新体操WCソフィア大会2025レポート②

報告者:橋爪みすず

ブルガリア/ソフィアでのワールドカップは2日目を迎え、個人はクラブ/リボンの後半種目、団体は3ボール+2フープの競技が行われた。本日も9時から競技が開始され、全ての競技とメダルセレモニーが終了したのは23時という長丁場であった。

4月5日 個人予選 後半種目(クラブ・リボン)
【喜田未来乃】 総合 45位 合計点94.800
リボン D8.400 A7.1000 E6.050 合計21.550
2日目のAグループの競技開始は11時44分。2日目はリボンからのスタートであった。とにかくミスを恐れず不安な気持ちを振り切ってフロアに乗ることを意識して臨んだが、直前に不安が出て入場から固い表情であった。最初のRで投げがやや上に上がったが、何とか手に収まるレベルがわずかに手からこぼれ落ちて落下。その後持ち直したように見えたが、中盤の足投げのブーメランでリボンの端を掴み切れず大きく前方に投げる形となり落下。最後の視野外投げからのRは投げが真上に上がり前転が1回転となった。繊細な表現のダンスステップは見せ切ることができていたが、全体的に小さく落ち着かない演技となった。初日の課題を良い形で後半種目に繋げることができなかったことが悔やまれる。課題であるリボンの図形の正しさや身体難度のフォームは少し改善が見られた。。

クラブ D9.700 A7.400 E7.250 合計24.350
リボンからわずか1時間後のクラブ試技となった。リボンのミスがどのような影響を与えるかが心配なところであったが、入場から気持ちと身体の切り替えができた様子が伝わった。序盤から勢いのある動きができており、Rの受けで予定通りの内容ができなかった部分はあるが、全体的には力強くまとめることができた。ダンスステップにおける音楽の特徴を捉えた表現もしっかりと見せることができていた。しかしDBのフォームの精度を上げることや動きや難度の大きさとスピードの緩急をつける点、DAにおける基準の正しい実施が課題として挙げられる。早い段階で修正を行い次戦に備えていくことが重要である。

【鶴田芽生】  総合 52位 合計点92.250
リボン D9.700  A6.600 E5.950 合計22.250
演技冒頭から、動きのスピード感があり大変良い入りであったが、リボンの描きに力が入っており、手具操作に不安を残しながら演技が展開された。そのため、手具操作の乱れ(身体への接触やリボン同士の接触)による遅れが目立ち中盤の投げの不正確な受けから落下に繋がった。直後のバランス中のだ形で結びができたため、予備手具と交換した。その後立て直しはしたが、ミスによる影響で本来の動きを取り戻せないままであった。動き、難度の精度が上がってきているだけに、ひとつのミスから演技全体が影響を受けるという実施が悔やまれる。課題としては、身体の動きと手具の動きを調和させる実施が重要である。今回の経験を重要な課題として修正していくことが急務である。

クラブ D7.700 A7.500 E6.400 合計21.600
最終種目のクラブは、気持ちの切り替えと自信をもって入ることが課題であった。その点においては自覚しフロアに立つ姿が見られた。序盤から鶴田選手の良さが出る動きが続いたが、フェッテターンの終末でのDAで2本を同時に落下したことで動揺が見られた。その後も、DAで不完全な動きが続いた。最後のRでは受けまで慎重に入ったが、やや力が入りすぎて、クラブでクラブを押える際に弾くというミスで終わった。エネルギー感や難度の質に向上は見られたが、全体的にはミスの多い演技となった。リボン同様、身体の動きが先走り、手具と一体にならなかったために起ったミスである。動きの精度は上がっていることから、重点的に解決し次戦の臨むことが重要である。

新ルールでの今大会の優勝は、Taishia ONOFRIIGHUK(UKR)。
身体、手具ともに高難度の内容をミスなくまとめた結果であった。芸術の要素は断トツでないが、実施力と完成度が構成に与える影響を最小限に止めた結果である。また自分自身の特徴を演技において十分に発揮していることが強みであると感じた。
2位はStiliana NIKOLOVA(BUL)。
構成内容にこだわり、最後まで個性ある演技で会場を沸かせたが、最終種目のリボンでミスが出たことも影響し2位となった。パリオリンピックでは、悔しい結果を抱えた2選手が優勝を争う結果となり、悔しさというモチベ―ベーションを保つことの重要性を実感した。
3位はTakhmina IKROMOVA(UZB)。
アジアからのメダル獲得は嬉しい結果でもあるが、今後の試合において脅威でもある。演技内容は若干のミスはあったものの、難しい手具の組み合せをスピード感と多様性をもって実施できており、リボンは圧巻の演技であった。全体を通じ、どの選手もエネルギーが十分伝わる演技の実施ができたときには、高評価を得ることができる印象であった。特に芸術の評価と実施の評価の関係は、新しいルールにおける重要なポイントだと感じた。今シーズンが始まり、8月の世界選手権に向けて、各選手がどのようにピークを持って行くかを注視したいと思う。

【団体】 総合2位45.950(1位ESP 3位POL 4位BUL)
3ボール+2フープ 24.150(D11.200 A 7.150 E5.800)
出場選手:鈴木歩佳、稲木李菜子、田口久乃、西本愛実、花村夏実

日本は出場国12チーム中3番目に登場。1番のブルガリアにミスが続き波乱の試合開始となったが、日本は本日も落ち着いて演技を行った。序盤から中盤にかけてのCCで投げの軌道が外れて落下、しかし素早く取戻し次の演技に影響なく繋げたが続くフープとボールの複数投げで、フープが十分に足にはまり切らず、投げが乱れ、移動を伴う落下となった。全体的には連係や交換の移動、それに伴った受けの基準の未実施など、点数に影響ある実施が見られたが、選手たちは冷静にひとつひとつ対処できており、ミスを最小限に抑えることができた。結果的には2種目総合で銀メダルを獲得することができたことは大きな成果と自信につながった。今後各国ともに演技の特徴を重視し、完成度を高めてくると思うが、日本の演技は2種目ともに音楽と特徴を生かした構成となっていることは今回のWCを通じアピールできたと感じる。今回の結果を受けてさらに完成度を高め、世界選手権まで日本の良さをアピールした演技を実施していくことが重要である。何よりも選手たち自身が、自ら考え行動し、本番の演技を自分たちで作り出すことができた点が大きな収穫である。

明日は、2種目ともに別決勝に出場する。

新体操WCソフィア大会2025大会情報