新体操モスクワグランプリレポート(大躍進の皆川)

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■大躍進、皆川夏穂
 3月1日モスクワグランプリが行われ、日本から出場した特別強化選手の皆川夏穂は4種目とも大きなミスはなく、難度もきれいにはまり、総合9位(40人中)と大躍進ぶりを見せた。また、4種目ともにファイナルに残ったのは快挙であり、昨年から比較すると飛躍的な成長を遂げている。
 1位から5位までがロシアであるが、その次に韓国のSon、,ベラルーシのStaniouta、イスラエルのRivkin、そして皆川である。名だたる選手の中で、16歳の皆川は落ち着いた演技を見せた。
地元ロシアのMamunの直後であったにもかかわらず、淡々と正確な演技を続け、4種目すべてで16点台後半の点を獲得した。17点に乗せても良いほどの出来であったが、まだ顔も売れていない新人としては上出来であったろう。
今後もコンスタントな演技が出来るようになれば、17点を出さずにはいられなくなるであろうし、皆川本人がこの結果を自信に、もっと堂々と演技できるようになれば、点数もアップしていくと思われる。
強烈な色香と繊細さを発揮し、独特な世界を表現するMamunのあとでは、やはり表現力が乏しく、いまのところそれが課題と言えよう。
今大会は足の故障で欠場した早川さくらとともにしのぎを削っていけば、常に上位に食い込んでいくことが可能になるはずである。
ロシア留学を始めてからちょうど1年。やっとつぼみが開き始めた。
総合1位はMamun。4種目すべてを昨年から変更し、4種目それぞれに違う世界を創っている。スピード感やしなやかさにあふれ、また研ぎ澄まされた演技で、観ているものを引き込んでいく。難度も、昨年の世界選手権よりはずっと良い状態であり、4種目すべて18点台後半に乗せた。
2位は同じくロシアのTitova。昨年は、ただひょろ長いだけの選手であったが、難度もはまり始め、美しい世界を描き出している。
3位は昨年の世界選手権チャンピオン、Kudryavtseva。最初の種目のボールで、ラストの転がしながらの受けで落下し、3位に甘んじた。しかし、どの種目も、手具がどこからどう動くが予測できない作品であり、その手具操作は見事である。昨年より少し大人っぽくなり、これからまた違う世界も見せてくれるであろう。
4位、5位もロシア選手であり、6位になったのはSon(韓国)。
フープではミスが出たものの、やはり安定感は抜群で、クラブでは17.900という高得点を出した。
7位はStaniouta。クラブで、投げをミスして走り、DERでも落下するなどのミスが出たが、伸びやかさは健在である。
8位はRivkin。他の選手と比べると、手具操作や動きのコマ数は少ないが、実施ミスの少ない演技であった。
9位に皆川で、同じく9位にグルジアのPazhavaが入っている。それほど恵まれたプロポーションは持っていないが、強烈な個性を前面に押し出している。
皆川は、Mamun、Kudryavtseva、Stanioutaらと同じグループ(抽選)であったが、演技の質はなんら見劣りがしなかった。経験を積んでいくことで深みも増していくであろうし、まずは明日のファイナルで、再度堅実な演技を見せてほしい。
■団体総合、日本は4位。
試技順の最後に登場した日本(フェアリージャパンPOLA)は最初の種目クラブでは、前半はうまく抑えたが、中盤のDER(回転を伴う投げ技=旧リスク)で投げが後ろに行き、DERを一人がやらなかった。そこでリズムが崩れ、直後の連係で落下。そのあとはなんとか持ちこたえたかに見えたが、リフトを伴う連係は投げが真上に上がり、クラブでクラブを押さえるキャッチとなった。
フェッテのローテーションも合わなくなり、中盤が乱れて15.366。
2種目めのボール&リボンでは中盤の連係で、ボールがワンバウンドになったがうまく処理をした。しかジャンプターンのあとの連係に乱れが出て連係が成立せず。またパンシェで手を床につけてしまうミスが出た。
が、作品の全体像は見せることができ、16.100の点数を得て、総合では4位となった。
1位はロシア。
一種目めのクラブでは、交換で場外。連係でも落下が2度あり、バラツキが出てしまった。16.716で、一種目を終えた時点ではイスラエルに次いで2位。2種目めのボール&リボンでは交換で落下。後半に乱れが出たが、大きなフォームで17.866。総合で金メダルを獲得した。
2位はイスラエル。クラブでわずかな落下があったが難度も見やすく、16.933。2種目を通じて大きなミスはなかった。
3位はブルガリア。
一種目めのボール&リボンで交換や連係で数度の落下を犯し、15.266。
2種目めのクラブでなんとか巻き返し、17.216。表彰台をつかんだ。
4位が日本で、5位がアゼルバイジャン、6位ウズベキスタン、7位ドイツ、8位ラトビアとなった。どの国も片方の種目は良いが、もうひとつの種目はミスが多いという結果となったが、そんな中2種目とも大きなミスなく演技を終えたイスラエルが2位というポジションを得た。
明日は団体種目別決勝が行われ、日本は2種目に出場する。
山﨑浩子

Hiroko Yamasaki