ロッテルダム世界選手権現地レポート(種目別二日目インタビュー)

報告者:

植松鉱治
 
 (始めにGOランプから30秒ギリギリで演技開始となったことについて)いつも種目別がどんな状況で行われているか知らず、先にそのことを聞いたときには結構余裕があるといわれた。なのでゆっくりと準備をしていたら、気がつけば残り20秒くらいしかなくて、バタバタして落ち着けなかった。状況はすぐに変わるのに、そこにうまく対応しきれなかったし、気をつけなければならかなかった。落下時の30秒以内再開がギリギリだったのにも気付いていた。自分が気付けなかったので自分が悪い。今日は自分の中ではすごくいいなと思っていた。練習の中でも一度も落ちておらず、演技で手を離したときにも全然悪くないなと思った。なので、今は何が悪かったのかわからない。(個人総合のときと同じ箇所だが)個人総合の時には危ないと思った。しかし今日はいけるなと思ったのに流れてしまい、(原因が)わからない。
内村航平
 平行棒ではメダルが取れると思ってなかったので嬉しい。開脚前宙腕支持ではバーに当たっていたので、得点はラッキーではあった。日本でもそのミスをしたことはある。今日も筋肉痛でしんどいなと思っていた。しかしやってみると全く感じずいい動きが出来た。体がしんどい方がいい動きが出来るのかなと思った。今日も6種目を通す練習をして臨んだ。(春先に行っていた)ティッペルトを入れる構成は最近練習していない。肩が痛くなくても結果は変わってなかったと思うが、痛い中でここまで出来たのには驚いている。試合になると痛くてもやらないといけないので、痛くてもある程度できる自信はあったので、その自信が結果に繋がったと思う。(メダルを取ったので金メダルへの欲が出てないかについて)それは特にない。種目別はあまり考えてないし、6種目全部をやることしか考えてないんで、種目別のことをあまり考えたりしても6種目のバランスが崩れると思う。種目別でメダルを取るためには着地を止めることだなと感じた。
帰国後は練習を休みたい。器具もあまり見たくない。少なくとも一週間は休みがほしい。しかし完全に休むと肩がまた痛くなると思うので、2日は行かず、その後は1時間くらいの練習にしたいと思う。全日本では日体大として出るので、団体優勝できるようにしたい。
(植松選手の演技について)全体金メダルを取ると思っていたが、ランプが点くのが早かったと聞いていたので、審判の人にちゃんとしてほしいと思った。メンタルスポーツなので、審判の人がきちんとしてくれないと選手もいいのが出来ない。(自分も同じく一番手だった)平行棒のときは準備が終わるまで待ってくれる感じであったので・・・。種目別決勝の演技を見て、鉄棒は残りたかったなと思う。平行棒は自分の演技の中身がよかったので、中国の二人が上に行った後、自分が3位のままでいるように祈りながら残りの選手の演技を見ていた。跳馬と鉄棒はレベルが高く、日本の選手では厳しいなと思った。鉄棒は上は7.5のDスコアなので、自分はそんなに組めないので「どうかしてるな」と思った。(跳馬につて、Eスコアが高いので、2本あれば意外と勝負できるのでは?という問いに)それはあまりない。Eスコアが取れたとしても、(海外選手は)Dも高いし、跳馬の場合は引くところが限られているのと、海外の選手はあまり点を引けないので。
立花泰則・男子監督
 平行棒の内村選手の演技については、トップバッターでバーが滑りやすい中、実際に棒下宙返りでも滑ったといっていたが、その中で狂いを感じさせないように対応できる能力を見て、チャンピオンの実力を見せつけて、銅メダルを取ってくれた。植松選手については団体予選やその前からチームのムード作りをしてくれて、チーム全体でメダルを取らせたいという思いであった。残念ながら落下があったが、その失敗を次の試合につなげてほしい。予選からミスをするような状況ではなかったが、これが試合だと思うし、次は成長した植松鉱治の姿を見せてほしい。(GOランプ点灯については)まだ本人から話を聞いてないが、周りのスタッフはゾンダーランド選手に対する声援で、言っているだけど聞こえなかったと言っていた。
団体については北京五輪では7.25の差で敗れたが、今回は1.228差に縮まり、中国のミス待ちで勝てるという状況ではなく、我々が自分たちの持っている力を発揮すれば十分勝てるんだという確信を感じた。逆に当日の出来次第で順位が変わるので、それを想定した練習を積んで、来年、東京の世界選手権で迎え撃ちたい。個人総合については、Dスコアも高く、Eスコアも最高点で、技術面、芸術面両方兼ね備えたチャンピンになったと思う。また、更にそういった面を成長させ、もっと上のステージのチャンピンになるという探求をしている面も今回感じ、まだまだ伸び白のあるチャンピオンだなと思う。
種目別は山室、小林も健闘し、中島もリザーブで残り、内村だけでない、他の日本選手の層が厚くなり、競技力も上がってきたので、各選手の武器となる種目に磨きをかけて、団体、個人、種目別と表彰台にもっと上がれるようにしたい。初代表選手について、初代表とは思えないくらい、チームワークもよく、自分自身で集中し演技を遂行している姿があった。それは代表選考が熾烈になってきて、かつて五輪五連覇をした先輩の方々も当時は同じように代表争いは辛かったということなので、国内の競争力を上げながら、世界に向かっていける体制を仕上げていきたいと思う。