2010リューキンカップ報告

報告者:

1 期間 平成22年12月8日(水)~12月14日(火) 
2 場所 アメリカ テキサス州・ダラス WOGAジムナスティックアカデミー
3 宿泊 Hampton Inn Plano Daras  
4 選手団
 コーチ  田野辺満(鯖江高校、強化部員) 梅本英貴(清風高校、強化部員) 西岡康正(関西高校)
 選手  横山聖(清風高校) 中嶋宏太(清風高校) 佐藤紘翔(関西高校)  岡準平(鯖江高校)
5 スケジュール   
 12月8日(水)関西空港発
 12月9日(木)本会場練習
 12月10日(金)サブ会場練習
 12月11日(土)競技
 12月12日(日)交流ランチ
 12月13日(月)ダラス空港発
 12月14日(火)関西空港着
6 大会概要  
 リューキンカップ(女子は2月にWOGAクラッシックを開催)は、格レベル・年代別で3日間の競技日程で開催されている。日本はジュニア強化選手より5年連続の派遣となった。今年はアメリカ、日本、ウクライナ、ロシア、オーストラリアから5カ国35名がエリートクラス(シニア)に出場した。アメリカからは、Danell Leyva(2009年世界選手権ロンドン大会種目別鉄棒4位)が出場した。団体総合(4-4-2制)、個人総合、種目別が行われた。日本チームは、今年の高校選抜、インターハイで個人優勝した横山、岡の両選手と国際大会初出場の中嶋、佐藤の高校上位選手でチーム構成し団体優勝を目標とした。エリートクラスには、各国のナショナル選手や大学生が参加しているため、毎年レベルの高い大会となっている。
7 大会レポート
○12月9日(木)  《1日目 本会場練習》
 全日本選手権(3名出場)直後の日程、約24時間の移動、器具の違い、時差など条件がよくない状況での初日の練習であった。跳馬のロイター板が柔らかく合わせるのに苦労した以外は、すばやく器具に対応することができた。選手の動きも大変よく十分な練習ができた。
○12月10日(金)  《2日目 サブ会場練習》
 午前中に3時間の練習を行った。念入りに準備運動を行い、各自のポイントをしっかりと確認した。明日の試合に向けて期待が持てるような動きであった。
○12月11日(土)  《団体・個人・種目別》
 ウォーミングアップは、10分ローテーション(計60分)で行われた。15分間のオープニングセレモニーでは、DJによる会場の盛り上げ、歌手による米国家斉唱など、主催者、観客、選手、コーチ全員でこの大会を盛り上ようという雰囲気が印象的であった。日本はアメリカ(Cypress)と同グループでゆかスタートであった。
【第1ローテーション ゆか】
( 岡 )前2/1-前3/2、ダイブW1/2、後5/2-前1/2、後3/1。着地まで意識した完璧な演技。15.30 
(横山)前2/1-前1/2、後3/1、後3/2-前3/2、後5/2。着地減点も少なく実力を発揮。14.75
(佐藤)前2/1-前1/2、後3/2-前3/2、後2/1、後5/2。終末技をピタリと止めた完璧な演技。14.50
(中嶋)屈身ダイ゙ブW、前2/1-前1/1、後5/2-前1/2、後3/1。高さのあるすばらしい実施。15.20
 国際経験のある岡、横山がスタート種目から安定した演技を実施し、好スタートを切ることができた。佐藤、中嶋も国際大会の不安を感じさせない堂々とした演技であった。
【第2ローテーション あん馬】
(横山)Eフロップ、Dコンバイン、前後移動、終末D。転向・移動系のスピードがあり完璧な実施。15.10
(佐藤)Eフロップ、Dコンバイン、前後移動、終末D。過失はなかったが予想より得点が伸びなかった。13.40
(中嶋)Eフロップ、Dコンバイン、前後移動、終末D。危ない箇所もなく安定した良い演技。14.40
( 岡 )Dコンバイン、Eフロップ、前後移動、終末D。スピードある転向系を実施、シバドでバランス崩す。14.60
 横山のすばらしい演技でチームの流れをつくる。佐藤、岡は落下しそうな場面を強引に立て直すなど、最後まであきらめない姿勢は日本チームの強さであると感じた。
【第3ローテーション つり輪】
(佐藤)振十字、け十字、ヤマワキ-ジョナサン、後車輪、ルドルフ後1歩。車輪の肘曲がり以外は上々。13.40
(中嶋)振開上水平、十字、後車輪、ルドルフ前1歩。調整不足の種目だが実力を出し切る演技。13.45
( 岡 )ヤマワキ-ジョナサン、振十字、け十字、後車輪、ルドルフ後1歩。実力を出し切る演技。13.80
(横山)アザリアン、振脚上挙、ジョナサン-ホ十字、ヤマワキ、前後車輪、ルドルフ着地止。秒数長い力技が評価。15.20
 高校生にとって点数の稼ぎにくい種目を無難に乗りきる。終末技では全員が余裕のある新月面を成功させた。前半をノーミスの演技で折り返し、よい雰囲気で得意な後半種目に向かった。(前半成績、1位日本、2位アメリカ)
【第4ローテーション 跳馬】
(中嶋)アカピアン   両足で小さく前に1歩。  15.10
( 岡 )ドゥリックス   斜め後ろに1歩。     15.80
(横山)アカピアン   両手を付いてしまった。  14.05
(佐藤)アカピアン   着地をねらって止める。  15.60
 佐藤はチーム戦の流れを考え、ドゥリックスからアカピアンの着地ねらいに切り替えて成功。岡は全体1位の得点であったが種目別表彰は2本跳躍のため対象外。横山は個人総合争いで痛い失敗となった。
【第5ローテーション 平行棒】
(中嶋)棒下1/2、棒下、車輪、ツイスト、Dツイスト、モイ、チッペルト、屈身ダブル。着地まとめすばらしい演技。15.20
( 岡 )Dツイスト-順手エンドー、ツイスト、開前宙腕、屈身ダブル。演技構成を下げて無難に実施。14.35
(横山)棒下1/2、棒下、モイ、車輪、チッペルト、Dツイスト-閉エンドー、屈身ダブル。減点の少ない完璧な演技。15.55
(佐藤)棒下、車輪、モイ、チッペルト、Dツイスト、ツイスト、屈身ダブル。順手エンド-でダブルスイング、着地で両手付く。13.20
 価値点の高い中嶋、横山に高得点の期待をして、佐藤、岡は堅実な構成でEスコアー狙い。佐藤は簡単な技で惜しい失敗となったが、他の3名は予定どおりの演技を堂々と行う。団体優勝に向けてチームのモチベーションがさらに高まり最終種目の鉄棒に移動した。
【最終ローテーション 鉄棒】
(中嶋)ヤマワキ、コールマン、アドラー1/2、シート1/2、エンドー1/2、伸身ルドルフ。不安種目であったが、コールマンも成功。14.10
( 岡 )ヤマワキ、シート3/2、大逆エンドー、ホップ、ホップ1/2、伸身ルドルフ。価値点を下げて堅実な実施。14.70
(横山)アドラー1/1E、アドラー1/2、伸トカチェフ、伸トカチェフ1/2、エンドー1/1、ホップ、伸身サルト。最後までスピート感のある動きで、伸トカチェフ1/2では会場が盛り上がり、着地もピタリと止める。15.60
(佐藤)伸トカチェフ、トカチェフ、シート1/2、アドラー、エンドー1/1、伸身サルト。予定の演技構成を確実に実施。14.45
 最終種目の鉄棒でも上々の演技で試合を終えた。外国選手は、鉄棒の大きな手放し技や連続での加点技に果敢に挑戦していた。ひねり技やアドラー系に関してはあまり正確な演技でなくても、観客が盛り上がるような大技を成功させると高得点が出されていた。
8 総評
 目標としていた団体優勝を果たすことができたが、結果以上にチーム一丸となり、すばらし試合ができたことに喜びを感じている。決して万全の体調とはいえないなか、全24演技中、過失が僅かに2箇所という試合内容は、大変評価できると考えている。また、国際大会独特の雰囲気を選手が楽しみながらも試合に集中している姿が印象的であった。横山、岡に関しては、遠征期間中に常に精神的な余裕が見られ好成績に結びついたことは、これまでの海外経験の賜物であると考えている。国際大会で自己のパフォーマンスを発揮するためは、移動や食事、時差など生活面での対応力や調整力、器具への順応力、試合での集中力が必要であると改めて感じさせられた。ジュニア期より海外試合、海外合宿等、貴重な経験をさせていただき、日本体操協会の強化体制には改めて感謝する次第である。また、きれいで正確な体操は日本の武器であり、失敗しなければ勝てるという基本的なことを本遠征を通じて感じることができた。選手には、この経験を大切にしてさらに努力を続けてほしいと願っている。
 最後に、2010リューキンカップ参加にあたり、日本体操協会、WOGAをはじめ多くの関係各位に心より感謝申し上げ報告とする。
9 結果