第32回世界新体操選手権現地レポート2

報告者:

8月29日、世界新体操選手権キエフ大会は個人総合後半(クラブ、リボン)と同種目の種目別決勝が行われた。

日本からは特別強化選手の早川さくらと皆川夏穂が出場。昨日は緊張で身体のコントロールがきかなかったと話していたが、今日の種目で巻き返しを図りたいところ。

皆川はクラブの種目から。出だしのDER(身体の回転を伴う投げ技)も決め、好調な滑り出しだった。しかし中盤のDERで投げが前に行き、走ったが追いつかず落下。そのあとは技を抜くことなく、やりきった。難度もしっかりと決まっていたが、落下ミスが響き、14.958。

早川もクラブから。前半から丁寧な演技を見せたが、中盤のパンシェからバランスの連続でぐらつき、クラブで身体を支える形となった。それでも踏ん張りきれずに落下。大事な難度を決めきれずに14.766。

皆川のリボンは、出だしの何でもないところで落下。直後のローテーションでは跳ねが見られた。そのあとはよく踏ん張ったが14.783。

早川のリボンは描きが弱いためか少し結び目ができ、すぐにほどいたが、幾度か身体へのリボンの絡みがあった。リスクでも落下し、14.500。

結果、皆川が36位、早川が40位(97人中)と前日より順位を下げ、上位24人による個人総合決勝に進むことができなかった。2007年パトラスの世界選手権でも個人総合決勝に出場できなかったが、エースを集めた大会でも出場できなかったのだから、現状ではいたしかたない部分もある。

3月からロシア留学を行い、二人とも格段に難度の大きさは出てきたが、技や動きのこなしにたどたどしさがある。また自分たちの力にまだ自信が持てていないような感じが見て取れ、持っている力を出し尽くすということはできなかった。エース不在でホープのみで戦うのはきつかっただろうが、まずは経験を重ね、自信を深めていくことが最重要課題であろう。

 

個人総合予選の1位はMamun Margarita(ロシア)。リボンではスティックの腕転がしで落下しそうになるも、よく見て対処した。手具をよく見ていると言うより、手具を肌で感じているという雰囲気である。クラブでも大技、小技を織り交ぜ、ほぼミスのない演技を見せた。

 

2位はKudryavtseva Yana(ロシア)。リボンの伴奏音楽が途中で鳴ったり鳴らなかったりと切れ切れになり、それでも最後までほぼ完璧に踊り続けた。結局やり直しすることになり、2度目の演技ではリボンが少し身体に近くなる箇所があったり、小さな結び目ができるなどの、わずかなミスがあった。クラブはラストの投げが真上に上がり、方向を変えてキャッチ。あとは、難しい技をいとも簡単に行い、身体能力と手具操作能力の高さをいかんなく発揮した。

 

3位は地元ウクライナのRizatdinova Gannaが、4位には同じくウクライナのMaksymenko Alinaがつけている。二人とも情感と気迫にあふれ、地元開催のプレッシャーをはねのけた。ロシア勢に劣る箇所は、手具操作の複雑さだろうか。ロシア勢が難度の間に投げたり、複雑な操作を行うのに対し、ウクライナ勢は簡単な操作しか行わない。ミスはしにくい構成であるが、ロシアのチャレンジを見てしまうと、若干物足りなさを感じてしまう。それでも、表現力に関してはロシア勢に負けず劣らずで、観客は十分に堪能したことであろう。

 

5位にベラルーシのStaniouta Melitinaが、6位には韓国のSon Yeon Jae、7位にはブルガリアのMiteva Silviya、8位に中国のDeng Senyue、9位にアゼルバイジャンのDurunda Marina、10位にイスラエルのRivkin Netaと続いている。Sonは今日も調子が出ず、安定感が失われた。最終種目のクラブはどうにか踏ん張り、二日間を通じて1番良い出来だった。Durunda Marinaは、まだ若い選手であるが、エネルギーのある演技を見せた。ロシア勢を除いて、他の選手たちは大きな国際舞台を何度も経験している選手たちであるが、その中に混じっても決して消極的になることなく演技していた。

 

個人総合決勝は予選の点数を持ち越さないため、誰がチャンピオンになれるかまったくわからない。力から言えばロシア勢であるが、少しのミスも許されない状況で、誰が表彰台のポジションをつかむのか。緊張感のある戦いが繰り広げられるであろう。

 

種目別決勝クラブを制したのは、Mamun MargaritaとKudryavtseva Yana。18.366の同点であった。二人とも手具操作に工夫があり、それを完璧にこなすのであるから、すごいの一言。数多くのコントロール(試技会)をやってきたそうであるが、とんでもない選手たちが現れたものである。Maksymenko Alinaがわずかな差で3位となった。

 

リボンはKudryavtseva Yanaがチャンピオンとなった。この選手の手具操作は本当にすごい。総合予選よりも質が良く、完璧な演技だった。リボンのスティックを転がしながら受けて、、、難しい技をあまりにもさらりとやってのけるので、何度かじっくりとみないと、何がどうなっているのかよくわからないほどである。2位にはRizatdinova Gannaが3位にはエネルギーあふれるStaniouta Melitinaが入った。Mamun Margaritaは、スティックの足蹴りで乱れ、落下。ごまかしかたがあまりにもうまいので、ミスをしたのかどうかわからなくなりそうであるが、リボンが身体に触れる箇所もあり、5位となった。チャンピオンと言えどもミスをすれば、すぐに下位に落ちてしまう今季のルール。緊張感が増し、見る側にとっては非常に面白くなってきたと言えよう。

 

明日は個人総合決勝が開催される。

山﨑浩子

Hiroko Yamasaki