崩し、前半は動きの硬さが見られる。
これまでほとんどの大会を落下なしで素晴らしい演技をしてきたブルガリアでも硬さが出るのかと思わされたが、後半はリズムを取り戻した。
D1 6.1
D3 14.2
E 8.500 計28.800

1種目目を終えて、日本は強豪ブルガリアをわずかに抑えて、トップに立った。

日本の2種目目はボール5。
前のカザフスタンの得点がなかなか出ずに、待たされた。
観ている側はイヤな感じがしたが、そこで落ち着きを取り戻した選手もいたようで、入場した時には良い顔をしていた。
日本が得意とするボールの片手受けも美しく決め、軽やかに演技する。
中盤の交換の後は怒涛の11回連続の連係であるが、その真ん中の連係で投げが少し後ろに逸れ、投げて回転をした選手ではない選手がキャッチしたためにノーカウントになる場面があったが、さほどワサワサとした印象を与えず、演技を続けた。
ボールの演技も追加価値の技も決めていき、最後までエネルギーを落とすことなく演技した。
D1 5.8
D3 15.0
E 8.400 計29.200
2種目合計 58.200
2種目とも29点台に乗せたのは初めてのことで、総合点でもチームベストスコア。

出場選手
杉本早裕吏
松原梨恵
竹中七海
鈴木歩佳
熨斗谷さくら

ウクライナの2種目目はフープ3&クラブ2。
ボレロの曲に乗せ、ダイナミックな演技を見せる。
しかし、中盤から連係の投げが乱れ始めて、全体のリズムが悪くなってくる。
そしてシカジャンプをしながらのフープの足投げが大きくなり、場外へ。
予備手具に差し替えたが、場外直後にクラブも落下する大きなミスが出てしまった。
D1 5.3
D3 12.1
E 5.800 P場外ペナルティ0.3 計22.900
インクワイヤリーを出したが得点変更なし。
2種目合計51.150

ブルガリアのボール5は、フープ3&クラブ2の時より落ち着いていてエネルギッシュであった。
いくつか座でのキャッチが、座ったままで移動するところがある程度で大きなミスはなかった。
日本と並ぶには29.4が必要。
ブルガリアには出せる得点であると思うが、どの大会もブルガリアは比較的D3スコアが低めに出ているので、 微妙なところ。
得点が出るのが待ちきれない感じであったが、出たスコアは
D1 5.7
D3 14.8
E 8.700 計29.200
2種目合計 58.000
インクワイヤリーを出したが得点の変更はなく、日本はブルガリアを押さえて、Aグループ1位で、Bグループの結果を待つことになった。

(Aグループ結果)
1位日本
2位ブルガリア
3位中国
4位ウクライナ
5位USA
6位フィンランド
7位ドイツ
8位エストニア
9位カナダ
10位ハンガリー
11位ギリシャ
12位カザフスタン

Bグループで先に登場したのはロシア。
フープ3&クラブ2からである。
絶対王者ロシアであるが、連係でクラブをキャッチするのに大きく移動。落下ととるかキャッチしたと見るか微妙なところであった。
中盤では、フープを投げて回転してリフトでキャッチする場面で、キャッチできずにフープが他の選手のところに滑り落ちた。
直後の連係を抜き、移動も多くなってしまった。
D1 6.0
D3 14.3
E 8.400 計28.700

イタリアはボール5から。
前半は非常に良い流れで演技していたが、珍しく連係で落下すると、リスクでも落下。
後半リズムが乱れてしまった。
D1 6.1
D3 14.2
E 7.500 計27.800

ベラルーシはフープ3&クラブ2から。
連係の投げが乱れ、大きく移動してクラブで押さえたかに見えたが落下となった。
D1 6.1
D3 14.1
E 7.800 計20.200

なんとロシア、イタリア、ベラルーシがミスをするという予想外の展開となった。

ロシアの2種目目はボール5。
パンシェのローテーションで動足が大きく揺れ、滑り込みながらのキャッチがあり、ボールの足蹴りをしないなど、全体的にワサワサとした印象であった。
しかし、WCCシリーズでは非常に良い出来の時に29点後半の点を取っているだけに、そこまではいかないにしても29点中盤の得点を出す可能性が高いと予想した。
こちらも得点が出るのが待ちきれない状態であったが、出た点数は30.000!!
30点の大台に乗せて、ロシアがトップに立った。

D1 5.7
D3 15.6
E 8.700 計30.000
2種目合計 58.700

イタリアのフープ3&クラブ2は連係の投げが真上に上がって相手にまったく届かず、クラブを2つ落下。
直後の連係にも影響した。
2種目ともミスをするなど考えられないイタリアであったが、今回はミスに泣いた。
D1 6.0
D3 14.1
E 7.300  計27.400
2種目合計 55.200

ベラルーシはボール5。
前半はスムースであったが、中盤の連係で落下。
後半リズムが乱れて、連係で大きく移動してキャッチ。
D1 6.3
D3 14.4
E 7.700 計28.400
インクワイヤリーを出したが得点変更なし。
2種目合計 56.400

すべての演技が終わり、日本はロシアに次いで44年ぶりに銀メダルを獲得した。

<団体総合結果>
 1位ロシア
*2位日本
 3位ブルガリア
*4位ベラルーシ
 5位イタリア
*6位イスラエル
*7位中国
*8位アゼルバイジャン
 9位ウクライナ
10位USA
11位メキシコ
12位フィンランド
13位ブラジル
14位ウズベキスタン
15位ドイツ
16位フランス
17位スペイン
18位ポーランド
19位エストニア
20位カナダ
21位ハンガリー
22位ギリシャ
23位朝鮮民主主義人民共和国
24位カザフスタン

すでに東京オリンピックへの切符を獲得しているロシア、イタリア、ブルガリアを除いて上位5か国、米印の国が今大会で出場権を獲得。
日本は自力で獲得して開催国枠を使用しないため、9位のウクライナにも可能性があるとは思うが、ウクライナが9位まで落ち込むとは誰も予想しなかったであろう。
それほど団体でミスなく演技することは非常に難しい。連係を詰め込まなければ勝てないが、詰め込めば詰め込むほど、ほころびが大きなミスにつながってしまうのである。
そんな中で日本の出来はすばらしかった。
日頃からミスをした時の対処にも力を入れてきたので、それもいまの強みになっていると思うし、自分たちの持てる力は十分に発揮したと言えよう。

東京オリンピックに向けて、今後ますますし烈な戦いが始まると思われるが、真摯に競技に向き合うことでしか道は開けない。今後も小さな努力を積み重ねていこう。

明日は種目別決勝が行われ、日本は両種目ともに出場する。
大会情報・結果