2018世界体操女子ポディウム2日目レポート

報告者:遠藤幸一

男女を通して最後のポディウム練習が終了しました。4日間でしたが、日に日に会場の設備が整い、競技開始のカウントダウンが始まっています。明日からの競技をお楽しみに。以下、女子ポディウム練習2日目レポートをお送りします。

【7班】
 中国とルーマニアが登場。中国のゆかはアクロバット技で高難度技がなく、アメリカに比べて大きく見劣りする構成(後方かかえ込み2回宙返りが中心)。ターン系は非常に習熟したさばきをみせていた。跳馬、ユルチェンコ1回ひねり3名、伸身ツカハラ2回ひねり1名、伸身ツカハラ2回ひねりとチュソビチナ(少し屈身姿勢がみられる)1名。段違い平行棒は強さを見せる。マロニー~ギンガーを3選手が実施。4番目の演技、シュタルダーシャポシニコワ~パク、マロニー~懸垂前振り1回ひねり~トカチェフ、車輪1回ひねり大逆手~片手軸1回ひねり逆手~前方車輪1回半ひねり、後方伸身2回宙着地止める。ゆかと跳馬は物足りないが段違い平行棒は難度、完成度ともにトップクラス。平均台はジャンプ連続~バク転、アクロバット系とジャンプの組み合わせに工夫がみられる。とくに輪とび系を多用。ただ、終末技で後方宙2回ひねりが2名いた。アメリカに比べて力強さがない印象だったが、段違い平行棒と平均台は見所が多く、その成功が団体の順位を押し上げるだろう。
ルーマニアはかつての勢いをまだ取り戻せていないが、体操王国だった時期に戻そうとしている様子はうかがえる。平均台、ジャンプ系の工夫、しゃがみ立ちターンなどがチームとしての取り組み。ゆか4選手が月面、一人は後方伸身2回宙も行う。跳馬、ユルチェンコ1回ひねり3名、ユルチェンコ2回ひねり1名。段違い平行棒では手放し技での落下がめだった。チームとしては中堅国といったところ。
【8班】
 フランスとカナダが登場。フランスゆか、De Jesus、伸身月面、月面、しゃがみ立ち2回ターン、伸身前宙~ロンダート~バク転~後方かかえ込み2回宙、後方屈身2回宙。彼女をエースに添えてのチーム。2回宙返りを補助して行う選手がいるなど、コンディショニングがうまくいないところもみられる。跳馬、De Jesusユルチェンコ2回ひねり、それ以外はユルチェンコ1回ひねり。段違い平行棒、De Jesus苦労しながら4本目で通し。雄大な閉脚シュタルダートカチェフ~パク、マロニー~ほん転ひねり大逆手~前宙ひねり下移動、マロニーひねり、閉脚シュタルダーひねり大逆手、伸身月面。Bossu、閉脚シュタルダー1回ひねり~シュタルダーシャポシニコワひねり、閉脚シュタルダー~閉脚シュタルダーひねり~屈身イエガー~パク、マロニーひねり、前方かかえ込み2回宙。平均台、以前に増して安定感のある演技。De Jesus、屈身前宙上がり、屈身前宙、バク転~閉脚伸身宙、交差とびひねり、開脚前宙~ジャンプ
カナダ、段違い平行棒、シュタルダー系、イエガー、パクなど構成し、チームとしてもある程度高得点が期待できる種目。Black、マロニー~ほん転トカチェフ、ほん転屈身トカチェフ、屈身イエガー~パク、マロニーひねり、フット前宙ひねり。平均台、ぐらつきや落下もあったが、比較的練習を積んできたことのわかる練習だった。4番めの演技者、横向き後方回転とび上がり、しゃがみ立ち3回ターン(素晴らしい)、交差輪とび、側宙~後方開脚伸身宙連続(いいリズム)、後方屈身2回宙下り。ゆか、非常に力強いタンブリングをみせる。Black、後方宙2回半ひねり~ロンダート~バク転~後方かかえ込み2回宙、前宙2回ひねり~前宙、後方宙2回ひねり。最後の演技者、伸身前宙~かかえ込み前方2回宙、かかえ込み前方2回宙ひねり後ろに足を上げた3回ターン、後方宙2回半ひねり~前宙、ミスが目立ったが確認ではしっかり成功させていたのでチームとして強さをアピール。
【9班】
 ロシア、イギリス、ブラジルが登場。ロシア、一人目はアクロ技を一切せずに振り付けのみ。その後、後方伸身2回宙をベースに3選手が実施。振り付けを含めて全選手、見逃したくない演技。跳馬、ユルチェンコ1回ひねり、ユルチェンコ2回ひねり、伸身ツカハラ2回ひねり。チェンフェイに一人挑戦していたが、胴体着地するなど完成度が低かった。段違い平行棒、十分に通し込みができている感じをあまり受けなかった。平均台も落下が目立ち、確認で終わった感じだった。演技構成の内容的にはアメリカの次に来ているような気はするが、本番に向けてどうなるか。
ブラジル、跳馬、ユルチェンコ1回ひねりは二人、雄大なユルチェンコ2回ひねりを3選手が実施。いずれも非常に雄大なさばきで素晴らしい。段違い平行棒は、トカチェフ~パクを中心としたスピード感ある動き。平均台、2選手ほど落下があったが十分に練習を積んでいることを感じられる動き。ゆか、非常に雄大なタンブリングを全選手が実施して迫力がある。団体決勝進出も狙える感じを受けた。
イギリス、跳馬ユルチェンコ2回など雄大にさばく選手あり。段違い平行棒、シュタルダートカチェフ、パク、マロニーなど演技に構成している中、トカチェフひねり~前宙ひねり下移動を実施する選手あり。平均台、落下が目立ち少し元気がない。ゆか、後方宙1回半ひねり~シリーズで高難度タンブリングへつなげる選手が3名。仕上がりがいいとは言えない状況だが、演技構成の内容は団体決勝進出を狙える位置にいると思う。
【10班】
 メキシコ、スペイン、スイスが登場。メキシコがパワフルな選手2名の力強い跳躍で跳馬スタート。段違い平行棒も高低棒の移動技などを構成し、まとめられていた。一方、平均台とゆかでは高難度技は入っているが、ミスも気になるほど出ていた。スイスは、高難度技はないものの、あまり目立ったミスを出していない。実力にあった構成で、上位がミスを重ねるとそれを上回る可能性もある。スペインは、跳馬で全員がユルチェンコ1回ひねりとエース不在。しかし、段違い平行棒、平均台、ゆかとミスはあるものの、目を見張る実施や技が散見され、チームとしては予選で意外な順位に位置するかもしれない。
【11班】
 チェコ、ギリシャ、スロベニア、台湾がチーム出場国。まずは来年の世界選手権に団体で出場するためには、今回の世界選手権で団体予選24位以内に入らなければならない。今大会では団体決勝上位3か国が東京オリンピックの団体出場枠が決まるだけ。来年の世界選手権に団体で出場し、団体予選で今年出場権を得た3か国を除いた上位9位に入り、出場権を獲得するためにも、まずは24位を最低目標としたいところ。また、東京オリンピックに出場できるチーム数は12か国なので、12位ラインに入れるのかどうか一つの指標となる。さらに予選8位以内になれば団体決勝進出になるので、そこもポイント。この班では素晴らしい技やできばえを披露した選手もいたが、ミスなくチームとしてベスト3を確保してそれぞれのボーダーを超えることが目標となるだろう。