男子ジュニア海外合宿(メキシコ・カンクン)報告

1 期間 平成23年1月31日(月)~2月12日(土)
2 場所 CARGymnasticsCuncun(メキシコ/カンクン)
3 宿泊 Be Live Palm Beach
4 選手団
コーチ
 吉田和史(団長/清風高校)、松本忠親(中京ジムナスト)、藤原佳市(関西高校)、田野辺満(鯖江高校)、山崎隆之(池谷体操クラブ)、小林隆(NTC専任)、村上泰弘(アクバス)
選手
 横山聖(清風)、石川大貴(鯖江)、武田一志(埼玉栄)、岡準平(鯖江)、野々村笙吾(市船橋)
長谷川智将(関西)、市瀬達貴(清風)、神本雄也(池谷)、星島雄樹(関西)、鈴木湧(栗東)、神津源一郎(三菱養和)、佐藤匠(アクバス)
5 スケジュール
1月31日(月)
 結団式
 成田空港発 ダラス カンクン
 時差-15時間
2月1日(火)~10日(木)
 午前練習 体操、トレーニング、基本練習
 昼食・休息
 午後練習 ゆか/跳馬、各種目技術練習
 夕食・ミーティング
2月11日(金)
 カンクン ダラス
2月12日(土)
 成田空港着 解団式
6 合宿概要
 過去2年間は、イギリス・ナショナル体育館にてイギリス・カナダのナショナルチーム・ジュニアナショナルチームと合宿を行ってきた。ロンドン五輪を控えた海外チームの強化状況や強化システム等の視察を含めた合宿であったが、今年はイギリスチームがメキシコ・カンクンでの合宿を計画したため、日英でのメキシコ合宿の実現となった。また、メキシコのナショナル選手2名も同時に合宿を行った。
 本合宿は、引き続きイギリスチームの強化システムの視察を行うこと、ジュニア強化指定選手の競技力向上、コーチングスタッフの資質向上、ジュニア強化体制の確立を主な目的とした。
7 合宿報告
■練習環境について
 民間で経営している体操クラブの施設であるが非常に器具が充実していた。器具はすべてGYMNOVA製で、ゆかフロアー2面(1面はAAI)、あん馬4台、平行棒4台、トランポリン、タンブリングトランポリン、パワータンブリング、大型ピット施設などが備わり、長期合宿を行う上で十分な環境であった。
■生活環境について
 気温は、朝晩は20度前後で日中は28度程度であった。高温なため練習中の選手の動き出しが早く時間を効率的に使うことができた。宿泊は中堅クラスのホテルであった。ホテル内の各施設では、一日中バイキング方式で自由に食事をすることができた。また、食事の種類が豊富で味が合うため、長期合宿でも飽きずに食事を楽しむことができた。体育館への移動は、クラブ側で用意して頂いたワゴン車2台で約10分程度であった。現地での生活面に関しては、クラブオーナー夫妻のきめ細かい配慮を賜り、特に問題なく練習に集中することができた。
 また、カンクンの治安は大変良いほか、ホテル内、ショッピング、観光、タクシー乗車など、対応が親切でサービスが良いため、ジュニア選手を引率する私たちにとっては大変安心できる合宿地であった。
■練習成果について
 練習は、午前中に3時間30分、午後に4時間を実施した。ここ数年のジュニア合宿で確立してきた“基本技術の向上”を柱として、①トレーニング②基本練習③技術練習の3段階での強化を今回も実施した。特に、跳馬の入り、あん馬の旋回、平行棒の支持スゥイング、ゆかのタンブリングに関する基本練習に時間を費やした。午後の技術練習では、各自で課題や目標を考えて練習を行った。3月の高校選抜大会、4月の全日本選手権に向けた続行練習や、新しい技への取り組みなど、選手全員の意識が高く良い雰囲気での練習が続いた。しかし、合宿中盤のゆかの練習中に、神津選手が足の甲を骨折するというアクシデントが起きた。幸い、クラブの関係者の整形外科医に素早い対処をしていただき、軽い骨折という診断を頂いたが残念な結果であった。
 また、期間中にはビデオ映像を使った技術分析や選手への技術講習会を行うなど、基本技術の考え方やテクニック面での意見交換などを選手団全体で行えた事は本合宿の一つの成果でもあった。
■海外選手の視察について
 イギリスチームは、午前中(4時間)に続行練習を行い、午後(2時間30分)は、基本練習と午前中の反省練習を行っていた。続行練習に関しては、あん馬の強さは印象的であったが、他の種目はまだ仕上がっていない部分が見られた。しかし、午後の基本練習では、昨年同様、徹底してゆかのタンブリング、跳馬の入りにチーム全体で取り組んでいた。跳馬では、セーフティーマットを跳馬より60センチ以上高く積み上げて、転回前宙や屈身ツカハラの練習を毎日取り組んでいた。あん馬の基本練習では、Dスコアーの高い選手でも縦向き旋回の修正練習(左右対称な旋回)に選手・コーチが取り組んでいる姿勢が印象的であり、日本のジュニア選手にとっては良い手本となった。また、メキシコの21才の選手は、あん馬の旋回をはじめ各種目とも基本技術が高く将来性を感じた。
8 総評
 本遠征全体を振り返り、大変充実した良い合宿であったと考えている。練習では日本選手同士や海外選手から多くの刺激や情報を得ることができた。生活面では文化の違いや時差・環境変化への対応など、海外経験の少ない選手にとっては貴重な経験をすることができた。しかし、これらの経験をより生かすためには、各選手が所属に戻ってからの練習が最も大切であると考えている。来年のロンドン五輪、5年後のリオ五輪、またそれ以降の体操日本の飛躍のためには、ジュニア強化の役割が重要であることは言うまでもない。本遠征を含め各国際大会、国内合宿での成果や課題、情報等を多くのジュニア強化の指導現場に伝達して、各所属での選手強化の一助となれば幸いである。早速、2月26日より国内合宿がNTCで行われるが、参加される指導者・選手と多くの交流・情報交換を行い、実り多いジュニア合宿となるよう努めたいと考えている。
 最後に、本遠征の実施にあたり、日本体操協会をはじめ多くの関係者各位にご理解、ご支援を賜り心より感謝を申し上げたい。また、今後ともジュニア強化へのご支援をお願い申し上げ本遠征の報告とする。